『ガンプラり歩き旅』その31 ~もしもガルマがザクに乗っていたら!?~

『ガンプラり歩き旅』その31 ~もしもガルマがザクに乗っていたら!?~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第31回は、連載初のモビル・スーツ・バリエーションから、ガルマ・ザビ専用ザクをご紹介!


このキット付属のマゼラトップ砲は、旧キットよりもしっかりサイズやディテールが作り込まれており、かといって後に発売されるEXモデル版ほどにはリファイン過多ではないという、ちょうどよい案配であり、解像度、情報量もHGUCザクに準拠している。

オマケに(ちょっと悲しい話だが)結局「ガルマ専用ザク」という、旧ガンプラブームですらスルーされたアイテムが、ちょっとでっかい斧やマゼラトップ砲を付属させた程度で人気商品になるわけでもなかったので、今でも比較的安価で手に入る。
Amazonあたりなら数百円なので、下手をすれば旧キット1/144 マゼラアタックとコストはあまり変わらないので、イマドキハイディテール版のマゼラトップ砲を求めるのでなければ、筆者は是非にと、これをお勧めする。

余談になるが、旧ガンプラブーム時、実際に大河原邦男氏は、全身に過剰装飾が施されたドズル・ザビ専用ザクなどもデザインしており、ザビ家メンバーのカスタムザクとしては、そちらの方が認知度が高いのだが、ドズル専用ザクとして商品を作ろうと思うと、全身にエングレーブ処理をしなければならず、売れ行きに見合うだけのコストでは収まらないという算段もあったのだろう。
そのなかで、今回紹介するガルマ専用ザクもデザインが起こされ、それは通常のザクとほとんど形状自体は同じであったため、今回のHGUC化でも、ほぼ忠実に商品化されている。

大河原邦男氏が描いたガルマ専用ザクのデザイン画

元々HGUC ザクのキットは、その後のMSV展開を考慮して前腕のパーツなどが分割されていたというのもあって、このガルマ専用ザクも、肘のグレーの丸だけはシールだが、後はほぼ、往年の指定カラーリングを成型色で再現。
通常のザクとの形状の一番の差別化は、頭部のバルカン砲の設置だが、実はこの「ザクの頭部のバルカン砲」は、ガルマ専用ザク固有の設定ではなく、80年代のガンダムブームのさなかにおいて、大河原邦男氏が描いた、劇場版ポスターなどのイラストのうち何点かで、シャア専用ザクや通常のザクにも描き込まれていた武装であり(そういう意味では、元祖解像度アップ部分なのかもしれない)、だからこのガルマ専用ザクをシャア専用ザクカラーで塗れば、当時の劇場版ポスター版シャア専用ザクなども作れるわけであって、バンダイの戦略としては「そういった需要」も当て込んでのチョイスだったと思われる。

こうして立たせて設定画と見比べると、カラーリングも正確に再現されていることがわかる

しかし、それら「マゼラトップ砲付属」「80年代当時のリアルタイプザク再現可能」は、それほど求心力があるバリューとは言えず、このガルマ専用ザクもザクのバリエーション展開のフックとしては売り上げが弱く、結果、HGUC 032 ザクベースのMSVはこれのみで終わってしまい、事実上高機動ザクの初商品化となったHGUC 152 黒い三連星ザクは、2013年に新規金型で改めてゼロから作り直される形で商品化され、遅まきながらMSVザクシリーズをその金型で展開したという経緯がある。

そんなこんなで、まずは「市川大河流統一レギュレーションにもっとも近いマゼラトップ砲が安価で手に入るから」というのが、今回この商品を購入した動機の一つではあるのだが、実はひっそりと、このMSVだけには、他のMSVにはない設定特徴があるから、というのも購入動機に結びついている。

それは「存在そのものが、正式にアニメ版の中で言及されているMSV」は、後にも先にもこれ一つなのだということだ。

本編でその存在が唯一言及されたMSV!

例えるのであれば、シャアや黒い三連星用の旧ザクなどは、『ガンダム』全編を見渡せば、なるほどそういうバリエーション機体がルウム戦役の時にはあったのかもしれないという説得力は持っている(というか、後付けで現代では正式に「あった」ことにされてはいるが)。しかし、シャアが、黒い三連星が、ルウム戦役で活躍したことについてはアニメ版『ガンダム』内で言及されているが、その時に彼らが旧ザクに乗っていたかどうかまでは、明確に台詞や画では言及されていないのだ。
それは、「アニメでは全く存在が前提とされていなかった」という点では、ジョニー・ライデン専用ザクや、シン・マツナガ専用ザクのように「そもそも、お前誰だよ。アニメに出てないだろ」というツッコミや、ザクキャノンやグフ飛行試験型のように「アニメにおけるジオン軍の兵器開発の流れの中では、存在しえたかもしれないけど、少なくともアニメ版には登場していないよね」という殆どのMSVモビル・スーツと同じである。

