思い出の「昭和有名人伝記マンガ劇場」第2回:永遠の女ドラゴン「志穂美悦子物語」!

思い出の「昭和有名人伝記マンガ劇場」第2回:永遠の女ドラゴン「志穂美悦子物語」!

昭和の人気タレント・スポーツ選手や、漫画家・政治家たちの伝記マンガを紹介する、この連載企画。第2回目に紹介するのは、ミドルエッジ世代にとっての「俺達が蹴られたい女優No,1」である彼女。そう、永遠の女ドラゴンこと我らの悦っちゃん、「志穂美悦子物語」だ!


昭和の人気タレント・スポーツ選手や、漫画家・政治家たちの伝記マンガを紹介する、この連載企画。
第2回目に紹介するのは、ミドルエッジ世代にとっての「俺達が蹴られたい女優No,1」である彼女。そう、永遠の女ドラゴンこと我らの悦っちゃん、「志穂美悦子物語」だ!
彼女の銀幕デビュー1年後の人気絶頂期に掲載されたこのマンガ、当時これを読みたくて雑誌を買われた方もおられるのでは?
彼女がどうしてアクションの道を志す様になったのか?その人知れぬ努力と苦悩の日々が語られる本作こそ、正に悦っちゃんファン必見の作品だと言えるのだ!

志穂美悦子とは?

ミドルエッジ世代なら良くご存知の彼女こそ、日本が誇る元祖本格アクション女優にしてアイドル!
当時18歳の彼女が、そのアイドル顔負けの可憐なルックスから繰り出す華麗なアクション!そのギャップに、我々少年の心は鷲づかみにされたのだった。

岡山県出身、1955年(昭和30年)10月29日生まれの彼女も現在61歳。
1987年の長渕剛との結婚以来、半ば引退状態だった彼女だが、2011年頃から再び芸能活動を再開!
最近は朝のワイドショーへの出演や、フラワーアーティストとしてのメディア露出も増えて来ており、昔からのファンにとっては再び彼女の姿を見ることが出来るだけでも、非常に嬉しいことだと言える。

初主演作にして代表作、「女必殺拳」スチル写真!

同じく主演映画、「必殺女拳士」(上)と「女必殺拳危機一発」(下)

彼女の代表作と言えば、1974年から始まった東映のカラテ映画路線での主演作品「女必殺拳」シリーズだが、我々ミドルエッジ世代にとっては、やはりその前に出演したテレビの特撮ドラマ「キカイダー01」での薄幸のアンドロイド・ビジンダー役と、カラテ映画ブーム後に出演したテレビドラマ「熱中時代」への出演が、やはり印象深いのではないだろうか?

体内に爆弾を仕込まれた薄幸の美人アンドロイドのビジンダー。
右は、アクション指導中の千葉真一。

「キカイダー01」より。

もちろん、若い世代の方には、ドラマの「親子ゲーム」や「影の軍団」シリーズ、映画「二代目はクリスチャン」で初めて彼女の姿を見た、という方もおられるはず。
70年代の衝撃的な登場から、やがてアクションだけで無く本格的な女優へと活躍の場を広げ、その後惜しくも結婚引退してしまった彼女。だが、未だに我々男性ファンの間では永遠のアイドル「悦っちゃん」として認識されている、唯一無二の存在!それが志穂美悦子なのだ。

*志穂美悦子について更に詳しく知りたい方は、以下のリンクよりどうぞ。

志穂美悦子 - Wikipedia

マンガ「志穂美悦子物語」概略

注:実は印刷インクと用紙の関係で、当時のマンガ雑誌は保存状態によりインクが染みて裏のページに写ってしまっていることが非常に多い。今回使用した原本も裏写りが激しかったため、かなり見にくい部分があるのだが、貴重な資料であり現在非常に入手困難な作品でもあるので、どうかご容赦頂ければ幸いです。

この「志穂美悦子物語」のマンガが掲載されたのは、月刊少年チャンピオン1975年6月号。
当時の月刊少年チャンピオンには、映画のコミカライズ作品や有名スポーツ選手の伝記マンガと一緒に、こうした有名芸能人の伝記マンガが掲載されるのが普通だった。

掲載誌の表紙。

今回紹介したマンガ以外にも、近代映画社より志穂美悦子の伝記本が出版されていたが、残念ながら現在では入手困難となつてしまっている。

貴重な伝記本、「限りなきアクションへの道」表紙。

ここで紹介されているのは、マッハ文朱共演による主演映画「華麗なる追跡」。
ちなみにこの次の号には、「マッハ文朱物語」のマンガが掲載されている。

掲載号の巻頭ピンナップにもカラー写真が!

この掲載号では伝記マンガだけでなく、巻頭ピンナップとして公開間近の主演作品「華麗なる追跡」の紹介も掲載されていた。後述するが、この後で志穂美悦子は東宝映画「瞳の中の訪問者」に出演するなど、次第に本格派女優として活躍の場を広げることになる。

「志穂美悦子物語」内容紹介

作者は田辺節雄先生!

「志穂美悦子物語」表紙絵。

ちなみにこれは主演作「若い貴族たち・13階段のマキ」の頃のイメージ。

田辺節男先生による志穂美悦子!

近所に住むケンちゃんという男の子に片思いしていた、小学校時代の志穂美悦子。
まさかこの後に衝撃的な事件が起こるとは・・・。

初恋の男の子との淡い思い出。

ケンちゃんが車の事故に遭い病院に運ばれた!

突然の事故!

