野際陽子追悼記念! 「キイハンター」屈指の問題作、 第77話「人喰い人間現わる」のヤバ過ぎる内容とは?!

野際陽子追悼記念! 「キイハンター」屈指の問題作、 第77話「人喰い人間現わる」のヤバ過ぎる内容とは?!

「キイハンター」放送エピソードの中でも、屈指の問題回を紹介することにしよう。そのエピソードとは、第77話「人喰い人間現わる」!もう既にタイトルの時点でヤバイ空気が漂うこのエピソード、果たしてどんな内容だったのか?


毎回変わる彼女のファッションも、男性ファンには楽しみの一つだった。

今見ても綺麗!

放送当時、彼女は33歳。しかし、とてもそうは見えない程若々しく、華麗なファッションとアクションを披露してくれている。

毛深い手の感触に、「毛虫ーっ!」と叫ぶ啓子。

背後からオオカミ男が!

本作での彼女の見せ場は主に二つ。
一つは夜の森でオオカミ男に襲われるシーン。

オオカミ男と互角に戦える強さ。

野際陽子の華麗なアクション!

背後から襲って来たオオカミ男を、空手チョップとキックで倒す!

だがオオカミ男とは違い、ドラキュラ男の眼力には催眠効果があるため、身動きが取れなくなってしまう。

迫る吸血鬼!

もう一つの見せ場は、ドラキュラとの対決シーンだ。

さすがの彼女もドラキュラの眼力には勝てず、催眠状態のまま血を吸われてしまうのだが・・・。

アップも綺麗!

棺を叩き壊そうとする二人の前に現れたドラキュラ。ユミを逃がして立ち向かおうとする啓子だったが、その眼力に捉えられ血を吸われてしまう。
「おお、これで野際陽子の吸血鬼姿が見れる!」そんな視聴者の期待を裏切って、何と彼女はこのまま途中退場・・・。
しかし、ラストではまた普通に現れるので、残念ながら彼女の吸血鬼姿はお預けのまま・・・。
冒頭とラストにしか登場しない丹波哲郎&千葉真一といい(谷隼人は登場すらしない)、放送当時の製作スケジュールが、かなり厳しかったことが判る。

本作成功の要因である二人の俳優の名演!

エンドクレジットより。

本作がこれほどのトンデモ回でありながら、素晴らしい内容を保っていられるのも、二人のゲスト出演者、室田日出男と新井茂子の名演による所が大きい。

良く見ると、クリストファー・リー版のドラキュラを研究・模倣していることが判る。
この画像の様に、目元にライトを当てている点を見ると、どうやらベラ・ルゴシ版ドラキュラも参考にしているようだ。

室田日出男のドラキュラ男!

どことなく「悪魔くん」を思い出させるのは、同じく脚本と監督を佐藤肇と高久進が担当していたためだろうか?

ドラキュラ男全身と棺の中。

後の東宝作品における岸田森の和製ドラキュラとは違い、室田日出男のドラキュラはクリストファー・リー版を基礎としながら、ベラ・ルゴシ版ドラキュラの品位も忘れていない。正に和製ドラキュラのベスト候補だと言えるだろう。

本作放送の前年、1968年まで放送されていた「ジャイアントロボ」の敵幹部、スパイダーを思わせるその姿。そう言えば室田日出男自身も、敵幹部のブラックダイヤを演じていた。

ナチスの将校姿の室田日出男!

ドラキュラから一転してナチス将校の軍服姿になっても、その迫力と違和感の無さは見事!

何と、吸血鬼に教われてからは一切瞬きをしない、そのプロ根性に脱帽!

名演技を見せる新井茂子。

もう一人の立役者、朝子を演じた新井茂子は、放送当時26歳。東映ニューフェイスで同期の千葉真一との共演作も多い。

超アップと新井茂子のうつろな眼、そして室田日出男の狂暴さ。
正に名演技と演出が相乗効果を生んだ名シーンだ。

怖い!

後述するが、この辺りはポランスキー監督の「吸血鬼」からの影響が大きいと思われる。
新井茂子本人も、嬉々として演じているのが判る。

ジワジワ迫る女吸血鬼!

吸血鬼と化してからの彼女の演技は、正に絶品!
佐藤肇監督の独特の演出もあって、本当に怖い!
子供の頃に見たら、確実に夜寝られなくなるレベルだ。

「吸血鬼ゴケミドロ」の佐藤肇監督が、やりたい放題やった本作!

