忠臣蔵を題材にした映画・ドラマの中で「大石内蔵助」を演じた印象に残る俳優②【1960年代中旬以降】

忠臣蔵を題材にした映画・ドラマの中で「大石内蔵助」を演じた印象に残る俳優②【1960年代中旬以降】

忠臣蔵を題材にした映画・ドラマの中で「大石内蔵助」を演じた印象に残る俳優①【1960年代中旬以前】の続編です。さて、どんな俳優が出てくるでしょうか??


『大忠臣蔵』は民放としては昔にも今にもなかった異例の規模で製作された超大型時代劇!!

『大忠臣蔵』(だいちゅうしんぐら)は、全52回にわたり、1971年(昭和46年)1月5日から12月28日まで、NETテレビ(現在のテレビ朝日)系列ほかで(毎週火曜午後9時)に放送されたテレビドラマである。
言わずと知れた物語の中心人物である大石内蔵助には三船敏郎が扮している。

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民放番組としては異例の規模で注力された大作時代劇で、さながら当時のテレビドラマ版オールスター作品とでもいうべき様相を持つ。製作費は放送当時の10億円であった。時代劇については、当時よりNHK大河ドラマを意識した、あるいは大河ドラマに対抗するべく立ち上げられた企画は多かったが、主な役だけではなく、端役に至るまで当時テレビ出演が可能であった大物俳優や当時人気があったタレントやコメディアンも端役などで数多くをこぞって出演させた。

本名	おなじ
生年月日	1920年4月1日
没年月日	1997年12月24日(77歳没)
出生地	中国山東省青島市
死没地	東京都三鷹市
血液型	O型
職業	俳優、映画プロデューサー、映画監督

三船 敏郎(みふね としろう)

このテレビ番組を見るまでは大石内蔵助と言えば、「やさしい昼行灯」がいざという時には豹変するイメージが確立されているのにも拘らず、いつも戦闘態勢みたいな三船がどうやって演じるのか、さっぱりイメージがわかなかった。ミフネに「家臣」「家来」という役は想像しにくいのだ。
ところがどっこい!。腹の底に何かをグッと飲み込んで目的に向かって一直線の剛直な家老、ミフネ内蔵助が意外にもいい感じに仕上がっているのでした。このような内蔵助も”あり”かも!?

『元禄太平記』(げんろくたいへいき)は、NHKが1975年1月5日から12月28日に放送した13作目の大河ドラマ。忠臣蔵をテーマにした大河ドラマとしては『赤穂浪士』(1964年)に続き、第2作目にあたる。
忠臣蔵事件を5代将軍徳川綱吉の側用人・柳沢吉保(石坂浩二)の側から描くという、当時としては斬新な切り口の作品となっている。

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柳沢吉保は、”将軍の寵愛をいいことに、豪商と結託したり綱吉に美少年を与えたり、権謀術数を巡らせ出世していく人物”として、あちらこちらの時代劇で描かれているが、演じた石坂浩二は「吉保の悪徳ぶりは資料を調べてびっくりしたのですが、ただの悪にしたくなく、むしろ彼の知謀に魅力を感じ、役を引き受けた。」と言っている。
それと、大石内蔵助を演じたのが、悪役も多数演じたこともある江守徹であった。若い頃に火事騒ぎで偶然出会った吉保の事を覚えている。
まさにこの『元禄太平記』では善・悪の逆転現象が面白かった。

本名	加藤 徹夫(かとう てつお)
生年月日	1944年1月25日(73歳)
出生地	日本 東京都
血液型	A型
職業	 俳優・演出家

江守 徹(えもり とおる)

江守徹が演じた大石内蔵助の評価はかなり高い。藩主在籍の頃はのんきな昼行灯(ひるあんどん)と影口を叩かれ、ボーっとしているような演技、藩主切腹後は、仇討ちまでの期間、世間の目をあざむき吉良を油断させるために、お金を湯水のように使って遊び呆けている演技、しかし仇討ちの時には、りりしく指揮をとり、ピシッと決めたところに役者魂を感じた。本当に、討ち入りのシーンは迫力があって好きだった。(やはり、これも悪役を多数演じたお蔭でしょうか??)

1979年(昭和54年)にテレビ朝日の開局20周年記念番組で放送された『赤穂浪士』

サウンドトラックのレコードがまたたまらなくなつかしい!!