ケンちゃんの病室へと走る悦子。だが、病室に着いた悦子の前には、冷たくなったケンちゃんの遺体が・・・。

病院へと走る悦子!

幼少時にこれだけのトラウマを受けるとは・・・・。しかもそれをこうして公の場で発表するとは!
70年代当時の倫理規定の自由さが良く判る。今では遺族の個人情報問題などで、規制がかかりそうな重いエピソードだ。

死の恐怖と衝撃が悦子を襲う!

気の強い悦子が初めて流した、初恋のケンちゃんへの涙。
数ページに渡って描かれた、この重すぎる幼少時のトラウマ。実はこれが後のJAC加入への重大なきっかけになるのだが・・・。
ちなみに左の広告カットは、当時のプレゼント告知用の物。志穂美悦子のレコードが30人に当たる!という太っ腹な企画だったようだ。

悲しみに耐える悦子の姿。

時は流れて高校生になった悦子。

年頃になった彼女の手紙のお相手は誰?

幼少時にあこがれていたケンちゃんの面影が、千葉真一にあったとは!
こうして千葉先生のアクションとカッコ良さに惹かれた彼女は、やがてアクションそのものに憧れを抱く様になる。

ファンレターの相手は千葉真一先生!

千葉真一先生との運命の出会い!

両親には内緒でJACの入団試験を受ける悦子!

岡山から東京へと単身上京することに。

千葉真一先生の厳しい審査に見事合格!

こうして、憧れの千葉真一とJACの元で修行することになった志穂美悦子。
しかし、慣れない東京暮らしの中での千葉真一の指導と練習は、16歳の少女にとっては想像を超える厳しさだったのだ。

毎日続く厳しい練習に思わず弱音が・・・。

千葉真一先生の思わぬ申し出に、心が揺れる悦子。

「楽な方法?」

実はこれ、千葉真一先生が悦子のヤル気を試すためのテストだった。

再び決意を新たにした悦子!

千葉真一先生にその実力を認められた悦子は、遂にデビューを飾ることになる。

遂にチャンスが!

志穂美悦子としての記念すべき映画デビュー作は、千葉真一主演「ボディガード牙・必殺三角飛び」。
本作公開後の1973年12月より、テレビの「キカイダー01」にもビジンダー役で出演。こうして志穂美悦子は本格的にスターへの階段を駆け上がって行くことに。

スタントウーマンから、遂に映画デビュー!

1972年10月のJAC入団以来、僅か1年での映画デビューは正に驚異的!
もちろん、1973年12月に公開された「燃えよドラゴン」の大ヒットにより、日本の映画界がカラテ映画製作へとシフトする時期だったこともあるが、時代の流れさえ味方に付けるその強運!もちろん志穂美悦子の生まれ持ったスター性だけでは無く、本作に描かれている血の滲むような努力の積み重ねによる物なのは言うまでもない。

実は「ボディガード牙」の1作目にも、渡辺やよいのスタントとして参加しているのだが、この時は本名である塩見悦子での出演だった。その後「ボディガード牙・必殺三角飛び」で正式デビューする際に、千葉真一の本名である前田禎穂(まえだ さだほ)から「穂」の一字を取って、「志穂美悦子」の芸名が誕生することになる。

1973年10月に公開された本作での役柄は、主人公の妹。ラストで目が見えなくなった牙に敵の居場所を教えるなど、デビュー作ながら重要な役柄を見事に演じている。

映画デビュー作のポスター。

1974年4月から半年間放送されたドラマ「ザ・ボディガード」放送中の8月、遂に初主演作となる東映映画「女必殺拳」が公開!大ヒットを記録することになる。

そして映画スターへと成長!

アイドルとしても人気絶大だった志穂美悦子。人気の証明であるプロマイドの売り上げも、1976年からは他の女性歌手やタレントを抑え、堂々売り上げ1位となっていた。

当時売られていたプロマイド(右)と、主演作「若い貴族たち・13階段のマキ」宣伝ハガキ(左)

確かにブルースリーブームに沸いた1974年が明けたこの1975年は、千葉真一は既にテレビドラマの方に活躍の場を移しており、東映のカラテ映画は実質志穂美悦子一人で支えていたと言っても過言では無い。

遂に、恩師千葉真一を超える人気となった志穂美悦子!

最後に

いかがだっただろうか?
本作は志穂美悦子が人気絶頂だった1975年の作品だけに、ラストも「これからも頑張れ、我らの悦っちゃん!」的なエンディングになっている。
だが残念ながら、この後彼女は本格的に女優への道を歩むことになり、次第にアクションよりもドラマやバラエティなどの出演が増えて行くことになる。テレビの「熱中時代」への出演や画像で紹介した音楽活動など、幅広い活躍を見せた彼女だが、1987年の長渕剛との結婚により惜しまれながらも芸能界を引退することに・・・。

下段の2枚はアクション女優として活躍していた頃の物。上段の2枚は「熱中時代」出演以降の物。
ちなみに左下の「13階段のマキ」は映画の主題歌として使用され、映画のタイトルバックにも流れている。

志保美悦子のレコードジャケット。

だが、当時からのファンの人気は高く、未だに山口百恵と並んで復活が待望されている70年代を代表する女優、それが志保美悦子なのだ!
実は個人的に彼女のデビュー当時からの新聞記事や雑誌記事を集めていて、いつか彼女の足跡を紹介したいと思っていた。この記事の反響次第では、その他の主演映画関係の資料と併せて、ミドルエッジで随時発表していこうと思っているので、どうかご期待下さい。

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