本人が東京銀座の生まれという事もあり、口跡爽やかな江戸っ子(「鬼平犯科帳」第1シーズン第13話「笹やのお熊」1989年)・東京っ子(「銀座わが町」1973年) も演じた。
1989年にドラマ撮影のため滞在していたアメリカ・オレゴン州で脳動脈瘤破裂で倒れ、一時は生死すら危ぶまれたが大手術とリハビリが功を奏し、翌1990年に舞台で復帰している。
1991年公開だったこの『大誘拐』で可愛らしくも転んでもタダでは起きない強かで得体の知れない老ヒロイン ・柳川とし子刀自を演じ日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞を受賞し、健在振りを示した。
2000年代に入ってからは身体の衰えから女優業はセーブするも、2002年公開の「阿弥陀堂だより」では、主演を務めたのが劇団民芸創設時からの盟友だった故・宇野重吉の息子寺尾聰である事から出演を快諾し、阿弥陀堂を守る老女を演じ、日本アカデミー賞・最優秀助演女優賞を受賞した。
2010年4月27日午後8時40分、肺炎のため東京都世田谷区の病院で死去(永眠)した。
小説との違い
原作小説では、柳川本家の屋敷の所在地は「和歌山県津ノ谷村」という架空の村だったが、映画では実在する「和歌山県龍神村」に変更されている。ただし原作小説でも、津ノ谷村の立地は現実での龍神村かその近辺であるような描写はされている。
ちなみに映画では、舞台となった和歌山の地元独立局であるテレビ和歌山が撮影協力し、局内やスタジオ、テレビ中継車が随所に登場した。
大誘拐 (角川文庫)
作品データ
監督・脚本:岡本喜八
原作:天藤真
音楽:佐藤勝
撮影:岸本正広
編集:鈴木晄、川島章正
配給:東宝
公開:1991年1月15日
上映時間:120分
配給収入:5.5億円
誘拐されて立場が弱者である筈の刀自が、なぜか気概を持って井狩に挑んでいく様子がコミカルに描かれた『大誘拐』 。風間トオルのドジな役柄もほっこり出来る良作となっていた。