『ガンプラり歩き旅』その57 ~イデオン編・5 アオシマが意地でも1/600で揃えたバッフ・クランメカ選り抜き紹介編!~

『ガンプラり歩き旅』その57 ~イデオン編・5 アオシマが意地でも1/600で揃えたバッフ・クランメカ選り抜き紹介編!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は全8回で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、『機動戦士ガンダム』(1979年)の日本サンライズ・富野由悠季監督の次作品『伝説巨神イデオン』(1980年)のアオシマ製プラモデル群から、現代に至るまでのイデオンフィギュアを、追いかけてみたいと思います!


イデオン1機に襲い来る、バッフ・クランのメカの大群!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回の番外編で紹介していくのは、シミルボンでもその流れで『伝説巨神イデオン』の作品紹介をするので、その『イデオン』に登場した、 主人公ロボットイデオンの様々な立体を中心に、敵役の重機動メカ等も含めてイデオンの立体物歴史を俯瞰していきたいと思います。
今回は、イデオンに次々と戦い挑んだ、バッフ・クランメカのイデプラを6つ紹介したいと思います!

必殺のイデオン・ガンが、バッフ・クランの大群を駆逐する!

この連載のこれまででも触れてきたが、イデプラの、イデオン以外のメカのメインストリームは、1981年2月スタートの、300円箱サイズ統一の「アニメスケール」シリーズと、1981年11月から、改めて開始された「1/600スケール」シリーズの二段構えで構成されている。

それは何かアオシマに戦略的意図があったとは言えず、当初は箱サイズ統一でのコレクション性だけで展開していたシリーズが、いざ並べてみた時に、等しいスケールのメカが一組もないという現実が、1/144統一スケールガンプラに慣れた消費者から、今一歩反応が悪かったというのがまず考えられる。

しかし、そこでアオシマを攻めるのも酷であり、『ガンダム』と明確に、戦闘シーンの展開を差別化しようとした富野監督以下の意図により、イデオンの敵側バッフ・クランメカは、ことさらメカ単位で大きさや形状が激しく異なっていた。
なにせ、同じ300円サイズに収めようとすると、最大のガルボ・ジックが1/1550で、重機動メカとしては最小のアディゴが1/350なのだ。

バッフ・クランメカはそもそも、モビル・スーツのような人型ではなく、異星人のメカとして特徴を出すために、わざと奇形や異形を取り入れた、非人間型の構造が多く、ミリタリー色は強くない。
例えば、苦しまぐれにバッフ・クランメカの共通性を抽出しようと思ったら、「割と三本足メカが多い」という印象ぐらいは抱けると思う。
これは、一つの「異星人メカの象徴」として、また「地球人の発想では出てこないメカニズムの典型」として、古典SFの名作、Herbert George Wellsが1898年に発表した『宇宙戦争(The War of the Worlds)』で、地球に攻めてきた火星人の侵略兵器・トライポッドの意匠(三本足メカ)を借りているからだと思われる。

もう一方でのバッフ・クランメカの共通性としては、これも地球人には理解不能なガジェットとして、バッフ・クランメカのには、どこかに必ず、キャノピーに水玉模様というシンボルが配置されている。

バッフ・クランメカ共通の模様

これは一説には、外套膜マルチバイオセンサーと解釈されているが、イデプラのモデラーの間では「オーメ」とも呼ばれている特徴的なシンボルであり、大きさや形状がバラバラのバッフ・クランメカに、統一感をもたらしたデザインセンスは秀逸である。

しかし、その「そもそもミリタリー色が薄いSFメカ」「劇中でのサイズの大小が極端に別れている」が仇になったか、アニメスケールシリーズは売り上げが伸び悩んだのだろう。
それでもガンプラより早くキャラクターフィギュアを商品化したり、箱サイズ統一規格であることを逆手にとって、1/30で一人乗りメカのガタッカを商品化したかと思えば、超巨大要塞母艦バイラル・ジンを、1/20000というあり得なさすぎるスケールで商品化するなど、挑戦的な商品展開にアオシマは挑み続けていた。

