概要

『GUILTY GEAR』パッケージ
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GUILTY GEAR - Wikipedia
『GUILTY GEAR』は1998年5月14日にアークシステムワークスから発売されたプレイステーション用対戦型格闘ゲームです。 怒涛のコンボを重視したシステムを持ち味とする『コンボゲー』の大家であり、後にあるチャンスを得て続編がアーケードで稼働し、格闘ゲーム業界に一大旋風を巻き起こすことになります。
ストーリー
GUILTY GEAR - Wikipedia
もう少し詳しい設定など
科学と魔法(本シリーズでは「法力」と呼ばれる)が両立し、過去に起こった大戦で荒廃した世界が舞台となっています。攻略本ではゲーム中では語られていないそれら設定が年表付きで詳細に解説されています。
生みの親である石渡氏は、『漫画「BASTARD!!」などをモチーフにした』と発言していました。
例えばメインキャラクターの一人、カイ・キスクの衣装シルエットは「BASTARD!!」のラーズ王子が着用したコートのシルエットまんまであったり、同じように登場人物には「ハードロック・ヘヴィメタル」関連から名前を取ったキャラが多数います。
癖のありすぎるキャラクター紹介
「ソル・バッドガイ」
本作の主人公。神器「封炎剣」で生体兵器「GEAR」を狩る賞金稼ぎ。かつての親友にして全ての元凶である「あの男」なる人物を探している。
飛び道具、無敵対空、突進技を所持したスタンダードな性能のキャラ。
「カイ・キスク」
ソルのライバルにして「もう一人の主人公」。神器「封雷剣」を所持する天才剣士で、弱冠16才で聖騎士団(人類側の精鋭軍)の団長に就任。
ソル同様、飛び道具、無敵対空、突進技を持つスタンダードな性能のキャラ。
後発の関連作品(ドラマCDや小説等)での出番が多い。
「チップ・ザナフ」
「大統領」となって世の中を変えようと考えているアメリカン忍者。何者かによって殺された師匠の仇も探している。
非常に素早い動きが可能で、さらにワープや迷彩といった撹乱技も使える。特に地上ダッシュの早さが半端ない。続編では「防御力がとても低い」という特徴が追加され、その紙装甲っぷりからネタにされることも多くなったが、立ち回りで圧倒すれば上位キャラも食えるので愛用するプレイヤーが多く、彼が主人公の外伝小説も出ているなど愛されてもいる。
「アクセル・ロウ」
元ギャング、20世紀からのタイムスリッパー。超人的な体術で二丁鎖鎌を操る。
鎖鎌はリーチが長く、敵を寄せ付けない戦い方が可能。接近戦もそれなりに強い。
ロック/メタル関連を元ネタに持つキャラが多いとは先に述べた通りだが、このキャラは見た目と名前がそのまんまなド直球(攻略本でも明言済み)。
ちなみにSNKの某棒術使いのキャラにも非常に似ているため騒動になったとかならなかったとか。
「メイ」
義賊「ジェリーフィッシュ快賊団」の一員。小柄な体で錨を振り回す怪力少女。
リーチが短い代わりにすばしっこく接近戦が強い。技もコミカルなものが多い。
因みに初代のみ一部の飛び道具を反射できたりする。
「ポチョムキン」
上半身と下半身がアンバランスなマッチョキャラ。祖国の命令で無理やり戦いに参加させられている。典型的な鈍重&パワーキャラ。巨大な図体かつ重量級キャラであるために、様々なキャラに対ポチョムキン専用のコンボが多く存在する事と、小回りの効かなさで相性の悪いキャラにはとことん我慢と苦戦を強いられるのが不安要素。防御力は一番高いが…。
投げ技「ポチョムキンバスター」はどうみてもアレ。
「Dr.ボルドヘッド」
常人離れした長身を持つスキンヘッドの殺人鬼。かつては優秀な医師であったが、患者の少女を誤って死なせてしまった事がきっかけで発狂してしまった。
体格、キャラの動き、台詞などあらゆる面であきらかにイカれたキャラ。因みに声優は塩沢兼人氏。
「クリフ・アンダーソン」
先代聖騎士団団長。現在は老いたため引退していたが、若かりし頃は一騎当千の強さを誇っていた。身の丈以上の巨大な剣を振るう為に攻撃力が異常に高くリーチも非常に長いが、その代わりに防御力が低く、機動力も最低クラスという超極端な性能。特定の技でぎっくり腰になってダメージを喰らう事もある。続編GGXで削除されたキャラクターの一人。その理由は設定上本作で死亡したこと以外にも、上記のキャラ性能のせいでもあると思われる。ただし家庭用限定のキャラとして登場したりとなんだかんだで愛されているキャラ。
