古きよき特撮コメディの世界観を再現したバカゲー『超絶倫人ベラボーマン』はヘンな敵キャラ目白押し!

古きよき特撮コメディの世界観を再現したバカゲー『超絶倫人ベラボーマン』はヘンな敵キャラ目白押し!

『超絶倫人ベラボーマン』は、1988年5月20日にナムコからアーケードゲームとして発売されたアクションゲームです。まごうことなきバカゲーですが、噛めば噛むほど味が出るさきイカのような、やればやるほど癖になるゲームでした。ヒーローとは本来かっこいいものではない!ということをベラボーマンは文字通り体を張って教えてくれました。


概要

腕、足、頭が伸びます。もちろん主人公の立派な攻撃ですよ?

PCエンジン版 『超絶倫人ベラボーマン』 パッケージ

Amazon | 超絶倫人ベラボーマン 【PCエンジン】 | PCエンジン

本作は、1986年にリリースされた純和風アクションゲームの傑作『源平討魔伝』の制作チーム『源平プロ』が再結集して手がけた横スクロールアクションゲームです。
蘇った平家の亡者・景清が源氏の大将・源頼朝を討ち取るため、魑魅魍魎の跋扈する日本を戦いながら突き進むというダークな設定だった前作と180度変わり、昭和の高度経済成長期の日本を舞台にしたノスタルジックな世界観の中、アルファ遊星からやってきた謎の宇宙人から「銀の力」こと超変身物質と共に御近所と地球の平和を守る使命を与えられた主人公のサラリーマン・中村等が、正義の味方・超絶倫人ベラボーマンとなって悪の科学者・爆田(ばくだ)博士の野望を打ち砕くために戦うという特撮コメディタッチの物語となっています。

ゲーム概要

コイツが主人公「超絶倫人ベラボーマン」!
……う~ん、べラボー!

「超絶倫人ベラボーマン」フィギュア

超絶倫人 ベラボーマン フィギュア ナムコ コレ... - ヤフオク!

システム自体はオーソドックスな横スクロールアクションです。ステージ総数は32面。
中にはボス戦のみのステージやアイテムのみのボーナスステージもあります。
ステージは全部で3種類。町内、海底、忍者屋敷の3つの世界を、爆田博士が発明した物質転送装置によってたらい回しにされながら突き進み、ステージ最後にいるボスを倒して進んで行きます。
海底ステージでは水中形態「シーベラボー」に変身しミサイルと爆雷を武器に進む横スクロールシューティングとなります。
ライフ制で画面左下の体力メーターが0になった時点でゲームオーバーです。
カウントダウン終了前に「銀の力」を追加する(つまりコインを入れる)と、ミスした地点からその場復活で継続プレイすることができます。

道中にあるアイテムを取ることによってパワーアップが可能です。
体力回復の他、攻撃に貫通性能が付いたり、ゴール地点まで一気にワープできるといった特殊アイテムも存在します。
アイテムキャリアとして「福引男」というキャラがいます。ザコを倒すと落とす福引券を既定枚数集めると出現し、ランダムでアイテムを落として行きます。
彼にもこちらの攻撃を当てることができますが、一定数当てると怒ってアイテムを一切出さなくなり、ステージクリア後の回復アイテムももらえなくなってしまいます。逆に言えばコレを利用しての縛りプレイも可能です。

本作最大の特徴「ベラボースイッチ」について

『超絶倫人ベラボーマン』2D横スクロールアクションゲームとしては極めてオーソドックスであり、単調な印象は否めません。
それでありながら本作を独特な作品として印象付けている大きな要因が、主人公の攻撃手段が「伸縮自在の体によるパンチとキックと頭突き」という設定と、それをシステム上でうまく表現するべく開発された独自コンポジットパネル、通称「ベラボースイッチ」です。(正式名称は「タッチレスポンススイッチ」)
これはボタンを叩く強弱により、攻撃のリーチとジャンプの高度が大中小の三段階に変化するというものでした。
ボタン内に縦に2つのスイッチがあり、2点間の通過時間、つまりボタンを押しこむ速さによって強弱を判定しています。
強弱のつけられない電子鍵盤楽器において、鍵盤を押しこむ度合いによって強弱を擬似的に再現する「タッチレスポンスキー」からヒントを得て開発されたらしいですよ。