1979年(昭和54年)の4月16日から12月24日までテレビ朝日で放送された同局開局20周年記念番組の時代劇である。毎週月曜日、夜9時の枠で放送された。原作は大佛次郎の同名小説。全36話。
主演の萬屋錦之介は、前年公開の映画『赤穂城断絶』(深作欣二監督)においても大石内蔵助を演じた

1979年テレビ朝日で放送された『赤穂浪士』のサウンドトラックレコード

この年はテレビ番組が豊作で「探偵物語」「西部警察」「金八先生」「熱中時代刑事編」「俺たちは天使だ!」「トミーとマツ」「マー姉ちゃん」などが放送中で、めちゃめちゃにぎやかなことか!!。
この大佛次郎(おさらぎじろう)原作の「赤穂浪士」には堀田隼人、蜘蛛の陣十郎、お仙なる架空のキャラクターが登場し、人気もあるのだが、今回それぞれを演じている田村正和、長門勇、中島ゆたかが見事にハマッており、原作のイメージとひじょうに近い。

萬屋 錦之介(よろずや きんのすけ)
本名	小川錦一
生年月日	1932年11月20日
没年月日	1997年3月10日(64歳没)
襲名歴	1. 初代中村錦之助
2. 萬屋錦之介
出身地	京都府京都市中京区
職業	歌舞伎役者・映画俳優

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当時の梨園では“役者たちに歌舞伎・映画両方での活動を許せば、映画で人気を得た若造たちに梨園の秩序をかき乱される”という危機感ともとれる見方が大勢であり、父時蔵は「中途半端はいけない。映画界に行くなら歌舞伎を辞めて行きなさい。もし映画で失敗しても歌舞伎に戻ることは許さない」と錦之助に決断を迫ったといわれる。
結局錦之助は歌舞伎を断念する道を選び、1953年11月15日歌舞伎座子供かぶき教室『菊畑』の虎蔵実ハ牛若丸を歌舞伎卒業公演として、1954年2月映画界に転向する。
錦之介は沢島忠に「45歳になったら必ず大石内蔵助をやります。その時は監督をして欲しい」と依頼していたという。この作品で錦之介は、舞台・映画・テレビの全てで内蔵助を演じたことになった。萬屋錦之助の品格ある演技と剣技の凄さが作品を数倍面白くしている。

赤穂藩断絶を現代の企業倒産になぞらえ描いた『峠の群像』

『峠の群像』(とうげのぐんぞう)は、1982年1月10日から12月19日に放送されたNHK大河ドラマ第20作。赤穂事件を題材とした作品。
江戸時代の元禄と放送時の時代が同じような時代の方向が変化する時期となる「峠」の時代だとする原作者・堺屋太一の観点を軸に、赤穂事件を現代的に描いたドラマ。赤穂藩断絶を現代の企業倒産になぞらえ、仇討ちのヒロイズムよりもサラリーマンつまり赤穂の藩士たちがいかに行動したかを再考する作品となっている。脚本にはデビューして間もない冨川元文が大河ドラマ史上最年少で起用され、これによる各回のサブタイトルがユニークであった。

峠の群像―NHK大河ドラマ・ストーリー (1982年)

配役面では主役にベテランの緒形拳を起用する一方、当時人気絶頂にあった"たのきんトリオ"のひとり野村義男をはじめ、三田寛子、小泉今日子、錦織一清、薬丸裕英など、次世代のアイドルが多数起用されている。
この「峠の群像」は登場人物がひじょうに人間くさく描かれており、それらしいエピソードや人物描写で物語を構成することにより、どんな人だって正しいときや間違ってるときはあらぁな。というスタンスをつらぬきながら「とりたてて立派なわけではない」ヒトたちが、それぞれ思い思いの目的で、最終的に討ち入りという目標に向かってどんどんまとまっていく忠臣蔵を完成させた。まさに画期的と言っていい傑作。

緒形 拳(おがた けん)
本名	緒形 明伸(おがた あきのぶ)
生年月日	1937年7月20日
没年月日	2008年10月5日(71歳没)
出生地	東京府東京市牛込区(現・東京都新宿区)
血液型	B型
職業	俳優

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『峠の群像』の中で最大の功労者はやはり主人公・内蔵助を演じた緒形拳の演技であろう。この人は何の役をやっても緒形拳の顔&演技なのだが(多少のメーキャップで変化しているが・・・)、みごとに登場人物になりきれる名優であり、今回も「彼の内蔵助」を完成させている。
お家の大事まではコミカルな要素も多かった昼行灯の彼が、赤穂藩がお取りつぶしとなり、うろたえ、迷いに迷い、耐えに耐える。ノイローゼ気味になったりもするが、討ち入りを決意してからは人相がすっかり変わり、殺人者となる決心が演技に見て取れる。この、うろたえたり、精神状態が不安定になる内蔵助というのは見たことがなかったのが、まさに本作の見所である。

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