ベルバラ人気で有名な宝塚歌劇団ですが、日本民俗舞踊のショーをしていた時期があったんです。

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4月17日、宝塚音楽学校(兵庫県宝塚市)で106期生となる新入生たちの入学式がありました。日本で初めてレヴューを上演した宝塚歌劇団は1970年代にベルバラブームを巻き起こし、今日も高い人気を誇ります。今回はそんな宝塚歌劇団の民俗芸能なコネタを。


4月に入り、大学での授業が始まりました。日本の民俗芸能を学生の皆様と一緒に勉強する日々です。学生の若々しさが眩しいですっ!

そんな4月の17日、宝塚音楽学校(兵庫県宝塚市)で106期生となる新入生たちの入学式がありました。3月29日付の毎日新聞によると、合格者は40人で、その競争率は24.1倍。高っ!そんなこんなで入学したら2年間声楽やダンスなどを学び、そして宝塚歌劇団(タカラヅカ)の団員・通称「タカラジェンヌ」に。男役や女役・・・とくに男役に憧れる気持ちが無きにしも非ずな自分です。

ベルバラブームでお馴染みの宝塚歌劇団

宝塚歌劇団は、現在は阪急阪神東宝グループの一員として今日まで未婚の女性だけで構成されています(裏方やスタッフは別)。日本で初めてレヴューを上演した劇団として一躍有名になり、1970年代にベルバラブームを巻き起こし、今日も高い人気を誇ります。今回はそんな宝塚歌劇団の民俗芸能なコネタを。

宝塚歌劇団の歴史

そもそもは1913年(大正2年)に結成された宝塚唱歌隊がルーツ。

大雑把に歴史を紹介しますと、同年12月に宝塚少女歌劇養成会に改称し、翌1914年(大正3年)4月1日~5月31日まで宝塚新温泉での初演から歴史がスタート。
1919年(大正8年)、私立学校としての認可が下り宝塚音楽歌劇学校設立。少女歌劇養成会は解散し、新たに宝塚少女歌劇団として発足。
1930年(昭和5年)に制作した作品『パリ・ゼット』の中に登場する「すみれの花咲く頃」が宝塚歌劇団を代表する楽曲として認知されているかと思います。そして1939年(昭和14年)に 宝塚音楽舞踊学校と改称し、宝塚歌劇団と分離し、学校と歌劇団が別という今のスタイルに。
その後1946年(昭和21年)に、学校が宝塚音楽学校に改称され今に至る・・・みたいな。

本当に大雑把ですが、歴史ある歌劇団だということが伝われば幸いです。

とはいえ何より宝塚歌劇団・学校で一番有名なのは、その教え「清く、正しく、美しく」だと思います。これは阪急東宝グループ創業者・小林一三氏(こばやし いちぞう、1873年(明治6年)~1957年(昭和32年))が「朗らかに、清く正しく美しく」と教えたもの。個人的には「朗らか」も大事だと思っています。

宝塚歌劇団と日本民俗舞踊?

そんな宝塚歌劇団。レヴューやミュージカルなど欧米的な演劇を上演しているイメージをお持ちの方が多いと思います。ですが!一時期、日本各地の民俗芸能をそれはもう徹底取材して、本当に日本民俗舞踊のショーをしていた時期があったんです。日本のお祭りがタカラヅカで!

「郷土芸能研究会」

どういうことかと言いますと。

1958年(昭和33年)に宝塚歌劇団に「郷土芸能研究会」ができまして。約20年(!)にわたり、現地まで赴いて郷土に伝わる民俗芸能を取材してたんですね、タカラヅカ。その数、演・曲目数約5,000件、映像フィルム(8ミリ)・録音テープ約3,000点、取材写真(ネガフィルム)70,000コマ、取材レポート数千点(阪急文化財団池田文庫より)。

これらデータを元に日本民俗舞踊集を22作品発表していたりして、ついでに1961年(昭和36年)8月初演の『火の鳥』(九州の「棒踊」という民俗芸能)は芸術祭賞を受賞しています。他の作品としては、例えば『花田植』(広島県の民俗芸能「花田植」)や『かぐら』、そして沖縄舞踊。レヴュー(フランス語)という舞台芸能と日本の田んぼの芸能・・・頭の中でリンクしない人が多いと思いますが、本当に踊っていたんです。

なぜタカラヅカが民俗芸能を取材したのか

それはこの研究会を立ち上げた演出家・振付家の渡辺武雄さん(2008年逝去。93歳)が居らしてこそ。タカラヅカは西洋の芸能をする劇団ではなく、国民の誰にも親しみやすく健全な大衆娯楽としての歌劇を提供ことが本質。ということで民俗芸能に大衆的な娯楽性を見出されて、各地のお祭での芸能を舞台に上げていったのです。今だってお祭は老若男女が楽しんでいますものね♪

日本だけではありませんで、1956年(昭和31年)の『春の踊り』(南九州の民俗芸能などを舞台化)は、1959年(昭和34年)のアメリカ・カナダ公演でも好評だったとか。歌舞伎などの伝統芸能ではなく民俗芸能を舞台化して海外で勝負に出たあたりが当時は斬新だったと思います。

とはいえ、ベルバラいや「ベルサイユのバラ」でタカラヅカ人気が最高潮になっていた1978年にこの民俗芸能的舞台は姿を消します。「動員力が重視され、非日常のファンタジーを提供する演目が中心に据えられたのです(2007年1月27日付 朝日新聞)。

ですが。
タカラヅカが、民俗芸能に大衆娯楽としての可能性を見出していたこと。時代が早すぎたのかもしれません。なぜなら、今の日本。民俗芸能は観光資源として国内外から観光客が訪れておりますもの。日本の大衆娯楽として、平成の今でも需要がある気がいたします。

タカラヅカに民俗芸能な演目があることを、今再び注目いただきたいなと思う自分です。

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