あまり印象にない?日ハム監督・栗山英樹の現役時代ってどうだった?

あまり印象にない?日ハム監督・栗山英樹の現役時代ってどうだった?

エンゼルス・大谷翔平の活躍によって、にわかに注目を集める日ハム監督・栗山英樹の手腕。選手育成と人心掌握に長けた名伯楽であることは間違いありませんが、彼の現役時代についてはあまり知られていません。そこで今回、栗山監督が栗山選手だった時代を振り返っていきたいと思います!


大谷翔平の活躍により、指導者として注目を浴びる栗山英樹

連日、目覚ましい活躍を見せているメジャーリーグ・エンゼルスの大谷翔平。オープン戦の不振が嘘のように、マウンドに立てば快刀乱麻のピッチングを披露し、打席に立てば快音を響かせるという八面六臂の快進撃は、日米の野球ファンに衝撃を与えています。

この快挙によって、再び注目を浴びつつあるのが、日本ハムファイターズ時代における恩師・栗山英樹監督の功績です。球団上層部・球界OB・野球評論家から「どちらか1本に絞るべきだ」との圧力・批判もあった中で、大谷の意志を尊重して、前人未到の二刀流完成を促し、結果で黙らせたその手腕は紛れもなく本物。現在、プロの壁にぶち当たっている大器・清宮幸太郎の育成に関しても、大きな期待が寄せられているのは言うまでもありません。

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解説者・キャスターとしても有能だった

栗山監督が日ハムの指揮を執るようになって、今年で7シーズン目。現役のNPB監督の中では、最長の在任期間になります。そのため、今ではすっかり監督としてのイメージが定着していますが、昔は野球解説者兼スポーツキャスターとして活躍していました。

特にテレビ朝日からは、その軽妙で物腰柔らかな語り口がテレビ向きと判断されたのか、重用され続けたものです。『報道ステーション』のスポーツコーナーでは古館伊知郎の横で、『Get Sports』ではウッチャンナンチャンの南原清隆の横で、柔和な笑顔を浮かべながら、選手や試合について分かりやすく解説する栗山の姿を覚えている人も多いのではないでしょうか?

学生時代は教員を目指していた

解説者・キャスター時代の栗さんを見て「この人、説明うまいな~」と感じた人も多いはず。それもそのはずで、彼はもともと教員志望。高校卒業後に、国立大学である東京学芸大学の教育学部へ入学したのも、将来、教壇に立つためであり、事実、在学中には小・中・高の教員免許を取得しています。

こうした学業と並行しながら、もともと創価高校野球部に在籍し、3年次は主将兼エースだった野球の腕前を活かし、東京学芸大時代も硬式野球部で活躍。東京新大学野球連盟では、投手として25勝8敗、打者として打率.389(リーグ史上3位)という抜群の通算成績を残しています。リーグのレベルには雲泥の差がありますが、大谷同様、“二刀流”として躍動していたようです。

栗山の母校・東京学芸大学

東京学芸大学 - Wikipedia

現役時代は、難病との戦いだった

野球に本気で取り組んだ者であれば、誰もが夢見るプロの舞台。教員を目指していた栗山も例外ではなく、夢をあきらめられずに、プロの入団テストを受け、見事、1984年にヤクルトスワローズへのドラフト外入団が決定します。

しかし、1年目の1984年にはハイレベルなプロの戦いについていけず、1軍出場はわずか2試合のみ。2年目には、激しいめまい・難聴・耳鳴り・耳閉感によって平衡感覚が狂う難病・メニエール病を患い、苦しむことに。

迎えた1986年シーズン。勝負の3年目です。昨シーズンのオフから着手していたスイッチヒッターへの挑戦が奏功し、打力が覚醒。6月ごろからライトのレギュラーポジションを獲得し、107試合に出場。239打数72安打で規定未到達ながらも打率.301という高いアベレージをマークしました。

このまま波に乗りたかった栗山ですが、やはり、メニエール病に悩まされます。1986年のオフは治療に重きをおいたため、しっかりと調整できないまま、1987シーズンに臨み、結果、92打数18安打、打率.196と、前年と比べて大きく数字を落としてしまうのでした。

成績はイマイチながらイケメン選手として人気はあった。

栗山英樹

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1988年は規定未到達ながら、打率.331をマーク!

苦難続きのプロ野球人生を歩む栗山でしたが、ようやく報われる時がやってきます。1988年シーズンは右足肉離れの影響で出遅れたものの、6月に復帰するとヒットを量産。終わってみると、90試合出場で、338打数112安打。惜しくも規定には届きませんでしたが、打率.331という好成績をたたき出します。翌1989年シーズンも中堅手のレギュラーとして試合に出続け、打率は.255と振るわなかったものの、自身初となる規定打席到達を果たし、さらには、守備力の高さが評価され、ゴールデングラブ賞も獲得。キャリアを通して最高の輝きを放った2年間でした。

病魔に苦しみながらも結果を残してきた栗山でしたが、しかし、1990年に野村克也が監督に就任してからは、外野手に転向した柳田浩一にポジションを奪われ、出場機会が激減。レギュラーを奪い返すことが出来ないまま、栗山は自身の体力の限界を感じ、ついに引退を決意したのでした。

7年に及んだ現役生活を通して残した494試合出場・336安打という通算成績は、他球団の打者出身の監督、たとえば、阪神の金本や横浜のラミレス、巨人の高橋と比べようもないほど、寂しいものです。しかし、決して順風満帆ではなかった選手人生を歩んだからこそ、誰よりもプレイヤーの悩みや苦しみを理解でき、結果として他のどの監督よりも長期政権を築き上げたのではないでしょうか。名選手、名監督にあらず…この格言を地で行く存在として、これからも後進の育成に精を出してもらいたいものです。

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(こじへい)

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