「S&B」でお馴染みのヱスビー食品、ロビー正面にはなぜか鬼の神社が?

「S&B」でお馴染みのヱスビー食品、ロビー正面にはなぜか鬼の神社が?

卓上の塩コショウといえばエスビー食品株式会社。「S&B」のロゴで有名なエスビーさん、個人的にはS&B「スパイス(spice)&ハーブ(herb)」のアルファベットの選び方が好きです。「S」piceとher「B」でS&B。S&Hじゃないのね…と。さてそのエスビー食品のロビーの正面に鬼神社があるのをご存じでしょうか。なぜここ鬼神社が!?


卓上の塩コショウといえばエスビー食品株式会社。「S&B」のロゴで有名なエスビーさん。コネタ的には、1923年(大正12年)に創業者の山田峯次郎さんが日本初のカレー粉を製造したことや、1970年(昭和45年)に日本初のチューブ入り香辛料(ねりわさび・ねりからし・おろしニンニク)を発売したこそ書くべきかもしれませんが、個人的にはS&B「スパイス(spice)&ハーブ(herb)」のアルファベットの選び方が好きです。「S」piceとher「B」でS&B。S&Hじゃないのね…と。

さてそのエスビー食品のロビーの正面に鬼神社があるのをご存じでしょうか。

なぜここに鬼神社が!?

鬼の好物であるニンニクを奉納する鬼神社

この鬼神社は青森県弘前市の旧鬼沢村にあり、鬼を祀り、そして鬼の好物であるニンニクを奉納する神社です。7月12日(旧暦5月29日)の大祭では岩木町でとれるニンニクが奉納されるほか、ニンニク市がたつほどのニンニク神社!ちなみに津軽のニンニクは脳溢血やその後遺症である運動麻痺によく効くという民間伝承が残っております。

一方、エスビーさんはニンニクの効能を活かしたまま乾燥・粉末化することに成功し、1960年(昭和35年)に「ガーリックパウダー」生み出しました。これ、後述しますが、実はかなりスゴイことでした。

そんなこんなで、この縁から1984年(昭和60年)、エスビーさんが同神社に分祠をお願いしたところ、展示館に分祠が許され、エスビー食品神社が生まれたのです。

角の無い優しい鬼

さて、その鬼神社。「オニガミサマ」「オニジンジャ」とも。社伝によると延暦年間に坂上田村麻呂(758年(天平宝字2年)~811年(弘仁2年))が岩木山麓に鬼を祀った社を勧進し、その後今の場所に移ったとか。そんなこの地域に伝わる鬼は水田開拓を手伝ってくれた大人(オオビト)と伝わっており、農耕の神=良い神様として愛されております。

その気持ちが鬼神社の造形にも表れております。この神社拝殿の扁額には「鬼神社」と書かれているのですが、この「鬼」という字には上部の「ノ」が無い。角の無い優しい鬼ということを示していると言われております。

また、平安時代後半の製鉄遺跡が見つかっている事や鬼伝説と鉄作りに由来する地名が多い(十腰内(トコシナイ)、湯舟(ユブネ)、小屋敷(コヤシキ。金屋敷のなまったもの)など)事などから、大人=鬼は、農民に友好的な鉄作りの専門集団だったと推測する研究者も居ります。

「オは大きい意。ニは神事に関係するものを示す語。オニは神でなく、神を擁護するもの。」

民俗学の大家・折口信夫先生は

青森で霊的なモノというとイタコの皆様や恐山を連想する方も多いかもしれませんが、「大人(オオビト)」もオススメです。

そんな鬼とガーリックのご縁を大事にされているエスビーさんに話を戻します。
創業者の山田さんはその後、1958年(昭和33年)に紺綬褒章を、1960年(昭和35年)にはカレー粉業界の発展に寄与した功績により藍綬褒章を授賞。
そ・し・て!1966年(昭和41年)には香辛料とりわけガーリックパウダーの開発の功に対して紫綬褒章を授賞!そうなのです。ガーリックパンダ―はそれだけの開発だったのです。

香辛料全般にたいする研究についても、1973年(昭和48年)勲三等旭日中 綬賞を授賞し、そして1974年11日4日に逝去されました(享年71歳)。同日、同日、閣議決定にて従四位に叙せられました。

スパイスとハーブで日本の食卓の風景を変えた会社があり、そして、ニンニクにいたっては鬼ともご縁があるという…今回はそんなコネタでした。

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