「ザトー=ONE」
アサシン組織の頭領。自らに「禁呪(強力さと危険性の高さから禁じられた法力の術)」を施したことで、影を意のままに操ることができる能力を得た。ただし、その代償として視力を失っている。名前と盲目である設定から明らかであるように、元ネタは『座頭市』。
遠近問わず戦えるキャラ性能と、千変万化する影のバリエーションがウリのキャラ。塩沢兼人氏のボイスと相まって、キャラ人気は高かった。
次回作以降では影の分身との同時攻撃を行う上級者向けテクニカルキャラに。
「ミリア・レイジ」
「禁呪」により髪を武器に変える力を手に入れた元アサシン組織の暗殺者。ザトーとはただならぬ因縁があるらしいが…。発射後向きを変えられる飛び道具や、持ち前の高機動力で敵をかき回しつつ戦うキャラ。続編では起き攻めが強烈な強さを誇るようになる。
「テスタメント」
中ボス。人間を素体とした「GEAR」で、大鎌を振るう死神のような外観。
罠設置に特化しており、移動封印、毒付与、時間差で打ち出されるガード不能の攻撃といったオンリーワンの技を持つ。ボス性能ゆえか、技性能が次回作以降と比べるとかなり凶悪である。
例えば覚醒必殺技の「ナイトメアサーキュラー」。ヒットした相手に毒を付与する技なのだが、本作では毒のスリップダメージでも容赦なく死ぬ上に、テスタメントがダメージを受けても毒が消えない、技自体の威力も高めかつコンボにも組み込める…と凶悪な性能であった。
「ジャスティス」
本作のラスボス。かつて人類に反旗を翻した最強最悪の「GEAR」。見た目はテッカマンブレードに似ている。
通常技、必殺技共に強く(中でも飛び道具は凶悪性能)、覚醒必殺技でボルテッカに似た極太レーザー「ガンマレイ」も照射する。さらにCPUは超反応かつ的確にコンボを決めてくるため、クリアの際の強大な壁となる。
ストーリーとキャラ性能の関係上、次回作以降は家庭用専用キャラとして登場。
「梅喧」
粗暴な女剣士。幼少時に家族を惨殺した「あの男」を探している。
特定の条件を満たすと使えるようになる隠しキャラなのだが、あまり作り込まれているとは言えず、必殺技も少なかった。しかし続編以降では、「ガードキャンセル技主体に立ち回り、相手の勢いを削ぐ」という、独自の戦法を取るキャラに生まれ変わった。
初代での声優は本作でメイの声を演じているこおろぎさとみ女史。彼女の演じる役としては「粗暴な成人女性」というあまり類を見ないタイプのキャラ。
実際の対戦動画
作品の特徴・評価点
爽快感を重視したゲームシステム
二段ジャンプや空中ダッシュ、チェーンコンボ、通常技ジャンプキャンセル、といった動作はほぼ全キャラに搭載されており、適当に操作しているだけでも非常にスピーディで派手な動きができます。初代の時点でシリーズの特徴である「自由度の高いゲームシステム」は確立されていました。
ダストアタック(打ち上げ攻撃、追撃可)、フォルトレスディフェンス(ゲージを使ってバリアを張る)、デッドアングルアタック(ガードキャンセル攻撃)などのシステムも、内容は若干異なりますが名前は本作が初出です。
いわゆる意味の無いアピールが挑発・敬意と二種類ありますが、こちらも本作からでした。
全ての通常技がジャンプキャンセルに対応していたり、空中ダッシュの高度制限が無いといった、バランス重視の格闘ゲームでは考えられない思い切った仕様がいくつか存在しています。
後の作品では制限がかかり厳しくなりましたが、家庭用版ではその制限を本作同様に緩和できる隠しモードが実装されていることもあります。
独特すぎてバランスが崩れるレベルの特殊システム
「一撃必殺技」
文字通り「相手を一撃で倒す」必殺の技です。本作では一撃必殺技を成功させると「規定本数を全て」取ったことになります。つまり本当の意味で勝ちが確定するのです。
発動方法は特殊で、まずボタン同時押しで出せる「殺界発生技」を当てるか、相手の攻撃を受ける直前でガードすると「殺界」が発生。「殺界」中に一撃必殺技コマンド(波動拳コマンドと非常に簡単)を入力すると一撃必殺技が発生し、勝利が確定します。防御側は防御コマンド(竜巻コマンドとこちらも簡単)を出すことで回避できます。
「チャージ」
