概要

初代『アークザラッド』パッケージ
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本作は本体発売から数ヵ月というプレイステーション黎明期の作品であり、架空の世界を舞台にした超王道なファンタジーです。そして何度も言うようですが『アークザラッドII』のプロローグ的なゲームであります。
特徴と評価点
戦闘システムとゲーム内容
フィールドがマスで、各キャラクターが駒となり、一人一人行動を決めながら進めていくオーソドックスなシミュレーションRPGです。行動順は素早さのステータスで決まります。「フリーバトルエリア」を利用した稼ぎができるために全体的に難易度は易しいです。
側面、背面から攻撃すると攻撃をヒットさせやすく、反撃も受けにくいです。逆に正面だと回避されやすく、反撃も受けやすくなります。これによりキャラの背面、距離、地形を意識した戦闘が必要になってきます。
また本作は、フィールド移動の簡略化、アイテム売買や宿屋の概念のなさ、一部を除きダンジョンが存在しないなど、全体的にシンプルな内容になっています。ゲームの展開はイベント→バトル→イベントの流れの連続であり、物語自体も短いため早いテンポでゲームが進行します。
キャッチコピー「光と音のRPG」
本作のキャッチコピーは「光(演出、エフェクト)と音(効果音、BGM)のRPG」なのですが、その名に恥じない秀逸な演出やサウンドを誇っています。
オープニングやエンディング、ストーリー中に流れるムービーは、プレイステーション最初期とは思えないほどクオリティが高く、(ぶつ切りではあるものの)良質なストーリー、演出と相まって物語を盛り上げてくれます。
これは戦闘にも言える事で、各キャラのドットグラフィックもとても丁寧に作られています。特殊能力(技や魔法)のエフェクトも迫力があります。
BGMは、後にレースゲームの名作『グランツーリスモ』を手掛ける安藤まさひろ氏が担当しており、捨てる曲がないほどの名曲揃いです。その評価は非常に高く、ほぼ全ての曲が次回作にそのまま使われたほどでした。
魅力あるキャラクター達
各キャラクターは戦闘面、ストーリー面の両方で個性あるものに仕上がっており、実力派声優を起用した音声と相まってゲームを盛り上げてくれます。
小さなキャラながらも細かな動きが多く、戦闘以外でもコミカルな動きを披露してくれます。
細かな隠し要素、豊富なやりこみ要素
本作は、やり込み要素や隠し要素が多いのが特徴です。主にレアアイテムの入手などに関係し、指定された特定の行動をしたり、闘技場や道場の試練などで最大100回以上の戦闘をこなさねばならないなど、達成条件も厳しいものとなっています。
中でも本作唯一のダンジョン「遺跡ダンジョン」は、各階層に配置されたアイテムを入手できますが、内部でのセーブができず地下50階層のフロアを降りて再び1階に戻ることが条件となっています。一度倒した敵もフロア移動を行うと復活し、下層に行くほど敵は強化されていきます。本編中は5階までしか行く必要がありませんが、任意で最下層を目指すことができ、最下層にはラスボスを凌ぐ最強のボスが待ち受けています。
なお、続編の『II』でも同じものに挑戦できますが、10階毎に回復や脱出が可能な休憩所が用意されていたり、出現する敵やボスが弱体化していたり、クリア後は地下50階まで一気に行くことが出来るなど難易度が緩和されています。また、ボスとの会話は本作と『II』で全く別のものが用意されていました。
賛否両論点
やりこみ要素が単調になりがち
闘技場も遺跡ダンジョンもボリュームはありますが単調な作業になりやすいです。
勝ち数次第で商品をもらえる闘技場はテンポが悪く、一回終わるたびにファンファーレと戦果報告画面、その後主人公たちが闘技場に入場して受付前で立ち止まる流れの繰り返しがある為、1戦1戦に時間がかかります。
こんな形式なのに、最終目標は1000勝です。やりこみ要素でしかないとはいえ、ここまで用意するくらいならもう少しテンポを良くしてほしかったですね…。
隠しキャラも仲間になる遺跡ダンジョンは地下50階まである上、イベント後にまた昇りなおす必要があります。上にも書きましたが、ショートカットはない為地道に行くしかなく、道が狭い為に一々敵を倒さなければ先に進めないフロアが多いので、適当にあしらいながら先を急ぐことも難しくなっています。
内部でのセーブができず中断が出来ないため、一気にクリアしなければならないというのも高難易度に拍車をかけています。
後に配信されたPSPのアーカイブス版なら本体のスリープ機能を用いることで疑似的な中断が可能なので、PSP環境なら多少遊びやすくはなっています。
その他
各キャラがレベルに応じて特殊能力(攻撃、回復、強化などの技)を習得、強化していきますが、特技がランクアップすると低ランクのものは自動的に消滅します。
射程や中心地点からの効果範囲が広がるので使い勝手はよくなるのですが、それに伴って消費MPも増大しているため一長一短といえます。
『II』ではランクアップしても低ランク技は消滅せず、高ランクと切り替えで使えるようになりました。
問題点
ストーリー部分のボリュームの薄さ
このゲームの宿命ですが、ストーリーが盛り上がりかけたところで唐突に終わってしまいます。
おまけ要素の隠しダンジョンもあるとはいえ、それ抜きにストーリー上でのクリアだけを目指すなら非常にボリュームが少なく感じられます。
自由度が少ない
戦闘フィールドと同様の移動マップを自由に動ける街なども一部にはありますが、ほとんどは地図マップとイベントと戦闘フィールドで構成されています。その為せっかくのファンタジー世界や人々と触れ合える機会が少ないです。
ストーリー内では世界のうち計6つの国を移動することになりますが、1つの国につき数か所しか行けるところがありません。
お金の概念や入手アイテムの交換等が無い点も閉塞感(≒作業感)を増しています。
戦闘バランスは良いとは言えない
部分的にきつい部分もあるものの戦闘は基本的に楽勝です。
特にラスボスは「全RPGの中でもトップクラスの弱さ」で、大抵育っているであろう主人公の攻撃特殊能力一撃二撃で瞬殺してしまうほどでした。
他にも召喚獣、フウジンとライジンの二体が敵をはさむと使用可能になる合体技「風雷波」のダメージはほとんどの敵が即死する強さであったり、その一方で、普段のストーリーは次の段階に進んだ時に敵達が一気に強化されたりするので、急にレベル上げが必要になる場面もあります。
総評の前に実際のゲーム画面を
総評

『アークザラッド』サウンドトラック コンプリート
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本作はあくまで続編である『II』とセットで語られる事が多く、このゲーム単品で見れば完成しているとは言い難いです。とはいえ、「光と音のRPG」として売り出しただけの事はあり、発売当初のPSソフトの中では秀逸な出来になっています。
完結編と言える評価の高い『アークザラッド II』が発売された事によって、合わせて本作の評価も上がったと言えるでしょう。
シリーズに触れたことのない方は是非、1と2のセットでプレイしていただき、名作と呼ばれる由縁を感じてほしいですね。
次回作への引継ぎについて
本作のキャラクターデータや入手アイテム、隠しキャラの加入等は次回作である『II』へ全て引継ぐことが出来ます。この点もある為、ますます本作は『II』とセットで評価される事が多いのです。
如何に最適な引継ぎデータを作るかという点にやりこみ要素を見出したプレイヤーも多く、アイテムの取捨選択やレベルアップ状態等の吟味が行われました。
本稿で記載しております情報は、ゲームカタログ@wikiから引用させていただきました。
出典元はコチラです。
アークザラッド - ゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - アットウィキ