元号が平成じゃなかった可能性も!他の候補だった『修文』と『正化』について

元号が平成じゃなかった可能性も!他の候補だった『修文』と『正化』について

外国を含めても歴史上で最も長く続いた元号である昭和から平成へ。1989年に当時官房長官だった故・小渕恵三さんが「平成」と書かれた色紙を掲げてから30年近くが経つ。当時他に2つの元号候補が存在したのをご存知だろうか。


平成の元号は平成31年4月30日まで

1989年1月8日から始まった平成の歴史。2019年(平成31年)4月30日に天皇陛下が譲位され、終了する予定となり、30年113日間(=11,070日間)が経過した時点で一時代に区切りがつけられる。

《天皇陛下の譲位の日程に関する記事》

新たな元号「平成」を世間に発表したシーン

激動の昭和から平成へ。外国を含めても歴史上で最も長く続いた元号である昭和。
メディアは昭和天皇の崩御、昭和の歴史を連日伝えていた。

その時代の移ろいにおいて象徴的なシーンと言えば、当時官房長官だった故・小渕恵三さんが掲げた「平成」の色紙だろう。「新しい元号は『平成』であります」とのコメントを発した小渕さんは”平成おじさん”と呼ばれた。

色紙を掲げるアイデアは、小渕さん自身によるものとのこと。
また、この日本中が注目した二文字を書いたのは、総理府人事課(当時)の職員で書道家でもあった河東純一さん。発表の20分前にメモを見せられ、そこから筆を執ったという。
河東さんによれば、平成の文字は画数が少なくて書きにくいそう。

平成10年(1998年)に小渕さんが第84代内閣総理大臣に就任した際、「あ!平成おじさん」と思った方も多いのではないだろうか。

80年代、90年代の歴代総理大臣から時代を探る - Middle Edge(ミドルエッジ)

嵐の”年賀はがきのCM”が懐かしい

「そうか、平成30年か!」と嵐の台詞で始まる日本郵便の年賀はがきCM。30秒のCMの中で、29年間の出来事がスライドショーのように流れ、何かと振り返る事の多い年末らしい内容となっている。

このウェブサイト・ミドルエッジで主に扱っている1970年~2000年内で、1989年から始まる平成は12年間ある。

同CMでいえば、平成元年の「ベルリンの壁崩壊」、平成3年の「初のケータイ発表(デジタル方式)」、平成5年の「ルーズソックス流行」、平成9年の「きんさん ぎんさん」、平成10年の「ガングロブーム」、平成11年「嵐、結成」、平成12年の「2000年ミレニアムイヤー」など、懐かしい出来事が並び、当時を知る方なら「あれが平成〇〇か」と時間の経過に感慨を覚えたのではないだろうか。

”平成生まれ”も来年で「そうか、三十路か!」。若さの象徴だった彼らも立派なアラサーという事実に改めて驚かされる。

平成以外の候補は「修文」と「正化」だった

政府は昭和天皇崩御の当日の午後には「平成」「修文」「正化」という3つの候補を提示している。

その際、「元号に関する懇談会」や衆参両院正副議長委員から、ローマ字表記の頭文字が昭和と同じく「S」となる「修文(しゅうぶん)」(Shubun)・「正化(せいか)」(Seika)の2候補は不都合ではないかという意見が出たため、ローマ字の頭文字が「H」である「平成(へいせい)」(Heisei)に全員一致で決まった経緯がある。

平成は「国の内外、天地とも平和が達成される」という意味であり、真偽は定かではないが幕末の「慶応」改元の際も候補に上がっていたともされている。

「修文」は古典中国文学者の目加田 誠(めかだ まこと)が、「正化」は儒学者、国語学者の宇野精一が提案した。

「正化」については「先代の天子も明らかな徳を持っており、今の天子も明らかな徳を持っておられる。重なる明るさが正しいことについてこそ、天下の万物を成育させ成長させることができる」という意味があるという。

前述の河東さんによれば、事前に候補は3つあるのではと聞いていたので、発表当日は紙を4枚用意していたそう。しかし、伝えられたのは「平成」のみ。結局4枚目が丁重に運び出されたそう(ちなみに最初から4枚目を提出しようとしていたらしい)。

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