3ピース
古今東西、3ピースのバンドが多数存在します。ロックバンドとして3人、たった3人でロックを奏でることが可能なのかと心配になったりもしますが、もちろん立派に3ピースのバンドは成立します。
しかも、素晴らしいバンドが多いのです。
必要最小限のメンバー構成で奏でられる極上のロックをご紹介します!

60年代
60年代の3ピースバンドの代表といえば、ベーシスト兼ボーカリストのジャック・ブルースとギタリスト兼ボーカリストのエリック・クラプトン、ドラマーのジンジャー・ベイカーからなるクリームでしょう。
バンドは僅か3年ほどで解散してしまいますが、アルバム売上枚数は世界で3,500万枚と驚異的なものです。
今でもクリームが語られることが多いのは、バンド解散後のエリック・クラプトンの活躍によるところが大きいと思いますが、結成当時から既にイギリスに於いては3人とも人気、実力共に兼ね備えていたのです。

クリーム
クリームの楽曲には伝統的なブルースを基本としたものと、それをさらにエキセントリックにしたもものがあります。 ヒット曲には「I Feel Free」(イギリス:11位)、「Sunshine of Your Love」(アメリカ:5位)、「White Room」(アメリカ:6位)、「Crossroads」(アメリカ:28位)などとなっています。
60年代にクリームと並び忘れてはならないのが、ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスです。そうです。ジミヘンを忘れるわけにはいきません。

ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス
メンバーは、ジミ・ヘンドリックス(ギター・ボーカル)、ノエル・レディング(ベース)、ミッチ・ミッチェル(ドラムス)の3人です。
3年にも満たない活動期間にも関わらず歴史に名を残したということは、いかにインパクトがあったかということの証明でもあります。
ジミヘンばかりが取り上げられることが多いのですが、改めて演奏を聴くとノエル・レディングとミッチ・ミッチェルも素晴らしいですね。
70年代
ブリティッシュロック界の三大ギタリストと言えば、先のエリック・クラプトンにジミー・ページ、そしてジェフ・ベックですが、70年代にはいると、そのジェフ・ベックがやってくれます。
「最強のロック・トリオ」と呼ばれたベック・ボガート & アピスです。

ベック・ボガート & アピス
メンバーは、ジェフ・ベック(ギター)、ティム・ボガート(ベース・ボーカル)、カーマイン・アピス(ドラムス)の3人です。
ティム・ボガートとカーマイン・アピスは、「キープ・ミー・ハンギング・オン」の大ヒットで知られるヴァニラ・ファッジの出身です。
当初の計画にはこの3人にボーカルとしてロッド・スチュワートを加えて4人グループにする計画があったことが知られています。それも聴いてみたかったですけど、しかし、ロッド・スチュワート加入しなかったおかげでベック・ボガート & アピスが出来たわけですからそれで良しとしましょう。
60年代にも「クロスビー、スティルス&ナッシュ」などが居ましたが、「ベック・ボガート & アピス」というメンバーの名前をバンド名にするというのは新鮮な感じがしますね。そして70年代にはもう一組3ピースでメンバーの名前をバンド名にした歴史に名を遺すトリオがいます。
特にプログレ・ファンには忘れられないバンド、エマーソン・レイク・アンド・パーマーです。

エマーソン・レイク・アンド・パーマー
メンバー構成はちょっと変わっていて、キーボード(キース・エマーソン)、ベース・ボーカル・ギター (グレッグ・レイク)、ドラムス(カール・パーマー)という3人組です。
クラシック音楽の要素を取り入れ、シンセサイザーを大胆にとりいれて構成したムソルグスキー作曲の「展覧会の絵」などが有名で、しかも大ヒットしました。
もしかすると3ピースバンド史上、もっとも狂暴といってもよいのではないかと思われるバンドが1975年にデビューしています。
その名も「モーターヘッド」。音楽、面構え、共に極悪人って感じです。それ故に最高のロックバンドでもあります。

モーターヘッド
活動期間が長いということもあり、ベース・ボーカルでソングライターでもある、レミー・キルミスター以外のメンバーは度々変わっていますが、ギターにエディ・クラーク、ドラムスにフィル・テイラーという布陣の時が最高だったように思います。
荒々しいですね。まるでパンク!いえ、音だけ聴いているとパンク以上にパンクと言う感じがします。とはいえ、オリジナル・UKパンクにも最高の3ピース・バンドがいます。ポール・ウェラー率いるザ・ジャムです。

ザ・ジャム
現在まで続くモッズバンドのひな型と言っていいのではないでしょうか。ファッション的にもパンクの時代に3つボタンのスーツが新鮮でした。
メンバーは、ポール・ウェラー (ボーカル・ギター)、ブルース・フォクストン (ベース)、リック・バックラー (ドラムス)の3人です。
80年代
デビューは1977年であったにも関わらず、1979年の「孤独のメッセージ」のヒットで知られるようになったことから遅れてきたパンクバンドという印象が強いポリスですが、彼らもまたパンク時代を代表する3ピースですね。

ザ・ポリス
しかし、ポリスはパンクというには演奏が上手すぎます。とても3人で出しているとは思えない音の厚み、見事なアンサンブルは特筆ものです。
それもそのはず、ベース・ボーカルのスティングは、ポリス結成前にはジャズバンドのラスト・イグジットで活動していましたし、ドラムスのスチュワート・コープランドはプログレッシブ・ロック・バンドのカーヴド・エア、ギターのアンディ・サマーズはアニマルズとそれぞれに申し分のないキャリアを既に築いていたのです。
一般にポリスが知られるようになったのは80年代に入ってからです。特に1983年にリリースされた5作目のアルバム「シンクロニシティー」は全米で17週連続1位という驚異的な成功を収め、シングル・カットされた「見つめていたい」 も世界的な大ヒットとなりました。
そして、もうひとつ。80年代を代表する3ピースバンド、ストレイ・キャッツをご紹介します。

ストレイ・キャッツ
メンバーは、ブライアン・セッツァー(ボーカル・ギター)、リー・ロッカー(ベース)、スリム・ジム・ファントム(ドラムス)の3人。かわいい顔をしたブライアン・セッツァーですが、デビュー当初から裁判沙汰や暴力事件 など立て続けに問題をおこしていました。
肝心の音楽の方はと言えば、ネオロカビリーブームの火付け役となり、本国アメリカよりも先にイギリスでスターになっています。
それにしても、ブライアン・セッツァーのギタープレイは素晴らしいです。
90年代
そして最後に、90年代を代表する3ピースバンドです。これはもうニルヴァーナで決まりでしょう。3ピースバンドの最高峰というと怒られるかもしれませんが、そう言わないと、これまた怒られそうな、そんな存在のニルヴァーナです。

ニルヴァーナ
正確にいえばメンバーには若干変動があるのですが、カート・コバーン(ボーカル・ギター)、クリス・ノヴォセリック(ベース)、デイヴ・グロール(ドラムス)というメジャー・デビュー時の3人が最高ですね。
他にも多くの素晴らしい3ピースバンドが存在するわけで、とてもすべてを紹介することは出来ませんが、バンドとして最少編成でロックする姿には今も昔も痺れてしまいます!