ちなみに初代ストリートファイターですでに同様の形態のスイッチが本作に先んじて搭載されていましたが、あちらは感圧式センサーによる強弱判定でした。

実際のゲーム画面

評価点

魅力的な世界観、個性的なキャラクター作りはナムコの十八番

「ベラボースイッチ」の独特な操作性により主人公との一体感が強く、すごく気持ちいいです。
操作系統が変更された移植作ではなかなか味わえない感覚ですね。
60~70年代の高度経済成長期の日本・埼玉の新田駅付近を舞台にした昔懐かしい特撮ヒーローコメディをオマージュした世界観と、それを彩るナムコならではの魅力に溢れた、多彩かつ珍妙で濃いキャラクターたちがとても愉快です。
設定資料には実際の怪獣図鑑などでお馴染みの内部図解などの詳細な設定があり、雑誌やサントラにも掲載されていました。

どのキャラも豊富なアニメパターンでよく動き、そしてよく喋るのでとても賑やかです。(プロの声優を起用しているので棒読みもありません)
主人公のベラボーマンは攻撃ボタンを連打する度に「ベラボー!ベラボー!ベラボー!」と、うっとうしい位に叫びまくってくれます。
忍者屋敷の中ボスで本作品で特に高い人気を誇る紅一点敵キャラ「わや姫」の動きとそのテンションは、もはや異常と言っていいほどエキセントリックでした。手裏剣を投げる際のセリフ「いくわよ!」が 「ちくわよ!」 に聞こえる等の空耳ネタもリアルタイムでプレイした世代にとってはお約束です(笑)。

その他にも、中村に超変身物質を授けた下半身がUFO型の宇宙人、アルファ遊星人や主人公中村の勤める保険会社の商売敵ミロ保険のベテランセールスマン、ライバルであるブラックベラボー、頭のちょんまげがミサイル砲になっていて、降参して土下座する振りをして騙し討ちしようとするピストル大名、歴史上の偉人の脳を自らに移植し、頭部以外の全身をサイボーグ化した上に髪型が核爆発のきのこ雲という典型的なデザインのマッドサイエンティストながらランジェリー研究家という意外な一面を持つラスボスの爆田博士など、ビジュアル面でのインパクトもさることながら、やたら細かく設定の作りこまれた濃いキャラクターたちが目白押しです。

演出や音楽の良さ、小ネタの数々

『源平討魔伝』における障害物である要石と鉄球がそのまま登場したり、「だじゃれの国」(『源平討魔伝』に登場した、突然だじゃれを連発される面)を意識してか、あちこちにダジャレメッセージやスタッフのお遊びメッセージが散りばめられているなど、作り手側の遊び心が随所に盛り込まれている点もGOOD。
ふきだしで表示されるキャラクターのセリフにも、『源平討魔伝』から引用したと思われるものが多々あります。
町ステージのボス、ゾルタンの「これで勝ったと思うなよ」や爆田博士の「そんなに死にたいのなら殺してやろう」など。また、ラスボス戦のBGMでは『源平討魔伝』のラスボス戦BGMのフレーズの一部が流れます。

ちなみに主人公が100円玉(銀の力)で変身するという設定は『源平討魔伝』における「景清(主人公)、「ぷれいや」なる異次元の者の布施(100円)により、地獄よりよみがえりたり。」という設定のセルフパロディです。
『源平討魔伝』から引き続き担当となる中潟憲雄氏が手がけた音楽もいかにもヒーローものらしくカッコいい仕上がりでした。

コンティニュー後はその場復活で継続します。全面クリアまでがかなりの長丁場なので良心的ですね。コンティニューを決定した時のメッセージも豊富です。(あまり連コインを続けると「このゲーム、そんなに面白いですか?」などと問われたり……)
また、ゲーム終了時の演出もただGAME OVERと表示されて終わりではなく、変身が解け、元の姿に戻って帰宅した主人公を妻が玄関先で出迎えるシーンが挿入されるなど、演出のひとつひとつにスタッフの拘りが感じられます。

問題点

ステージ数が多いためアーケードのアクションゲームとしては冗長

『源平討魔伝』もステージ数が多くプレイ時間は長かったが、あちらがルート選択によりある程度攻略時間を短縮できるのに比べ、本作にはルート分岐がなく32面をノンストップで攻略しなければなりません。(一応、ゴール地点まで一気にワープできるアイテムもありますが)
32面ものステージ数に反比例してステージの種類が町・海底・忍者屋敷の3種類のみなのであまり代わり映えもしません。

難易度のバランスがあまりよくない

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