“そういう意味”では、今回のガルマ専用ザクも、画として存在するのはアニメ終了後に大河原邦男氏が描いた設定イラストだけであり、アニメ版には出ていないという点では他のMSV機と同等なのだが。
実はアニメ版をよく見ていくと、少なくとも「ガルマは自分用のザクを自軍内に配備していた」ことまでははっきり確認ができるのだ。

それは、第6話『ガルマ出撃す』の劇中のことで、そのエピソードの中でガルマは自身専用のカラーリングのドップファイターで出撃するのだが、そのガルマ出撃を知ったシャアと、部下ドレンとの間で、以下の会話が台本で記述されている。

シャア「ガルマはモビルスーツにのったか?」
ドレン「いえ!」
シャア「そうか、……ガルマは乗らなかったか、……彼がガンダムと戦って死ぬもよし、危ういところを私が出て救うもよしと、思っていたがな……」

そう、ここで明確に、ガルマ専用ザクの存在だけは、アニメ内で明言されているのだ。
確かにこの場合、いろいろ推察しようにも、曖昧なセリフ一つしかソースがないわけだから、そもそものニュアンスが微妙で、「ガルマのモビル・スーツ」が、ザクである保障も、専用機である保障もないわけだ。
しかし少なくとも、ザビ家の末弟であるガルマがモビル・スーツを持っているとすれば、この話のタイミングでは、旧ザクはあり得ないし、事実上失敗作だった(劇中内でも、メタ的にも)グフということもあり得ないので、やはりここではザクであるという解釈が妥当であろうし、その場合ザクは、一般将校のシャアですらパーソナルカラーに塗り替えていたわけだから、ガルマが乗るザクも専用機としてパーソナルカラーに塗り替えているだろうと考える方が自然だ。

事実『ガルマ出撃す』で登場したガルマ専用ドップファイターも、ガルマのパーソナルカラーに塗り替えられて登場しており、後のガルマ専用ザクのカラーリングはむしろ、このガルマ専用ドップファイターから逆引きされたという流れがあるのだから。

なので(「歴史に『if』はない」とは分かってはいるが)、もし仮に、この『ガルマ出撃す』で、ガルマがドップファイターではなく、自分専用のザクに乗って出撃していたら? という想像は、失礼だが「もしランバ・ラルに専用のドムが配備されていたら」よりも、フラグ分岐の可能性としては天と地ほどの差がある思考実験になってくるのである。
試しに、『ガルマ出撃す』のクライマックスを、せっかくなので、このHGUC 034 ガルマ専用ザクを使って、疑似再現してみよう。

ガルマ「この化物がぁー! おちろ! おちろ!」

アムロ「茶色のザク? 隊長機か?」

アムロ「いけるか!?」

ガルマ「しまった! ガウ、聞こえるか! 後退するので援護を頼む!」

概ねの流れはアニメ版そのままに、ガルマの乗機をドップファイターから専用ザクに入れ替えると、このような案配の流れになるだろうと言える。

……とまぁ、長々講釈をたれてきたが、このザクを手に入れた動機としては「適度なマゼラトップ砲が手に入るから」だけであったことは間違いはなく、アニメ版原理主義のこの連載で取り上げるバックボーンとしては、数あるMSVの中で、メジャー、マイナーに拘らず「アニメ版にもっとも登場しやすい立ち位置だった後付け設定メカ」としては、このガルマ専用ザクだったというのが、詭弁ではあるが正論である。

市川大河公式サイト

関連する投稿


「黒い三連星」が10cmの可動フィギュアに!G.M.G.シリーズにガイア、オルテガ、マッシュが参戦

「黒い三連星」が10cmの可動フィギュアに!G.M.G.シリーズにガイア、オルテガ、マッシュが参戦

『機動戦士ガンダム』の人気パイロット小隊「黒い三連星」の3人が、メガハウスの可動フィギュアシリーズ「G.M.G.(ガンダムミリタリージェネレーション)」に登場!約10cmのサイズながら驚異の可動性とリアルな造形を両立。ガイア、オルテガ、マッシュがノーマルスーツ姿で、2026年7月下旬に発売予定です。


ガンダムが伝統工芸「卯三郎こけし」に変身!木の温もり溢れる3体が登場。限定セットは台座付き

ガンダムが伝統工芸「卯三郎こけし」に変身!木の温もり溢れる3体が登場。限定セットは台座付き

ガンダムの世界観を表現するアパレルショップ「STRICT-G」より、群馬県の伝統工芸「卯三郎こけし」との初コラボ商品が登場。ガンダム、シャア専用ザク、量産型ザクが、職人の手仕事による温かい木製こけしになりました。2026年1月5日から予約開始。ファン必見の「和」の逸品を詳しくご紹介します。


SDガンダム外伝の「黄金神話」のカードが、全種プリズム箔押し仕様の「スペリオルドラゴンエディション」で復活!!

