来年2018年から始まる大河ドラマ『西郷どん』
2018年1月からスタート予定のNHK大河ドラマ『西郷どん』。主要キャストの一人だった斉藤由貴が例の騒動で降板し、代役に南野陽子が据えられるというひと騒動があったものの、西郷役の鈴木亮平、その親友・大久保一蔵(利通)役の瑛太が、果たしてどんなドラマを演じてくれるのか、今から注目が集まっています。

西郷隆盛を演じる鈴木亮平
鈴木亮平(@ryoheiheisuzuki)さん | Twitter
画家の創作だけど、根強くイメージされ続ける西郷さんのあの顔
さて、西郷隆盛といえば、太い眉毛にぎょろっとした大きな目という、いかにも九州男児っぽい縄文顔でお馴染み。しかし、このパブリックイメージは、明治時代に来日しお雇い外国人画家・キヨッソーネが、隆盛の実弟従道と従弟・大山巌の顔を組み合わせて描いた肖像画によって広まった「偶像」。本人が生前写真を一枚も残していないため、正確な西郷隆盛像というわけではないのです。
とはいえ、日本人が抱く西郷さんのイメージといえば、キヨッソーネ作のあの顔しかないのであり、それゆえ、時代劇の西郷役の俳優は、皆すべからく、太眉&目力強めになっています。では、これまでの大河ドラマで西郷役を演じた俳優は、どんな外見をしているのでしょうか?今回、60年代~90年代の大河ドラマを対象に調べてみました。

西郷の親戚を参考に想像で描写した西郷隆盛
西郷隆盛 - Wikipedia
三姉妹(1967年)‐演:観世栄夫
当時、大河ドラマ初の試みとして、架空の人物を主人公に据えるというコンセプトのもと制作された『三姉妹』。本作では、武家出身の三姉妹の視点から見た幕末の動乱~明治維新が描かれており、その中で数多くの歴史上の人物が登場します。もちろん、維新志士の代表格として、西郷吉之助こと西郷隆盛も登場。演じたのは、『竜馬がゆく』『草燃える』など、生涯で大河ドラマに計6回出演した能楽師・観世栄夫でした。

西郷隆盛役 観世栄夫
特集記事から探す | NHKアーカイブス
「大河ドラマ 三姉妹」の動画視聴・あらすじ | U-NEXT
竜馬がゆく(1972年)‐演:小林桂樹
新撰組副長・土方歳三の生涯を描いた『燃えよ剣』と双璧をなす、司馬遼太郎の幕末群像劇の傑作『竜馬がゆく』。これまでに都合5度にわたってテレビドラマされている同作が、大河ドラマとして公開されたのは、1968年のことでした。

グラフNHK/'67年12月15日/特集 竜馬がゆく
グラフNHK/'67年12月15日/特集 竜馬がゆく - ヤフオク!
主人公竜馬を演じたのは、当時25歳だった北大路欣也。彼の活躍を描く以上、当然、薩長同盟を結んだ際の薩摩側の代表者・西郷吉之助も登場するわけであり、これを1969年の映画『新撰組』では土方歳三を、1985年の大河ドラマ『春の波涛』では福沢諭吉を演じた名優・小林桂樹が演じます。

小林 桂樹
小林桂樹 - Wikipedia
勝海舟(1974年)‐演:中村富十郎
作家・子母沢寛の同名小説を映像化したこちらの大河ドラマは、勝麟太郎(勝海舟)役の渡哲也が病気で、脚本担当の倉本聰が演出家との不和で途中降板するという、トラブル続きだった作品としても知られています。

勝海舟
Amazon | 松方弘樹主演 大河ドラマ 勝海舟 総集編【NHKスクエア限定商品】 -TVドラマ
本作で西郷を演じたのは、歌舞伎役者の5代目・中村富十郎。その大きな目と四角い顔はいかにも、絵や銅像で見る西郷どん像に近似しているように見えます。
ちなみに、史実に基づくと、勝と西郷がファーストコンタクトをとるのは、元治元年9月11日の大坂において。西郷の印象を勝は「その度量の大きさにほとほと感心した」と述べたそうです。

五代目 中村富十郎
日本舞踊競演集|平凡の友
花神(1977年)‐演:花柳喜章
司馬遼太郎文学の特徴といえば、精神論者を異常なまでに嫌い、おべっか使いには嫌悪感を滲ませ、才子肌は認めるにしてもどこか冷めた目線が漂い、コミュ障の合理主義者へは過剰に肩入れをすることで知られています。

NHK大河ドラマ 花神
Amazon | NHK大河ドラマ総集編 花神 [DVD] -TVドラマ
『花神』は、まさにそんなコミュ障の合理主義者・村田蔵六こと大村益次郎の半生を描いた作品。大河ドラマにおいて主人公・蔵六は、歌舞伎役者の4代目中村梅之助が演じ、西郷吉之助を演じたのは、本作が放送された翌年に舞台上で倒れて亡くなってしまった、俳優の花柳喜章です。

花柳 喜章
その2 | 歴代の名優 | 俳優名鑑 | 劇団新派 公式サイト
翔ぶが如く(1990年)‐演:西田敏行
西郷隆盛を単独で主人公に据えた大河ドラマは、2018年の『西郷どん』が初めてですが、W主演という意味では、既にこの『翔ぶが如く』で果たされています。
司馬遼太郎原作の同作における主人公は、鹿賀丈史演じる大久保利通と西田敏行演じる西郷隆盛。同じ薩摩の同窓で、さながら兄弟のように育った2人が、明治の英傑となった後に袂を分かち西南戦争で対決するまでを描いています。

大河ドラマ 翔ぶが如く
Amazon | 西田敏行主演 大河ドラマ 翔ぶが如く 完全版 第弐集 DVD-BOX 全6枚セット【NHKスクエア限定商品】 -TVドラマ
徳川慶喜(1998年)‐演:渡辺徹
これも、司馬遼太郎の原作。1960年代に彼が執筆した中編小説『最後の将軍 徳川慶喜』をベースにつくられています。

大河ドラマ 徳川慶喜
Amazon | 大河ドラマ 徳川慶喜 総集編 [DVD] -TVドラマ
主人公・徳川慶喜役には、1991年の『太平記』以来、2度目の大河主演となった本木雅弘。将軍が主人公であるため、幕臣・幕閣たちの描写が多めになり、幕末ものとしては維新志士の活躍は少な目ではあるものの、そこは重要人物だけあって、西郷吉之助もしっかりと登場。テレ東の『マリオスタジアム』ですっかり司会業が板についていた頃の渡辺徹が演じていました。

渡辺徹
NHKオンデマンド | 大河ドラマ 徳川慶喜 第36回 仇(あだ)討ち
(こじへい)