その時代ごとの世相が分かる…社会派邦楽特集【90年代編】

その時代ごとの世相が分かる…社会派邦楽特集【90年代編】

バブルが崩壊し、平成大不況に突入した90年代・日本。なんとなく、世紀末の閉塞感が漂うご時世において、せめて歌だけは明るく、とでも言いたげに、ビーイング系や小室楽曲がヒットチャートを賑わす中でも、わずかではありますが、社会風刺歌はつくられていました。本稿ではその一部を紹介していきます。


So Let’s Get Truth(Mr.children)⇒格差社会?

『タガタメ』や『秩序のない現代にドロップキック』など、意外と社会派な歌が多いMr.children。ソングライティングのスタイルとしては、特定の事件・事故・社会問題について深く掘り下げて問題意識を提起するようなことはせず、その時々の世の中を包括的かつ散文的に表現したものばかり。ゆえに、ミスチルの社会風刺歌は、いつの時代においても、大衆の心になんとなくフィットするのです。

『So Let’s Get Truth』も、そんな、ソフトな会風刺歌の一つ。

上記のように、格差社会を歌ったかと思えば、「短命すぎた首相を 嘆くTV BLUES」と歌ったりと、やはり、幅広く、当時の日本の事象を歌にしています。

1996年6月24日リリース

『So Let’s Get Truth』が収録されたアルバム『深海』

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平和の琉歌(サザンオールスターズ)⇒沖縄の在日米軍問題

琉歌とは、沖縄で琉球王朝時代から続く伝統的な定型詩のこと。桑田は後年、琉歌と銘打ったこの自作曲を振り返り、「にわかだった」と反省の弁を述べています。
しかしながら、沖縄人の中には「やまとんちゅ(本土の人間)の割には、良い曲を書く」と評価する声(?)も多いようで、2000年には、沖縄の歌手・ネーネーズによってカバーされたりもしています。

そんな『平和の琉歌』がリリースされたのは、1996年10月のこと。このわずかばかり前には、沖縄米兵少女暴行事件(1995年9月)、在日米軍兵飲酒運転過失致死事件(1996年1月)といった痛ましい事件が立て続けに発生しており、改めて、沖縄が「基地の島」として重い十字架を背負っていることが、内地の人間へ伝えられた時期でもありました。

こうした時期に、やまとんちゅとして「琉歌」を書くことは、桑田にとって難しい仕事だったに違いありません。ゆえに、その歌詞は、慎重に言葉を選んでいる印象であり、本土の人間として責任を十分に感じつつも、この島に恒久的平和が訪れることを願うような内容となっています。なおこの曲は、『筑紫哲也 NEWS23』(TBS系)のエンディングテーマにも採用されていました。

沖縄宜野湾海浜公園野外劇場にて行なわれたライブ映像とその舞台裏を収録したドキュメント作品がDVDで登場。

平和の琉歌 ~Stadium Tour 1996“ガールズ万座ビーチ”in 沖縄~

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4.2.3.(中島みゆき)⇒在ペルー日本大使公邸占拠事件

現地時間1996年12月17日。ペルーの首都リマにある日本人大使館が、テロリスト14人によって占拠されました。テロリストたちは人質の解放を条件に、逮捕・拘束されている同朋全員の釈放や身代金の支払いなど、計4項目を要求。ここから約4ヶ月間人質は拘束され、事件発生から127日後の4月22日、ペルー警察当局によって掘られたトンネルから軍・警察の特殊部隊が公邸に突入し、人質1人、特殊部隊隊員2人、テロリスト全員の死をもって、この占拠事件は終焉を迎えたのでした。

そんな在ペルー日本大使公邸占拠事件をモチーフに書かれたのが、中島みゆきの『4.2.3.』です。

このように、テレビの中で繰り広げられるリアルと、テレビの眼前に自分がいるリアル。2つの現実の狭間で、揺蕩っているみゆきの戸惑いが描写されています。

さらには、こう続きます。

みゆきの批判的な視点が冴えを見せ、「日本と名のついていないものにならば いくらだって冷たくなれるのだろう」と結びます。

1998年3月18日リリース

『4.2.3.』が収録されたアルバム『わたしの子供になりなさい』

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君が代 パンク・ロックver.(忌野清志郎)⇒国旗・国歌法を巡る議論

君が代の斉唱は国民の義務なのか、それとも、思想・良心の自由に基づき、個人の裁量に託されるべきなのか…。

そんな議論がされるようになったのは、1996年あたりから。教育現場の卒業式・入学式を震源地として起こったこの論争は、またたく間に日本中を巻き込み、社会問題化していきました。

テレビで、職場で、茶の間で…。さまざまな場所で、「君が代」について議論されていた

年賀の皇居一般参賀で、日の丸の小旗を振り新年を祝う参賀者

日本の国旗 - Wikipedia

おそらく、キヨシローが1999年に自身のスタジオ・アルバム『冬の十字架』へ、君が代 パンク・ロックver.を収録しようとしたのは、そんな時局への皮肉りも込められていたのでしょう。「国歌なんて、歌いたいやつが歌いたいように歌えばいいじゃん」と。が、政治的意図をくみ取られ、議論の渦中に巻き込まれることを恐れた発売元の会社によって、アルバムのリリースは中止。やむなく、インディーズのSWIM RECORDSレーベルから発売するに至るのでした。

(こじへい)

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