SDガンダム外伝の「黄金神話」のカードが、全種プリズム箔押し仕様の「スペリオルドラゴンエディション」で復活!!

バンダイナムコグループ公式通販サイト「プレミアムバンダイ」にて、「SDガンダム外伝」シリーズより『新SDガンダム外伝 黄金神話 スペリオルドラゴンエディション』が発売されます。


放送開始から40周年!『金曜ロードショー』の初代OP映像がまさかのプラキット化!!

放送開始から40周年!『金曜ロードショー』の初代OP映像がまさかのプラキット化!!

ホビー通販大手の「あみあみ」より、メーカー「スタジオシュウトウ」が展開する『金曜ロードショー プラキット』が現在予約受付中となっています。


「新機動戦記ガンダムW」より、30周年を記念したフィギュア『ヒイロ・ユイ&リリーナ・ピースクラフト』がリペイント再販!!

「新機動戦記ガンダムW」より、30周年を記念したフィギュア『ヒイロ・ユイ&リリーナ・ピースクラフト』がリペイント再販!!

ホビー通販大手の「あみあみ」にて、メーカー「メガハウス」が展開する『アルファオメガ 新機動戦記ガンダムW ヒイロ・ユイ&リリーナ・ピースクラフトセット 30th Anniversary リペイント再販』が発売されます。


最新の投稿


伝説の「プロレスリング・マスター」武藤敬司、その足跡を網羅。『Gスピリッツ選集』第3巻が待望の発売!

伝説の「プロレスリング・マスター」武藤敬司、その足跡を網羅。『Gスピリッツ選集』第3巻が待望の発売!

辰巳出版は2026年3月6日、プロレス専門誌『Gスピリッツ』の証言集第3弾『Gスピリッツ選集 第三巻 武藤敬司篇』を発売しました。平成の新日本プロレス黄金期を支え、日米を股にかけて活躍した武藤敬司のキャリアを、本人や関係者の貴重なインタビューで振り返る一冊。新録インタビューも追加された、全プロレスファン必携の保存版アンソロジーです。


没後30年、俳優・渥美清の軌跡を辿る。神保町シアターで「寅さん」から知られざる名作まで12本を特集上映

没後30年、俳優・渥美清の軌跡を辿る。神保町シアターで「寅さん」から知られざる名作まで12本を特集上映

東京・神保町の名画座「神保町シアター」にて、2026年3月14日より特集上映『没後30年 俳優・渥美清』が開催されます。国民的映画『男はつらいよ』シリーズの人気作をはじめ、主演を務めた貴重なラブコメディや社会派人間ドラマなど、全12作品をフィルムで上映。日本映画界に多大な足跡を残した稀代の名優、渥美清の多才な魅力を再発見する貴重な機会です。


『ドラゴンボール』亀仙人の「カメハウス」が超精巧フィギュア化!内装まで再現した豪華セットが登場

『ドラゴンボール』亀仙人の「カメハウス」が超精巧フィギュア化!内装まで再現した豪華セットが登場

バンダイスピリッツより、ドラゴンボールの聖地「カメハウス」を立体化した『ワールドコレクタブルフィギュア PREMIUM-カメハウスセット-』が登場。全高約22cmのハウス本体は室内まで作り込まれ、悟空や亀仙人など7体のフィギュアが付属。日常シーンから名場面まで自由に再現可能なファン垂涎のアイテムです。


伝説の歌姫が横浜に降臨!『中森明菜 ザ・ステージ・プラネタリウム』LEDドームで特別追加上映が決定

伝説の歌姫が横浜に降臨!『中森明菜 ザ・ステージ・プラネタリウム』LEDドームで特別追加上映が決定

コニカミノルタプラネタリアYOKOHAMAにて、伝説の歌姫・中森明菜の魅力を堪能できる『中森明菜 ザ・ステージ・プラネタリウム-LED ver.-』が4月5日まで特別追加上映。圧倒的な高輝度・広色域のLEDドームで蘇る歌唱姿、限定特典の「難破船」ステッカーやコラボドリンクなどファン必見の内容です。


90年代英国の熱狂が新宿に!109シネマズプレミアム新宿で「UKシネマWEEKS」が3月6日より開催

90年代英国の熱狂が新宿に!109シネマズプレミアム新宿で「UKシネマWEEKS」が3月6日より開催

109シネマズプレミアム新宿にて、国立新美術館の「テート美術館展」と連動した特別企画『UKシネマWEEKS with DOMMUNE』が開催。90年代英国カルチャーを象徴する『トレインスポッティング』など厳選5作品を上映。坂本龍一氏監修の音響システムが、当時の熱狂を極上の鑑賞環境で蘇らせます。