しかし、やはり先行して社会現象を起こしていたガンプラに対し、作品的には充分対抗できるキラーコンテンツの『イデオン』を、もっとうまく商品展開活用することで、『ガンダム』並みのビジネスをしようと悩んだ結果、アオシマは「イデオンを基準に、小型戦闘機から大型重機動メカまで、全てのメカを1/600で改めて出し直す」という英断を下したのだ。

その結果、さすがに1/600では無理だったバイラル・ジンや、未発売に終わった戦闘機メカもあるとはいえ、作品内に登場したメカのほとんどを、第19弾までシリーズ化し続けたという快挙を、アオシマは成し遂げた。
このことはWikiにも「この規模でシリーズ化されたアニメプラモは、1/144のガンダム、1/72のダグラムと当シリーズだけ」とある。

ある意味バンダイよりも愚直で正直なアオシマが、当初のアニメスケールではイデオンを1/810、続けて発売された、重機動メカの中で最もイデオンに近いサイズのジグ・マックを1/760とスケール表記したことから始まった再商品化なのだが、今にして思えば、両者それぞれ、スケール表記は1/80ぐらいの誤差の範囲内なのだから、共に1/800としてしまえば二度手間にはならなかっただろうにとは思える。
おまけに、アニメスケール版ドグ・マック等は、最初から1/610スケールだったものだから、さすがに1/600シリーズで新設計するのもおかしな話なので、アニメスケール版をベースに、さらに追加パーツなどをつけてバリューアップすることで、1/600として出し直すにあたってクオリティを高めたという例もある。

そんなイデプラから、今回はシミルボンの連載で再現画像に用いた、アニメスケールから2つ、1/600シリーズから4つの、計6つのバッフ・クランメカのキットを紹介してみたいと思う。

アオシマ 1/600 アニメスケール バッフ・クランメカ

1/600 ジグ・マック 1981年11月 500円

ティーンズ向けの1/600シリーズ共通のボックスアートのジグ・マック

まず1/600シリーズで紹介するのは、『ガンダム』で言えばザクに当たるのだろうか。バッフ・クランの一般量産型としては最も出番が多かったジグ・マックである。

完成した1/600 ジグ・マック。プロポーションは悪くない

デザインラインとしては、バッフ・クランメカでは一番人型に近いメカで、そういった要素が合わさって、重機動メカとしては戦闘を切って、イデオンと同時に発売されたのだろう。

ジグ・マックのサイドビュー。股関節は大きく前に踏み出せるが、膝関節はあまり曲がらない

昭和の「宇宙人とは」の「空飛ぶ円盤」を鏡餅のように重ねたところに、それこそ現代地球の重機のような腕と脚が生えている構造で出来上がっていて、上手くモビル・スーツとのコンセプトの差別化に成功している。

このキットのポテンシャルの高さを誇る腕の可動領域。このデザインで肩がここまで広がる構造は当時のアニメロボットキットでは珍しい

このキット自体も、先行していたアニメスケールシリーズをブラッシュアップした形で、主に関節可動アクションが強化された。

股関節が開かないのは大きく損をしてしまっている部分だが、逆を言えばこのデザインを与えられて、肩が両脇に広げられるポーズがとれるように設計されたことは称賛に値する。

また、手の先の、これも重機のような爪も可動して、ここも表情付けには大きなポイントとなる。

ジグ・マックのリア・ビュー。バックノズルなどもデザインに忠実に再現されている

プロポーション的には、重機動メカの異形性が逆に幸いして、特にアニメ作中描写とのギャップは感じられない。

実際の商品では、多層構造の円盤が互いの位置をずらした「飛行形態」とコンパチで組むことが可能になっているのだが、コンパチなのでどちらかを選ばねばならず、今回は迷わず直立形態を選択した。

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