まちのヘンなもの大カタログ「VOW3」の気になるネタ!
宝島社の雑誌「宝島」に掲載され人気を集めたコーナーがありました。それがVOWでした。
雑誌「宝島」は休刊になってしまったようで、別の女性向け雑誌にコーナーは移動したようですが、2016年以降、新しい単行本は発行されていません。
雑誌や新聞の誤植を集めた笑えるネタや街で見つけたヘンなもの(看板・道路標識の誤字や変わった名前の会社・店等)の写真を投稿するコーナーで、雑誌「宝島」でも際立った存在感を放つ特集として人気を獲得しました。
そして、1987年にそれらの秀逸なネタをまとめた単行本『VOW』が発刊されるまでになります。
この記事では1991年に発行された単行本『VOW3』で、当時社会現象的にもなったあの踊りと、国際情勢が物騒になる中で、いかにも「島国ニッポン」的な庶民が発したお気楽ネタをご紹介します。お楽しみいただければ幸いです。

画像右側「ランバダ」。
原作 カオマさんのランバダ。
画像右側上「人気沸トー」。
「本町ぎおん」という、どこかの街中の商店街のチラシだと思われますが、当時大ブームになった「ランバダ」を商店街でやるぞ!と、多少暴走気味の内容のチラシになっています。
「今年は面白い!」「これはいい!TVで人気沸トー(フジテレビ)」「あのセクシーネーちゃんの半尻して踊り狂う」「ランバダ目撃したら寝れない!」と、チラシの中で作成者が異常なまでに興奮しています(笑)。
画像右側中「よさこいとランバダ」。
新宿東口で「よさこいとランバダ」を踊るイベントがあったようですね。
当時は圧倒的にランバダが有名でしたが、現在多分ランバダを踊る人はそんなにいないんじゃないかと思いますが、「南中ソーラン」など、よさこい(というかよさこいソーラン)は、むしろ現在になって愛好者が多くなっていると聞きます。
画面右側下段「ランバダのために稼ごう!」。
この求人広告の文章、すごい好きですね(笑)。
「うまいものやマリンスポーツも好き!ランバダも楽しみたい。働いて使う」
この本が出たのは1991年、つまりネタ自体は1990年だと思います。まさにバブルの絶頂期、究極の人手不足の中で、必死に採用担当者は求職者を集めるために頭を使って魅力ある広告にしようと思ったのでしょう。
その結果が「ランバダを楽しむために稼ごう!」という文末。今見るとその滑稽さに笑いがこみ上げてきます。
このネタに対する総本部長のコメントも秀逸。「どうも世間ではランバダ流行ったということになっているらしいな、こりゃ」というコメントで、逆説的に、「みんなランバダランバダ言ってるけど、そこまで流行ったか?」的な感じがたまりません。
でも、格差社会などと言われる現在、ランバダを楽しむために働こう!という風潮の当時の日本はさぞかし活気に満ちてみんなが楽しい、いい時代だったんだなあ、とちょっとうらやましい気もします。

画像左側「駄洒落」。

日本をも恐怖に陥れた「湾岸戦争」。
湾岸戦争 - Wikipedia
バブル経済で盛り上がっていた当時ですが、世界が不穏な空気になっていたことも確かです。
「湾岸戦争」。テレビ画面の中でまるで映画のように映し出されるパトリオットミサイルの光。
当時私は高校生でしたが、感受性の強い女子の中には、この戦争をものすごく不安がっている子もいたのを今でも印象深く覚えています。
そんな湾岸戦争を、不謹慎にもチラシのネタにした浅はかなお店も・・・。

画像左側上段、下段「湾岸戦争を駄洒落にした不謹慎なネタ。」
「イラク」を「いくら」という値段の駄洒落にしたこの2つのチラシ。
上段「イラクも問題ですがイラク安いかが問題です。」って、そんなわけないだろ!この不謹慎野郎!と言いたくなります。上段のネタはまだ文章だけですが、下段のネタは「イラクも問題だけどイクラも重要だ!」と、サダム・フセインの似顔絵までお気楽に出しているのが、不謹慎さをより高めています。
このコメントは、集団的自衛権などが報道されている現在にも通じる問題のような気がする、考えさせられるコメントです。
日本は平和なのか、平和でないのか。・・・などとつい考えてしまいます。
画像左側中段「ペレストロイカ」
この時期はゴルバチョフ書記長がソ連を大きく変えた時でもありました。
まあ、個人経営っぽい寿司屋だからいいのでしょうが、「進んでます 寿司のペレストロイカ」という意味不明の文言。
寿司屋だけに「トロ」と「イカ」という言葉が入っているのが、店主の人も嬉しくつい駄洒落にしてしまったのでしょうが、ちょっと小学生みたいな駄洒落だな・・・と思ってしまいます。
遡るシリーズ!【1991年・平成3年】のアレコレを振り返る - Middle Edge(ミドルエッジ)
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