大半のキャラは「チャージ」という行動で特定の必殺技を強化可能になっています。対応した必殺技と同じコマンド+敬意ボタンでその場で気合を溜め始め、溜めた時間に応じて必殺技の性能が上昇します。
チャージレベルはLv1~3まで存在し、一回必殺技を使うとLv1に戻ります。また、チャージは必殺技同様、通常技をキャンセルして行うこともできます。
ただ、「チャージを終了した時に一切硬直が発生しない」のが大問題でした。これにより、大斬りを当てる→チャージでキャンセル→チャージを一瞬で終了→ダッシュ→通常技を当てる…というお手軽極まりない永久コンボ「チャージキャンセルコンボ」が成立してしまうのです。
一部チャージを持っていないキャラもいますが、そういうキャラに限ってパンチ→キック→パンチ→キック…と繰り返すだけで永久コンボになったりします。
続編では共通システムとしては削除されたましたが、カイがこのシステムを再現した技を持っていたり、聖騎士団ソルが固有システムとして似たようなチャージシステムを持っていたりと、後の作品でも活用されています。
個性あふれるキャラクター達
当然キャラクターデザインも石渡氏が担当。雑誌の前情報などでキャラクターイラストは公表されており、独特のセンスを持ったそれらはゲーム発売前から注目を集めていました。
キャラごとのエンディングも凝った作りになっています。特にソルとクリフのエンディングは必見です。
当時としては実験的なゲームとBGM
家庭用オリジナル作品であったにも関わらず、そのSFや中世ファンタジーが混ざりあった独特の世界観やキャラクターの濃さ、メタル風の激しいBGM、派手なエフェクト・演出など、当時のゲームとしては非常に実験的な試みでした。
石渡氏の作曲した戦闘曲は人気が高く。エレキギター全開のハードロック/ヘビーメタルが主体のBGMとなっています。
どれも良曲ぞろいで、「Holy Orders」「Suck a Sage」「Writhe in Pain」「Momentary Life」などのBGMは後のシリーズでも使用されており、ラスボス・ジャスティス戦の「Meet Again」などは非常に人気が高いです。
ゲームをプレイしたことが無い人でも聞いたことがある曲もあるかもしれません。

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問題点
世紀末すぎるムチャクチャなゲームバランス
大半のキャラが弱攻撃が入ったらそこからチャージキャンセルコンボに繋げられるうえに、その難易度も他の格ゲーに比べて容易でした。どう考えても「世紀末」なゲームバランスです。
もっとも、チャージキャンセルを使わない永久・即死コンボも普通に開発されていたりするのですが…。
「ダッシュしながら攻撃を出すとダメージが倍増する(通称:CLASH)」「チャージで強化すると異常な攻撃力になる技が多数ある」「体力半分以下だと覚醒必殺技(=超必殺技)が撃ち放題になる」「低空ダッシュの高度制限が無いためジャンプキャンセルからの低空ダッシュでコンボ繋ぎ放題」「何にでもダッシュ慣性が仕込めるためノックバック無視し放題」といったイケイケ調整もその滅茶苦茶ぶりに拍車をかけています。
さらに気絶の解除条件が「コンボ補正が切れたところで攻撃を当てるか、ダストアタックを当てる、または殺界発生技を食らった際に回避コマンドを入力する事、もしくはダメージを受けていない状態で一定時間経過する事で解除される」のいずれかとなっており、上記の条件を避ければ気絶させっ放しでコンボを繋げることができます。気絶中は受身も一切取れないので空中コンボもつなげ放題でした。
システム面でも問題が…
まず基本的な部分ですが、CPU戦の難易度が高いです。
序盤はそうでもありませんが、後半~ラスボスは的確に反撃・コンボを決めてくるためまさしく鬼です。ノーコンティニューでクリアするなら、チャージキャンセルコンボの使用もやむをえないレベルでしょう。
前述したとおり、本作では体力が50%以下になったら覚醒必殺技使い放題なのですが、ラスボスはそれを悪用して覚醒必殺技「ガンマレイ」を連発してきます。避けにくい極太レーザーを照射し、ヒットしたら大ダメージ+100%気絶、そして再びガンマレイを撃たれて終了、ガードしても大量の削りダメージ…ととんでもないことになります。ただし、照射直前の隙を突いてダッシュ攻撃で出かかりを潰す(実は本作では覚醒必殺技の暗転時に時間停止がない)、ハイジャンプで空中に逃げる、といった抜け道もあります。
