思い出すのは「北斗の拳」のラオウ?ただものではない印象を抱かせる「覇王」その起源とは。

思い出すのは「北斗の拳」のラオウ?ただものではない印象を抱かせる「覇王」その起源とは。

覇王。ミドルエッジ世代ですと、漫画『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫/集英社)のラオウが頭に浮かぶかも?…と思います。最近では漫画『ONEPIECE』(尾田栄一郎/集英社)の「覇王色」かもしれません。では「覇王」という言葉はいつできたのか?と言われると、案外知らなかったりします。


「覇王=ラオウ」?

覇王。
ミドルエッジ世代ですと、漫画『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫/集英社)のラオウが頭に浮かぶかも?…と思います。最近では漫画『ONEPIECE』(尾田栄一郎/集英社)の「覇王色」かもしれません。
映画好きな方なら、1993年の香港・中国の合作映画『さらば、わが愛/覇王別姫』(さらば、わがあい/はおうべっき、原題: 覇王別姫)かもしれないし、手相好きな方だと覇王線かもしれません。

確実なのは、ただものではない印象があることでしょう。

「覇王」という言葉はいつできたのか?

そんな訳で、気が付いたら私たちに「覇王」という言葉が定着していますが、では「覇王」という言葉はいつできたのか?と言われると、案外知らなかったりします。

これ、実は、中国のネタです。ついでに書きますと、物事を取り仕切ることを「牛耳る(ぎゅうじる)」と言いますが、これもこのネタに絡む言葉だったりします。

「覇王」の前に「覇者」ありき

「覇王」という言葉の前に、まず「覇者」という言葉がありました。
今からだいたい2300年ほど前くらいの戦国時代(紀元前403年~紀元前221年)の儒学者・孟子(もうし。紀元前372年? ~紀元前289年)が提唱したものです。孟子は「性善説(人は生まれながらにして善である)」の提唱者としても知られていますが、王道と覇道の提唱者でもあります。

これは大雑把に説明すると

というものです。

孟子は王道を理想とし、覇道については、否定こそしないけど良しとはしない姿勢でしたが、ともあれ、「王者」と「覇者」という単語がここで誕生しました。

「覇者」は同盟の盟主のこと

この時代は戦国=武力の時代。戦いに明け暮れる中、各国は戦いを繰り返しながらも、春秋戦国前からあった周の代わりに天下を取りまとめる人を、各国の王(諸侯)たちの承認を得て決めるしきたりがありました。

選ばれる条件は、他の国より強いことや小さい国を護ること、諸国同盟の下で外敵対策にあたること…などです。そして、この同盟の盟主のことを「覇者」と呼びました。そう。天下を取りまとめる覇者は各国の盟約によって決められていたのです。

「牛耳る」の語源は覇者に選ばれた時に行う儀式

ところで、この覇者に選ばれた時に行う儀式がありました。いけにえの牛の耳を切り、切った牛の耳から出た血で盟約を記すなどの行事でして、この儀式がモトで物事を取り仕切ることを「牛耳(ぎゅうじ)を執る(とる)」→「牛耳る(ぎゅうじる)」と言うようになりました。

ですが、秦が中国統一を成し遂げる頃、盟約で決める覇王の実質的な意義は消えます。秦の始皇帝が39歳の秦王政26年(紀元前221年)の時に中国統一が実現し、戦国時代が終わるからです。統一と同時に「覇者」も消えました。

そして、時代が過ぎ…。

「覇王」の誕生

始皇帝が亡くなった後の秦に反旗を翻した楚の武将・項羽(紀元前232年~紀元前202年)が勢力を拡大していきます。そんな彼が「西楚の覇王」を名乗りだしました(在位紀元前206年~紀元前202年)。「覇王」の誕生です。
覇王という言葉が認知されたのは項羽からでした。

この項羽…身長が2メートルほどの長身だった上に、ずば抜けた怪力の持ち主だったそうです。まさに「武」の体現者。しかし、そんな項羽も漢の劉邦に敗れます。そう、『北斗の拳』でラオウがケンシロウに倒されるように…。

覇王の夢というのは、夢で終わるのかもしれませんね(涙)

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