4人のアメリカ人タレントがCMした日産マキシマ

4人のアメリカ人タレントがCMした日産マキシマ

「Max Relax MAXIMA」と、ケント・デリカット、ケント・ギルバート、チャック・ウィルソン、デーブ・スペクターの4人のアメリカ人タレントが出演していた日産マキシマ。バブル時代のクルマと思いきや、アメリカではまだまだ人気車種なのです。


ブルーバードの派生車種だった初代

U11型にV型6気筒エンジンを搭載したブルーバードマキシマ。4ドアハードトップは日本専用になる。

Nissan Bluebird Maxima Hardtop (U11) 1984–86 images

U11型そのものは1983年10月に発売されており、マキシマはちょうど1年後の追加。日米同時に発売されました。エンジンはセドリックなどと同じVG20ET型のSOHCターボ。日本で初めて、V6エンジンとFF方式が組み合わされたクルマでもありました。

上級グレードには「ルグラン」のグレード名が付けられました。これは、時を経て、現在の日産シルフィの特別仕様車に「Gルグラン」として使われています。

1986年11月にマイナーチェンジが行われ、前面が傾斜したスラントノーズに変更。さらにノンターボのVG20E型エンジン搭載車も追加されました。1987年5月には、車名がマキシマとして独立しました。

ブルーバードマキシマの4ドアセダン。セダンボディは北米向けにも設定された。

Images of Nissan Bluebird Maxima Sedan (U11) 1984–86

ケント・デリカット、ケント・ギルバート、チャック・ウィルソン、デーブ・スペクターの4人が出演していたCMのマキシマは、単独としては初代ですが、日本市場として見ると実は2代目にあたります。

初代のマキシマはブルーバードの派生車種で、「ブルーバード・マキシマ」の名で販売されていたのを、クルマに詳しい方なら覚えていることでしょう。ボディはブルーバード初のFF方式となったU11型そのままで、4ドアセダンと4ドアハードトップが設定されました。ただし、標準タイプにはないV型6気筒2000ccエンジンを搭載するため、ボンネットが延長されています。

北米向けのマキシマ。カラーリングやメッキの使い方が、いかにもアメリカンな印象。

Photos of Nissan Maxima (U11) 1985–86

同年9月には4気筒モデルのブルーバードはフルモデルチェンジしましたが、マキシマは1988年まで製造されました。なお、北米市場にはステーションワゴンも設定されていました。

ちなみにトヨタでも、同様に北米で人気のカムリにV型6気筒2000ccエンジンを搭載したカムリ・プロミネントを1987年に追加しました。ただし当時のカムリは、北米向けに6気筒エンジンの設定はなく、マキシマに対抗するための車種でした。

3ナンバー専用ボディとなった2代目

フルモデルチェンジで、3ナンバー専用ボディとなったマキシマ。今までの国産車にない、広大なキャビンが特徴。

Pictures of Nissan Maxima JP-spec (J30) 1988–91

マキシマは1988年10月にフルモデルチェンジし、J30型という、ブルーバードから完全に独立した型式名になりました。

特筆すべきは1760mmの車体幅です。実はこれまで日本には、乗用車の車体幅は1700mm以下という規制があったため、プレジデントやセンチュリー、初代シーマでさえ、1700mm以下に収まっていました。

2代目マキシマの内装。セドリックやローレルのような、日本流の高級感はない。

Images of Nissan Maxima JP-spec (J30) 1988–91

規制が撤廃され、この幅を初めて越えた乗用車がマキシマだったのです。ボディは4ドアセダンのみとなり、エンジンはV型6気筒3000ccのVG30E型と搭載。シーマやセドリックなどと同じ系列のエンジンで、トルクを太めに設定したSOHCの160馬力エンジンのみがラインナップされました。

車内もいわゆる「3ナンバー車」の豪華さではなく、ブルーバードと大差ないシンプルなものでした。なぜならマキシマは、北米では一般向けのクルマであり、日本向けにもほぼそのままの内容で販売したからです。大柄なアメリカ人タレント4人を起用したCMも、それを明確にするものでした。