「吸血鬼ゴケミドロ」ポスター。

さて、この素晴らしすぎる脚本と異常に怖い演出を担当したのは、あの普及の名作「吸血鬼ゴケミドロ」を撮った佐藤肇監督&高久進の名コンビ。

本編エンドクレジットより。

1968年の8月に公開された「吸血鬼ゴケミドロ」からちょうど一年後、1969年に放送されたのがこの第77話「人喰い人間現わる」と言うわけだ。

手に持った木の杭を、棺に眠るドラキュラ男の胸に突き立てようとするシーン。
首にニンニクをぶら下げているのは、映画「吸血鬼」へのオマージュと思われる。

洋館の中でドラキュラの本を発見するユミ。

しかし、そもそも何でナチスのヒットラー復活計画に、ドラキュラやモンスターが絡むのか?

オオカミ男、マジで怖い!

フランケンシュタインの怪物、微妙・・・。

脚本の無理矢理さに比べて、本作のモンスターのメイクには異様に力が入っていて、しかも良く出来ている。これも監督の趣味だろうか?

ミイラ男、怖過ぎ!

非常にもっともな、視聴者のこの疑問!だが、それも本作が「吸血鬼ゴケミドロ」と同じ監督・脚本だと知れば、何となく納得がいくような気が?
しかし、もちろんそれには充分な理由があるのだ。

瞬きせずキバをむいて襲ってくる吸血鬼の描写は、大川栄子の可愛いリアクションのお蔭で、どこかコメディの様に感じられる。これもポランスキー監督の「吸血鬼」からの影響と言える。

新井茂子の吸血鬼演技の素晴らしさ!

襲い掛かる吸血鬼の口に、咄嗟に本を噛ませて防ぐ。
これも映画「吸血鬼」へのオマージュ。

ユミちゃん、危機一髪!

実は本編中には、これらの画像でも明らかな様に、ロマン・ポランスキー監督の「吸血鬼」からの引用・オマージュが数箇所登場する。
不思議に思って調べた結果、この第77話の放送日が1969年9月20日、対してポランスキー監督の「吸血鬼」日本公開が1969年9月14日と判明!
そう、ポランスキー監督の映画「吸血鬼」公開から一週間後に、本作は放送されているのだ。

後の「川口浩探検隊シリーズ」は、既にここから始まっていた?

モンスター対川口浩!

「吸血鬼ゴケミドロ」で観客に強烈な印象を植え付けたあの恐怖演出に、ポランスキーの「吸血鬼」が見せた「笑い」の要素と、ゲスト出演の室田日出男と新井茂子の名演が加わり、本作はどこかコミカルで明るいが、恐怖シーンは異様に怖い!という、文字通り奇跡のバランスを保った傑作エピソードとなっている。

「吸血鬼ゴケミドロ」により、新たな発想と独自の映像美で日本に「吸血鬼物」を移植した、佐藤肇監督&高久進脚本コンビが、ポランスキー監督の「吸血鬼」に刺激を受けて、テレビで再び日本に「吸血鬼」を蘇らせた作品。そんな見方が出来るのが、この第77話「人喰い人間現わる」だと言えるだろう。
或いは、映画「吸血鬼」との何かしらのプロモーション絡み?などなど、その製作の裏側への勝手な想像は膨らむばかりだ。。

最後に

確かに本作は面白い!
だが内容的には全く意味不明であり、最後まで見ても謎だらけ・・・。更には、特定の国や宗教に対する差別的セリフが登場するため、恐らく地上波での再放送はムリかと思われる。

とにかく、何でネオナチがユニバーサル映画のモンスター達の変装をして、墓場から棺を運び入れるのか?(必要なのは女性の生き血であって、死体は必要無いはず)しかも、ドラキュラの格好で催眠術にかけ、さらに首に噛み付く意味って?(これも、後から吹雪の解説により語られるだけで、犠牲者に生えているキバも、実はニセモノ。そんな手間をかける必要あるのか?)

正直、ストーリーの辻褄はまるで合って無いし、恐ろしくトンデモな展開を見せる本作。だが、そこを楽しんで見るのが、本作の正しい鑑賞方法だと言えるかも知れない。
恐らく将来的には、全話の映像ソフト化が成されるであろう、この「キイハンター」。
この第77話の他にも、実はまだまだトンデモ無いエピソードや、再放送の際に放送されなかった「欠番回」が存在するので、今後も紹介して行きたいと思っている。

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