「ヘタレって何処?」その土地にはヘタレどころか熱い戦いの歴史があるのです。

「ヘタレって何処?」その土地にはヘタレどころか熱い戦いの歴史があるのです。

「ヘタレ」。一度は言ったり使ったりしたことがあるかと思いますが、実は地名にもこの読みがあります。しかも結構ヘタレていない歴史があるんです。


「ヘタレ」。一度は言ったり使ったりしたことがあるかと思います。ヘタレとは

・・・と、『Weblio 辞書』には書かれています。また、ウィキペディアによると、

…とのこと。

さておき、「ヘタレ」。実は地名にもこの読みがあります。しかも結構ヘタレていない歴史があります。

「部垂(ヘタレ)」の地

平成27年10月21日、茨城県常陸大宮市と秋田県大館市は友好都市協定を締結しました。『広報 常陸大宮』平成28年2月号によると、この締結のきっかけは平成8年、当時大館市立城南小学校3年生だった吉田菜見さんが当時の大宮町長に送った一通の手紙だったそうです。

そこにはこう書かれてありました。

吉田さんは他の子どもたちから「へったれまち」と悪口を言われる町名「部垂町」の由来が気になり、図書館などで調べたそうです。すると、茨城県の大宮町と関係があるらしいことが分かりました。

常陸大宮・・・その昔は「部垂(ヘタレ)村」

実は常陸大宮・・・その昔は「部垂(ヘタレ)村」。時代を遡ること戦国時代・・・この地域には部垂(ヘタレ)城という城がありました。ついでに言うと、そのヘタレ城すぐそばにあった神社も「部垂大宮大明神甲宮(へたれおおみやだいみょうじんかぶとみや)」という名称でした。

当時このあたりを支配していたのは16代当主佐竹義篤(さたけよしあつ)で、その弟の部垂義元(へたれよしもと)がヘタレ城の城主でした。そして両者による一族内紛がおこります。これを「部垂(ヘタレ)の乱」あるいは「ヘタレ十二年の乱」と言います。元々兄弟仲が宜しくない兄・義篤vs弟・義元による12年に及ぶ壮大な兄弟喧嘩です。天文9年(1540)にヘタレ城落城・弟の負けで幕を閉じます。この喧嘩の終結=宗家争い決着→茨城といえば佐竹だよね、の流れができます。

ヘタレ城落城、その家来たちが後に「部垂(ヘタレ)衆」と呼ばれる

弟が負けてヘタレ城も落城、その家来たちが後に「部垂(ヘタレ)衆」と呼ばれるようになりました。そして16代当主の子で17代当主である佐竹義昭(さたけよしあき)が、江戸時代に徳川家康の命令で茨城から移動して秋田を治めることになった際、一緒に秋田へ移動しまして、そんな彼らが暮らした一帯を「部垂町(ヘダレマチ)」と呼ぶようになったのです。現在、大館市市内には部垂町の地名が残っています。さらに隣の桜町には義元を祭神とした部垂八幡神社があったりして、現在もヘタレの歴史を伝えています。

そう、茨城には地名が残って居ません。

江戸時代末期、「ヘタレ」という語呂合わせが悪いという理由で、なんと、現地村民から改名願いが出されましてね(汗)。そして、天保14年(1843)にその願いが受理されて「大宮村」に改名されたのです。この大宮は、最初に書いた「「部垂大宮大明神甲宮」にちなんでいます。この神社も現在は「甲神社」と呼ばれていて、ヘタレ部分は消えちゃいました(涙)。ちなみにヘタレ城があった場所は、現在、私立大宮小学校が建っております。

まあ、でも、そんなヘタレていない熱い戦いが茨城にはあったのです。茨城の歴史に関わる壮大な兄弟喧嘩が。もうちょっと有名になっても良い様な気がする自分です。

関連する投稿


武将の能力値記載のカードで歴史を学びながら遊べる!「信長の野望」のカードゲーム『信長の野望 戦国武将かるた』が発売!!

武将の能力値記載のカードで歴史を学びながら遊べる!「信長の野望」のカードゲーム『信長の野望 戦国武将かるた』が発売!!