北米仕様のマキシマ。日本仕様と同じ外観をしている。

Nissan Maxima US-spec (J30) 1989–94 images

3ナンバーブームに遅れてDOHC化

シーマの登場以来、日本では3ナンバーの高級車がブームとなっていましたが、マキシマは日本人の好む高級志向とは違うため、売れ行きはイマイチでした。

1989年8月にスポーティ仕様のSEを追加。1991年8月のマイナーチェンジでは、エンジンがV型6気筒3000ccのVE30DE型に変更され、DOHC化により195馬力を発生しました。ちなみにこのVE型は、VG型のFF専用仕様で、マキシマのみが採用しました。

ライト類がスモーク処理され、リアスポイラーを追加。ステアリングやシートも専用のものになった。

1989年に追加されたスポーティグレードのSE。

Nissan Maxima SE JP-spec (J30) 1989–91 photos

また、外装のメッキや内装の木目調パネルの採用などで高級感が増しましたが、売れ行きは相変わらずパッとしませんでした。1992年からはヨーロッパでも販売を開始しました。

1994年に日本での販売を終了。FR方式の初代セフィーロと統合され、ネーミングはセフィーロが、車体はマキシマが残る形で、マキシマは日本市場から消滅しました。FFモデルとなった2代目セフィーロは、手頃な価格とほどほどの高級感で大ヒットしました。

内装には木目調パネルが張られた。

メッキが増えたマイナーチェンジ後のマキシマ。

Photos of Nissan Maxima JP-spec (J30) 1991–94

元祖は910ブルーバードだった!

マキシマはそもそも、北米向けの上級車種として1981年に誕生しました。初代は、FR方式の910型ブルーバードに直列6気筒の2400ccエンジンを搭載したもので「ダットサン810マキシマ」と命名されましたが、1984年に日産マキシマに変更されました。

実は、日本市場向けブルーバードでは、ディーラー対策として610型(ブルーバードU)、810型と2世代にわたってホイールベースを延長して直列6気筒2000ccエンジンを搭載したモデルがラインナップされていました。910型では廃止されていたのですが、なんと北米にはあったのです。

今も旧車ファンに人気が高い910型ブルーバードに、直列6気筒エンジンを積み込んだ北米の初代マキシマ。

Datsun 810 Maxima 1981–84 pictures

北米の重要モデルであるマキシマ

2代目セフィーロの兄弟車となった、北米4代目マキシマ。

Pictures of Nissan Maxima US-spec (A32) 1995–99

日本における初代は、北米では2代目、日本の2代目は北米では3代目となります。北米4代目は、日本の2代目セフィーロと並行して開発され、ボンネットとトランクは専用デザインとしつつも、キャビン部分とインテリアを共用する兄弟車としました。

高級ミドルセダンの日本向けセフィーロ、北米向けの大型セダンのマキシマ、と市場に合わせて個性を明確にすることで、どちらも大ヒットしました。また、ヨーロッパにはセフィーロのデザインで「マキシマ」として販売されました。

セフィーロよりも、やや下がり気味のリアデザインとなった北米4代目マキシマ。

Photos of Nissan Maxima US-spec (A32) 1995–99

2000年にフルモデルチェンジした5代目も同じ戦略が採られ、日本の3代目セフィーロと共用しました。ボンネットを見ると印象は違いますが、ドア部分はセフィーロと同じ形をしています。

しかし、2003年に発売された6代目は、オリジナルのデザインとなりました。日本市場では、セフィーロがローレルと統合のうえ廃止され、ティアナが新設されました。2008年の7代目も、同様にティアナのプラットフォームを使うものの、デザインはまったく異なります。

北米5代目マキシマは、日本の3代目セフィーロとキャビンを共通化。

Nissan Maxima QX (A33) 2000–04 wallpapers

現行モデルは、2015年発売の8代目。外観は日本市場ではまったく見られないものなので、日産マークは付いているものの、日本人には何のクルマか分からないことでしょう。

日本人にとってはすっかり懐かしいネーミングとなったマキシマが、今も北米を中心に世界で高く評価されているのは嬉しい限りです。

現行の北米8代目マキシマは、今までにない個性の強いデザインが特徴。日本でも発売が始まったトヨタ・カムリが最大のライバルとなる。

北米8代目マキシマ

日産・マキシマ - Wikipedia

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