批評するだけのことはある?セルジオ越後の現役時代を調べてみた

批評するだけのことはある?セルジオ越後の現役時代を調べてみた

辛口サッカー評論家として知られるセルジオ越後。かつては、18歳でブラジルの名門・コリンチャンスとプロ契約を交わし、世界的に有名なドリブルフェイント「エラシコ」を考案するスピードとテクニックを兼ね備えたドリブラーとして活躍したといいます。そんな選手時代のセルジオの軌跡をまとめてみました。


6大会連続でワールドカップ出場を決めた日本。しかし…

2017年8月31日。埼玉スタジアム2002で行われた、FIFAワールドカップアジア最終予選第9戦・オーストラリア戦において勝利し、見事、6大会連続で本大会出場を決めたサッカー日本代表。最終予選初戦のUAE戦をホームで落とすなど、一時はどうなることかと行く末が危ぶまれたものでしたが、終わってみれば、貫禄の1位通過。終わりよければすべてよし…そんな弛緩したムードが、ライトなサッカーファン及び日本全体に漂っているのはご存じの通りです。

日本、サッカーW杯出場決定 6大会連続6度目  :日本経済新聞

相変わらず、怒っているセルジオ越後

しかし、いつものことながら、怒れる男がいます。そう、セルジオ越後です。本戦出場決定には素直に喜びを示したものの「今のままではW杯で一勝もできない」と、毎度のことながら危機感をあらわにしたのです。
日本が負けたら烈火のごとく批判するし、勝ったら勝ったで「強豪相手では通じない」「世界レベルでは相手にならない」と痛罵する…彼のサッカー評論家としてのスタンスは、今も昔も変わりません。一種の様式美さえ感じるというものです。

それにしても、なぜ、この70過ぎの小太りのおじいちゃんが、これほどまで強気に有名選手や代表監督を痛烈に批判できるのか、気になったことはないでしょうか?それは野球における張本勲や金田正一と同じで、確かな実績を残しているからに他なりません。今回は、あまり語られることのないサッカー選手だった頃のセルジオ越後について掘り下げていきたいと思います。

17歳でサンパウロの名門・コリンチャンスに入団

1945年7月、ブラジル・サンパウロ州サンパウロで、日本人移民の両親のもと、日系ブラジル人二世として生を受けたセルジオ越後。彼が10代の少年期を過ごした半世紀前ほど前のブラジルといえば、1958年・1962年のワールドカップに2大会連続優勝を果たし、国内のサッカー熱が最高潮に高まっていた時期。セレソンの活躍に触発され、多くの子供たちがボール蹴りに夢中になっていた当時において、セルジオもまた、そんなサッカーに魅せられた少年の一人だったのでした。

優勝を果たしジウマールの肩にもたれかかり涙を流すペレ(中央)

ペレ - Wikipedia

小柄ながらも技術に長けていた彼は、プロエンサ高校在学中の17歳の時に地元のクラブチーム、コリンチャンス・ユースのテストを受けて合格。コリンチャンスは、現在までに国内リーグ優勝6回、サンパウロ州選手権優勝27回を数える、ブラジル国内屈指の名門。かつては、ソクラテス、ドゥンガ、リバウド、ロナウドといったブラジル代表のクラックも多数在籍していました。

コリンチャンス

Sport Club Corinthians Paulista - Wikipedia

伝説的名手・リベリーノに、妙技「エラシコ」を伝授

この強豪チームにおいて、セルジオは18歳の時にプロ契約を結びます。そこで知り合ったのが、後にブラジル代表のレジェンドとなるリベリーノです(1946年生まれでセルジオの1歳下)。

リベリーノ

Rivellino - Wikipedia

2人は早くから親交を深め、その交流によって1つのドリブルスキルが誕生します。それは、ボールをアウトサイドで素早く外へ蹴りだすフリをして、インサイドで内に蹴り込んで進む「エラシコ(ゴムひもの意)」というフェイント。
かつては、ロナウジーニョがその名手として名を馳せ、現在でも、イブラヒモビッチやクリスティアーノ・ロナウド、ネイマールといった1流プレイヤーも度々使用する、オーソドックスなスキルとして知られています。この妙技を、ペレやガリンシャのドリブルからヒントを得て考案したのがセルジオであり、それをリベリーノが面白がって真似たために、一躍有名になったのだとか。セルジオはリベリーノに「僕が発明し、君が完璧なものにした」と語ったといいます。

1972年に、日本サッカーリーグの藤和不動産サッカー部に入部

セルジオはコリンチャンスで、卓越した個人技と俊足を活かし、主に右ウィングの選手として11試合に出場。しかし、選手層の厚さに苦しみ、わずか1年で退団してしまいます。
その後、建築系会社で営業をしたり、ブラジル2部のチームでプレーしたりした後、1972年、日本サッカーリーグ(JSL)1部の藤和不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)からのオファーを受けて来日。当時、ヤンマーのネルソン吉村、ジョージ小林といった日系ブラジル人が成功を収めていたこともあり、チーム強化の起爆剤として、同じ日系二世で元プロのセルジオに白羽の矢が立ったというわけです。

セルジオはその期待に応え、圧倒的なテクニックと抜群の戦術眼を兼ね備えたプレイメーカーとして活躍。そのトリッキーなボールさばきから“魔術師”の異名を取り、ファンから愛されたといいます。

1974年に藤和不動産サッカー部退部に伴い現役を引退。1975年に新興チームの永大産業サッカー部でコーチを務めた後、1978年からは、コカ・コーラがスポンサーの「さわやかサッカー教室」を日本全国で開き、少年たちの指導に当たりました。

指導した人数はのべ50万人。なお、20年近く前に撮影された指導風景の映像が残っているのですが、当時で既に50歳は超えているはずにも関わらず、かなりうまいです。

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