浪漫三部作
日本を代表する映画監督の一人である鈴木清順。「清順美学」と呼ばれる独特の映像美は、クエンティン・タランティーノ、デヴィッド・リンチ、ジム・ジャームッシュなど多くの映画監督に影響を与えています。
鈴木清順
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その「清順美学」の到達点とも言える作品が「浪漫三部作」と呼ばれている3本です。
「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」「夢二」。この3本は時代設定が同じ大正時代いうだけで連作ではなく、独立した作品です。
どれも甲乙つけがたいほど素晴らしい作品ですが、浪漫三部作の1本目で、カルト映画の大傑作として今なお多くの人たちを魅了し続けている1980年の「ツィゴイネルワイゼン」をご紹介します。
ツィゴイネルワイゼン
「ツィゴイネルワイゼン」とはスペイン生まれの ヴァイオリニスト:サラサーテが作った曲です。サラサーテ自身が1904年に録音したレコードが残されているのですが、この録音には、途中に呟き声が入っていることで知られています。
内田百閒がこのレコードの呟き声を題材にして「サラサーテの盤」という小説を書いており、これが映画の原作となっています。
加えて「ツィゴイネルワイゼン」は、「サラサーテの盤」以外にも「山高帽子」「花火」「東京日記」などからも題材をとっており、更にそこにオリジナルエピソードを加えてあります。
鈴木清順としか言いようのない映像美!その素晴らしさが予告編からもうかがい知れますが、あの世とこの世の狭間の世界を圧倒的な演出で描いています。
そして登場人物が、個性的で素晴らしいのです。
ツィゴイネルワイゼン
主な登場人物は4人。
原田芳雄が演じる全国を旅する自由人「中砂糺(なかさご ただし)」、その妻の「中砂園(なかさご その)」と芸者「小稲(こいね)」の二役を大谷直子。
中砂の友人で翻弄されまくる「青地豊二郎(あおち とよじろう)」を映画監督の藤田敏八が演じ、その妻の「青地周子(あおち しゅうこ)」が大楠道代です。
あらすじ
難解と評される「ツィゴイネルワイゼン」ですが、一言でいうと中砂(原田芳雄)と青地(藤田敏八)という親友二人のドイツ語学者をめぐる怪奇談です。
物語はサラサーテの名曲「ツィゴイネルワイゼン」が流れる中、中砂と青地の声がカットインしてくるところから始まります。「何て言ったんだろ」「君にもわからないか」。映画は冒頭から、聞き取れない言葉という“謎”が提示されるのです。
そして場面はかわり、中砂の元へ向かう車中の青地が映し出されます。
中砂糺(なかさご ただし):原田芳雄、小稲(こいね):大谷直子
解説・あらすじ - ツィゴイネルワイゼン - 作品 - Yahoo!映画
青地周子(あおち しゅうこ):大楠道代