ヤマハポピュラーソングコンテスト

ポプコン
70~80年代に青春時代を過ごした人にとっては、知らない人は居ないと言われるほどの人気を博した「ポプコン」。
正式名称はヤマハポピュラーソングコンテストで、ヤマハ音楽振興会が1969年から1986年まで主催した音楽コンテストです。フォーク、ポップス、ロックを対象としたコンテストで、優勝者はレコードデビュー出来るということで、アマチュアの登竜門として広く親しまれ、多くの日本を代表することになるミュージシャンを輩出しました。
第1回~第6回
受賞者を見てもらうとお分かりのように、第5回まではプロを対象にしたコンテストでした。しかも、フォークでもロックでもありません。
プロへの登龍門としてアマチュアを対象に開催されるようになるのは第6回以降です。
第1回(1969年)グランプリ
恋人はあなた:黛ジュン
からだの中を風が吹く:北上健
GRADUATE:ジ・オフコース
第2回(1970年)グランプリ
できごと:弘田三枝子
道:沖一郎
時は気づかない:ピース・メーカーズ
第3回(1971年)グランプリ
PleasePleasePlease:ヒデとロザンナ
雨:モップス
第4回(1972年)グランプリ
ゴリラの唄:チューインガム
何処へ:モップス
忘れたはずの愛:伊藤愛子
ここで目を引くのは「GRADUATE」を歌った第1回のジ・オフコースですね。そうです。小田和正率いる後のオフコースです。
因みに、第5回の入賞作品には、後に「夕暮れ時は悲しそう」を大ヒットさせるNSPが入っています。
そしていよいよアマチュアを対象とした第6回ですね。いきなり素晴らしい新人が登場します。
そうです。小坂明子です。

あなた
第6回(1973年)グランプリ
さすらいの美学:伊勢功一&卍(まんじ)
あなた:小坂明子
残念ながら同時受賞した「さすらいの美学」を耳にすることは今日ではなくなってしまいましたが、小坂明子の「あなた」はポプコンの人気とイメージを決定付けた名曲です。
当時、小坂明子は16歳というから驚きですね。
ポプコンはこの年(1973年)から、年に2回の開催となりました。
第7回~第10回
「あなた」の大ヒットでポプコンは一躍注目されるようになりました。では、第7回から第9回までの受賞者をみてみましょう。
第7回(1974年)グランプリ
恋のささやき:小坂恭子
第8回(1974年)グランプリ
チャップリンに愛をこめて:チューインガム
第9回(1975年)グランプリ
わたり鳥:七福神
第7回の大会は注目です。グランプリこそ逃したもの、入賞には「つぶやき」で葛城ゆき、「プラタナスの丘」で庄野真代、「お早うございますの帽子屋さん」で谷山浩子が入っています。当たり年だったようですね。
そして第10回。これまた激戦だったようですね。制したのはこの人です。

時代
第10回(1975年)グランプリ
時代:中島みゆき
いや、もう、これは、名曲中の名曲です。ミュージシャンとしても既に完成されてますね。詩が圧倒的です。
不運と言っていいでしょう。第10回大会にはもう一曲素晴らしい曲があります。優秀曲賞 ですが、もしも中島みゆきが居なければ、この曲がグランプリだったのではないでしょうか。

わかって下さい
因幡晃の「わかって下さい」ですね。この曲も「時代」に負けず劣らず大ヒットしました。
第11回~第15回
第11回(1976年)グランプリ
グッドバイ・モーニング:サンディー・アイ
第12回(1976年)グランプリ
鐘:ホワイトハウスII(セカンド)
第13回(1977年)グランプリ
さよならの言葉 :小野香代子
ときたことろで、ポプコンに大きな変化が訪れます。それまではフォークを中心としたいましたが、第14回のグランプリはいよいよロックバンドの登場です。

あんたのバラード
第14回(1977年)グランプリ
あんたのバラード:世良公則&ツイスト
ロック色が強くなり、ポプコンが華々しくなったのは、世良公則&ツイスト以降であるとされています。
第15回(1978年)グランプリ
10月の汐吹は寒かった:U・U
第15回には、日本の音楽史に名を残すであろう強烈な個性を持ったミュージシャンが2人登場します。

巡恋歌
「巡恋歌」で入賞を果たした長渕剛です。当時は長渕剛とソルティードッグという名前でした。
この曲はシングルとなりオリコンでは最高位173位とヒットはしませんでしたが、今では初期の長渕剛を代表する曲となっていることは周知の事実です。
ところで、実は長渕剛は第12回大会にも出場しており、「雨の嵐山」という曲で入賞しています。
そして、もう1人は「Do What You Like (勝手にしなよ)」で優秀曲賞を受賞した佐野元春です。
この曲は佐野元春のファースト・アルバムに収録されています。
第16回~第18回
「あんたのバラード」に続き、第16回からも大ヒット曲が生まれます。
第16回(1978年)グランプリ
夢想花:円広志

夢想花
円広志。受賞当時は何といってもさわやかで、曲のイメージにピッタリです。
グランプリこそ逃しましたが、第16回には後に大ブレイクする2組のバンドが福岡から登場し入賞を果しています。チャゲアスことチャゲ&飛鳥とクリキンことクリスタルキングです。
当時のチャゲ&飛鳥は7人編成のバンドで、この大会ではデビュー後のセカンド・シングルとなる「流恋情歌」を披露しています。
そして翌年の第17回、関係者からはグランプリの本命とされていたチャゲ&飛鳥でしたが、結果はまたしても入賞どまりでした。
第17回(1979年)グランプリ
流浪(さまよい):小柳孝人&BOX OFFICE BAND
なんでも、本選で飛鳥が歌い間違えたことが響いたようです。その時の曲は、彼らのデビュー曲となる「ひとり咲き」です。

ひとり咲き
しかし、「ひとり咲き」といい、前回の「流恋情歌」といい、チャゲ&飛鳥は既に才能を開花させていたといえそうですね。
そして、70年代最後を飾る第18回大会ですが、グランプリを受賞したのは第16回で涙を飲んだクリスタルキングです。
第18回(1979年)グランプリ
大都会/クリスタルキング

大都会
満を持しての大会出場だったのでしょう。低音と高音を活かした楽曲も素晴らしく、チャゲ&飛鳥とはまた違うツインボーカルが新鮮でした。
こうして振り返ってみると、一言でポプコンといっても実に様々な楽曲が受賞していることに改めて驚かされますね。
それでは、次回はポプコンの80年代編をまとめてみたいと思います。