講談社より、40年以上愛され続ける「信長の野望」シリーズの公式カルタ『信長の野望 戦国武将かるた』が現在好評発売中となっています。価格は2750円(税込)。


70年代前半に巻き起こった「日本語ロック論争」を特集したNHK Eテレ「世界サブカルチャー史」が放送決定!!

70年代前半に巻き起こった「日本語ロック論争」を特集したNHK Eテレ「世界サブカルチャー史」が放送決定!!

NHK Eテレにて、70年代前半を中心に邦楽ロックシーンに巻き起こった「日本語ロック論争」について特集した番組「世界サブカルチャー史 欲望の系譜 シーズン4 21世紀の地政学」ポップス編 第2回の放送が決定しました。


世界初はハリボー!日本初は?グミの歴史と人気商品をまとめてみた!

世界初はハリボー!日本初は?グミの歴史と人気商品をまとめてみた!

今ではコンビニお菓子の主役の1つともいわれているグミ。今では大人でも好きな人が多いですよね。日本にグミが浸透するまでの歴史をまとめてみました。


「どうする家康」と1983年の「徳川家康」のキャストを比べてみた!

「どうする家康」と1983年の「徳川家康」のキャストを比べてみた!

2023年の大河ドラマは「どうする家康」が放送されていますが、40年前の大河ドラマも「徳川家康」を放送していました。当時と現在のキャストや内容を比べてみました。


男女の出会いのスタンダード!?お見合いはいつからある?お見合いの歴史

男女の出会いのスタンダード!?お見合いはいつからある?お見合いの歴史

仲人さんがお見合いに臨んだ男女に向かって「後は若い二人でオホホ…」というセリフはお見合いの席での定番ですよね。男女の出会いの方法として昔からポピュラーですよね。そんなお見合いはいつから行われているのでしょうか?今回は日本におけるお見合いの歴史についてご紹介します。


最新の投稿


ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂が、『鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブ~Autumn Season~』を11月13日にビルボードライブ大阪、16日にビルボードライブ東京にて開催する。今回は、1975年にリリースされた1stソロアルバム「BAND WAGON」の発売50周年を記念したプレミアム公演となる。


【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

2025年(令和7年)は、1965年(昭和40年)生まれの人が還暦を迎える年です。ついに、昭和40年代生まれが還暦を迎える時代になりました。今の60歳は若いとはと言っても、数字だけ見るともうすぐ高齢者。今回は、2025年に還暦を迎える7名の人気海外アーティストをご紹介します。


吉田沙保里  強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子の霊長類最強のタックル その奥義は「勇気」

吉田沙保里 強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子の霊長類最強のタックル その奥義は「勇気」

公式戦333勝15敗。その中には206連勝を含み、勝率95%。 世界選手権13回優勝、オリンピック金メダル3コ(3連覇)+銀メダル1コ、ギネス世界記録認定、国民栄誉賞、強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子。


消えた回転寿司チェーンの記憶──昭和・平成を彩ったあの店はいまどこに?

消えた回転寿司チェーンの記憶──昭和・平成を彩ったあの店はいまどこに?

昭和から平成にかけて、全国各地で親しまれていた回転寿司チェーンの数々。家族の外食、旅先の楽しみ、地元の定番──いつしか姿を消したあの寿司屋は、なぜ消え、どこへ行ったのか。本記事では、現在は閉店・消滅した地域密着型の回転寿司チェーンを、当時の特徴やSNSの証言とともに記録として振り返る。


【歌謡曲】ありえないシチュエーション!歌詞がおもしろくて笑ってしまう歌謡曲5選!

【歌謡曲】ありえないシチュエーション!歌詞がおもしろくて笑ってしまう歌謡曲5選!

昭和の歌謡曲には、現代ではお蔵入りしてもおかしくないほど、ありえないシチュエーションを描いた詞が数多くあります。その中には、残酷な人物像や露骨な情景描写もあり、思わず笑ってしまうような歌詞もありました。今回は、筆者の独断と偏見で、歌詞がおもしろくて笑ってしまう歌謡曲を5曲ご紹介します。