なお、一撃必殺技はCPUも狙ってくることがあります。
また、CPU戦の難易度・本数設定ができない点も難易度上昇に一役買ってしまっています。
コンボ重視のゲームなのに、高く飛んでも画面がほとんど上にスクロールせず、せっかくの空中コンボが画面の上端や体力ゲージで隠れてしまう事が多いのも問題ですね。
ダストアタック(浮かせ技)を当てた時などは浮いた相手がちょうど体力ゲージの裏の辺りに留まるため、最初から見せる気が無いとしか思えません。
一撃必殺技を回避された場合、仕掛けた側が先に動けるようになっているのですが、相手が無防備なところにそのままコンボを繋げる事が可能なキャラがいます。回避しなければ一撃必殺が待っているのですが、回避してもコンボからワンチャンで死ぬという素晴らしい理不尽仕様です。
「殺界発生技を喰らった瞬間に気絶すると絶対に回避できない」という、これまた理不尽な仕様も存在しています。
コミカルで豊富なバグの数々
ここまでくれば当然、バグもやたらと多いです。再現の難しいバグから実戦でぽんぽん起こるバグまで様々なものが発生します。実戦投入できればさらなる世紀末化が期待できるバグも多いでしょう。復刻版で修正されたものもありますが、ほんの一部のみでした。
中でも面白いものは「CPU戦の対戦相手が全員ポチョムキンになる」という謎の裏技ですね(笑)。これを使うと、ジャスティス登場デモの後なのにポチョムキンが出てくるという珍妙な事態に。しかしCPU戦の後半の難易度は(使用キャラにもよりますが)それでも結構高いのが現実でした。
テスタメント・ジャスティス・梅喧の勝利台詞が用意されていないというのもバグなのでしょうか…。通常プレイでは勝利台詞を見ることができませんし、ある手順を踏むことで勝利台詞を出現させても、「ただいま開発中によりメッセージが用意されておりません」という、いかにも「作りかけ」といった趣旨のメッセージが表示されるのみとなっております。
総評
ここまで読めばだいたい察しが付くでしょうが、本作の要素を全て解禁した時「ゲームバランス」などというものはどこかに消し飛んでしまうほどガタガタで粗い作りであることが分かると思います。
もし本作が当時のアーケードシーンや現在のネット対戦用ゲームとして登場していたら、間違いなく「商品失格のクソゲー」呼ばわりされるであろうレベルであり、そこかしこに今となっては考えられないトンデモ調整が行われている点が数多く見受けられます。処女作の時点で世紀末の血脈を感じることが出来るのではないでしょうか。
しかし、爽快感あふれるゲーム性や魅力あるキャラクター、名曲揃いのBGMといった良点は決して無視できるものではなく、「『家庭用ハードでしか展開していない2D格闘ゲーム』としては飛び抜けた完成度の高さである」という印象を与えてくれる作品ではありました。
どう考えても最悪のバランスなのに何故か面白い、とマイナーながらも地味な人気を得た名(迷?)作です。
余談
本作の製作スタッフ「TEAM NEO BLOOD」は「全員が入社したてのホヤホヤで、これまで商用ゲームを制作したことが無く、さらに人数も少ない」というにわかには信じられない事実があります。少人数制作によるフットワークの良さが、(世紀末に足を突っ込んではいますが…)いい結果を残したと言えます。
本作の発売当時はやはりメジャーな存在とは言えず、「面白いクソゲー」として一部で人気を獲得するに留まっていました。
しかし、大手メーカーながらゲーム方面ではいまいちだったサミーの目に止まり、続編製作が決定。そして2000年に完成、発売された続編『GUILTY GEAR X』はついにアーケードに進出、格闘ゲーム界及びアーケード業界に新風を吹き起こすこととなります。

続編『GUILTY GEAR X』
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本稿で記載しております情報は、ゲームカタログ@wikiから引用させていただきました。
出典元はコチラです。
GUILTY GEAR - ゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - アットウィキ