『ガンプラり歩き旅』その31 ~もしもガルマがザクに乗っていたら!?~

『ガンプラり歩き旅』その31 ~もしもガルマがザクに乗っていたら!?~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第31回は、連載初のモビル・スーツ・バリエーションから、ガルマ・ザビ専用ザクをご紹介!


茶色の四肢に濃緑のボディ。アニメ未登場のガルマ・ザビ専用ザクだ!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回紹介するのは、前回のHGUC シャア専用ザク、量産型ザクに続く、HGUC初のMSV、ガルマ・ザビ専用ザクを、こちらもMSVキット初レビューでお届けします!


ザクⅡ 1/144 HGUC 034 ガルマ・ザビ専用 2002年9月 1050円

ガルマ専用ザクのボックスアート。背景はやはり、仮に出番があったとしたらここしかないという、第6話『ガルマ出撃す』をイメージさせるシークエンス

「テレビアニメ『機動戦士ガンダム』(1979年)本編に出たメカのガンプラだけを、紹介し続ける」と銘打ったはずのこの『ガンプラり歩き旅』。
なぜここへ来て、いきなり本編未登場の「本編終了後の設定でっちあげモビルスーツ」いわゆるモビル・スーツ・バリエーション(以下・MSV)を紹介するのか?
実はそれには2つの理由がある。

キットはシャア専用ザクの成型色替えだが、頭部にバルカン砲が装備されてるなどの違いはある

そもそもMSVとは、『機動戦士ガンダム』放映終了後に始まったガンプラ展開の大ブームを受けて、あえて「テレビには出てこなかったけれど、ジオンや連邦軍はこんなモビル・スーツも開発していたんだ!」を基本モチーフに、既存のザクやガンダム、ドムやグフをベースに、「プロトタイプ」「高機動型」「水中戦用」「砂漠戦用」「〇〇キャノン」等々、ミリタリースケールモデラーマニアたちの嗜好をベースに、模型雑誌独特の記事展開や、大河原邦男氏の新規イラストなどを軸足にしながら、『ガンダム』の続編『機動戦士Zガンダム』(1985年)放映半年前まで続けられたガンプラ長期シリーズであり、当時のガンプラモデラーであれば、「1/144 ザクマインレイヤーは、事実上1/144 ザクのリファインである」や「1/100 パーフェクトガンダムの追加装甲を外した状態は、事実上1/100 ガンダムのリファインである」などが常識で、今でも当時のガンプラファンの名残として、HGUCやMGシリーズでも商品化されている金字塔カテゴリである。

ガルマザク、造形上での唯一の変更点の頭部のアップ。バルカン砲のモールドはシャープ

しかし、大河さんの『機動戦士ガンダムを読む!』は、あくまでアニメ版『機動戦士ガンダム』の名場面再現を目的としており、後の後付け設定や上書き歴史修正などは、一切取り込まないコンセプトで成り立っている。
では、なぜここでいきなりMSVの、しかも「HGUC ガルマ・ザビ専用ザク」なのか?

フル装備状態のガルマザク。お坊ちゃん機体なのに、なぜか強そうな迫力!

一つは、実用面としてこの商品を買った理由が「このキットには、1/144 マゼラトップ砲が付属する」から、というのが挙げられる。
マゼラトップ砲とは、アニメ版『ガンダム』で登場した、ザクが使用する特殊兵器で、元々はジオン軍の陸戦戦車・マゼラアタックの砲塔部分だけをパージさせて、ザクがそのマニュピレーターで操作して撃つ武装のことだ。

今回の主役(?) 本キット付属のマゼラトップ砲

マゼラトップ砲は、劇場版映画『機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編』(1981年)中盤、テレビ版では第21話『激闘は憎しみ深く』で登場し、ランバ・ラル仇討ち部隊のザクが一発だけ撃った描写のみの、まさに「一発メカ」なのだ。
しかし、そのシーンはガンダムのメカマニアの間でも認知度は高く、ぜひとも再現したいカットでもある。

なので、どうしてもマゼラトップ砲の1/144キットが必要になってくるのだが、2017年現在、1/144 マゼラトップ砲の選択肢は、実は全部で3つある。

実際の劇中でマゼラトップ砲が使用された、第21話『激闘は憎しみ深く』を再現した一コマより

まずは、旧キット、ガンプラ初期の頃の1/144 マゼラアタック(1982年6月発売)を買うと、その主砲部分が取り外せて、専用のアタッチメントを取り付けることで文字通りマゼラトップ砲に“変形・合体”するというギミック。
しかしさすがにこれは旧キットゆえ、形状も今一歩の出来で、グリップやフォアグリップなども丸棒のままだったり、差し替え可能な状態にしておくと、マゼラアタック時に砲身が安定しない等の問題が多発するので却下。

このキットには後年後付けで設定された、ガルマザク専用の大型ヒート・ホークが付属している

一方で、以前この連載で、ガンダムトレーラーを紹介したが、あの商品カテゴリEXモデルで、「No28 マゼラアタック(2006年3月)」という、まんまな商品が出ており、こちらの砲身もまたマゼラアタックに変形するのだが、こちらはEXモデルなので、価格設定が3500円とハードルが高く、また(いつもの)「解像度」的に、ハードディテールでデザインリファインされているし、メインのマゼラアタックは旧キット版がちょうどビジュアル的には見合っているわけで、わざわざマゼラトップ砲のためだけに3500円(下手をすれば再販がかかっていないタイミングだとそれ以上の対価)を払ってまで手に入れるのもバランスが悪いというのがあった。

旧キット過ぎて使えない見栄えと、最新特殊キットゆえに高価すぎて緻密過ぎるEXモデルとの板挟みにおいて、そのちょうど中間に位置して筆者の需要とピッタリマッチした形で需要を満たしてくれるマゼラトップ砲が、このHGUC 034 ガルマ・ザビ専用ザクには付属していたのだった。

こうした角度からの写真であれば、このヒート・ホークの大きさが把握できる

そもそもこのHGUC 034 ガルマ専用ザクは、HGUCシリーズ初のMSV商品でもあったわけで、MSVという存在自体が、イマドキのガンプラファンにどれだけ受け入れられるかは未知数ということもあったので、ザク本体は、ほぼその直前のHGUC 032 シャア専用ザクの金型が使いまわせる、成型色の変更と、頭部パーツの入れ替えだけで成り立っている商品仕様で様子見となった。

ガルマ専用ザクは、MSVの中でも特にメジャーメカというわけではなく、むしろ旧キット時代にすらキット化されなかったマイナーバリエーションである。
なので、今も書いたようにシャア専用ザクをベースに、必要最低限の金型改修で別商品化されたわけだが、バンダイサイドとしては、そこに何か「MSVならでは」以外のバリューも付加しておきたいと思ったのだろうか。
このガルマ専用ザクには、通常のザクマシンガンとバズーカの他に、後年改めて設定された、この機体専用の巨大ヒート・ホークと共に、誰がどう考えてもガルマ専用ザクとも、ガルマ・ザビ本人とも関係ない「いずれ発売する量産型ザクに持たせてね」と言わんばかりに、なぜかマゼラトップ砲が付属してきたのである。

ガルマ専用ザクのバックショット。バックパックはボディと同じ色

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