『ガンプラり歩き旅』その15 ~ホワイトベースを救い続けたマチルダ中尉の輸送機登場!~

『ガンプラり歩き旅』その15 ~ホワイトベースを救い続けたマチルダ中尉の輸送機登場!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第15回は、、これまで出すか?のミデア輸送機を紹介!


ホワイトベースやアムロたちを、補給という生命線で支え続けたマチルダさんの愛機!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回は、メカ的には「戦争バトル漫画なのに、補給輸送機」というマイナーな存在だけれども、 ヒロイックな大人の女性・マチルダ中尉のインパクトのおかげで、 印象深いメカとなった、ミデア輸送機の紹介です!


ミデア輸送機 1/550 1982年11月 400円

今まさに、トリプルドムに襲われんとするミデアの図! 実際にキットには3機のドムが付属する

ミデアといえばマチルダさんなのは、『機動戦士ガンダム』(1979年)を観た者にとっては常識だが、当時筆者がびっくりしたのは、アムロとキシリアが夫婦っていうだけではなく、むしろアムロはキシリアとは別れちゃうし、シャアはシャアで、マチルダさんとなんで結婚しているんだとか、おいおいアムロ、キシリアの次はミハルかよ、カイさん泣いちゃうよ? ……っていうか、シャア! お前もマチルダさんと別れるんかい! というような不思議時空な大人恋愛事情の数々であった。

はい、本当にどうでもい出だしですみません。
でもね。だってね。このバンダイ1/550 ミデア輸送機。
文句もクレームもつけようがない完璧プラモデルなんですよ。
そりゃね。いくら「出せばなんでも売れるガンプラ」だってね、一年間の放送で登場したメカには数の限界があって、今でこそアナザーとかパラレルとか便利な言葉で、当初は存在してなかったモビルスーツをじゃんじゃか出しているのだけれども、そんな「悪い子の商売」を考え付いたのが、この時期のバンダイでして。

ミデア初登場。ガルマのドップを追って焦るガンダムの目の前に、突然現れて、アムロの焦りを納めるマチルダ中尉!

もう、売れるロボット、プラモデルに出来るロボットのネタがないと知ったバンダイは、テレビ版でジオン軍がジャブロー攻略戦を展開する辺りで、枯れ木も山の賑わいで登場させようかと、冨野監督がラフスケッチだけテキトーに描いたビックリドッキリメカみたいなモビルスーツたち(ゾゴックやジュアッグ、アッグガイやアッグ)まで、まるで公式モビルスーツ扱いでデザインを大河原邦男氏にクリンナップしてもらって、プラモ化させてしまっていたのだ。
そんなね、両手がドリルだとか、両腕がグイーンと伸びて相手をぶん殴るとか、既に発想が『マジンガーZ』(1972年)の機械獣みたいなレベルに後退していたメカを、糞真面目にプラモ化させちゃって、しかも、そこそこ売れちゃったもんだからたちが悪い。

マチルダ隊の補給なくして、ホワイトベースは戦いを続けられない

そんな流れは、やがて1983年以降のモビルスーツバリエーション(MSV)や、正式継続作品『機動戦士Zガンダム』(1985年)をも生み出し、ガンダムやガンプラは“作品”から“ジャンル”になるのだが。

そうなる直前期の1982年段階では、モビルスーツを商品化し尽くしたら、もう、戦艦も人物キャラも脇メカも、片っ端から商品化するしかない。ガンプラは本当にそんな時期に差し掛かっていた。

今にして思えば、ミデア輸送機が商品化されたのであれば、ランバ・ラル隊が使っていたギャロップだって充分商品化できただろうに。これはひとえに「ミデアが“主人公サイド”の地球連邦軍側のメカ」で「マチルダさんが乗っていて名シーンがあったから」なのは、冗談抜きで本当のところだと思われるのだ。
しかし、どんなバックボーンがあろうと事情があろうと、資本主義は売れれば勝ち。

ホワイトベースへ、Gメカを届けようとするマチルダ隊のミデア編隊を、ドダイYSに乗ったグフの部隊が襲う!

実際、この1/550ミデアをはじめとして、この後立て続けにキット化される戦艦群は、どれもスケールモデル級のクオリティを保ち、バンダイの、ヤマトメカコレクション時代の技術力の高さ建材を印象付けた重要なシリーズである。しかし、肝心の売り上げは期待値ほどの成績を上げられなかったという辺りが現実か。

今回は、そんなマイナー名作キットを素組、部分塗装で制作。
ミデアは輸送機なので、巨大なコンテナを抱えた状態で、シコルスキーCH-54ヘリコプターのような概念で機体が構成されている。
その上で、複数のローターで浮遊し、ジェットエンジンで推進しながらVTOL機能も持つという輸送機だが、キットでは1/550ながら、細かいローターを別パーツにしたり、エンジンの吸気口やダクトなどを別パーツにするなど、さすがピークのガンプラだけあって、気合の入ったパーツ数と構成で、シンプルに見えながら実は複雑なミデアの機体構造を、見事に正確に立体化してある。

複雑な曲面構成のデザインを、適度なパーツ分割で見事に再現!

さらに僥倖なのは、このミデア(や、例えばガウ攻撃空母など)は、ガンダムやザク、ホワイトベースなどといったメジャーなメカではないため、プラモデルの開発時期が近くても、メインメカたちほど再販の回数は多くなく、36年も経つとその差は金型への負担に現れ、むしろ再販が少なかったミデア達の方が、ガンダムやザクよりもパーツの合いが良いという皮肉な現象を生んでいるのだ。

左右大小6基のエンジンは、それぞれ内部ファンが別パーツのハイディテール!三本の脚(?)の中に隠れたファンのディテールもきっちり再現

なので組み立てもはかどる……と思いきや!
以前のマゼラアタックほどではないけど、パーツ数のこの多さよ!
確かにミデアは複雑な形状をしているけれども、直系数㎜のタイヤが全部別パーツとか、やっぱりバンダイ、これもスケールモデル気取りでモデラーを試しに来ています!
いやこれ本当に中学生の時に作らなくって良かったわ!
まぁ発売から35年経って、市川大河、生まれて初めてミデア輸送機を頑張って組み立てました。
キットには、『迫撃!トリプルドム』名場面再現を誘うかのように、同じ1/550スケールのドムが、ちゃんと黒い三連星の分3体が付属しているのだけれども、ポーズは直立不動だし、小さすぎて塗装すると死にそうなので、こっそり見なかったことにしておきます(笑)
まぁこれ以上の愚痴は書かずに、ここからはその、塗装だ、塗装。

今回は再現していないが、コンテナハッチはこの後部で、開閉の選択式。エンジン後部のパーツの抜けにも注目!

まぁ、本体のイエローはキットの成型色に依存して、部分塗装ですますのはいつものお約束なんですが。
ミデアの特徴的な、コンテナとエンジンのハブを彩る薄いグリーンが、なかなかMrカラーでは見つからない。
塗装指定には「よもぎ色」と書いてあるのだが、これはMrホビーの水性塗料の色指定であり、Mrカラーには残念ながら、よもぎ色と置換できる塗料が存在しない。
だったら調色しろよというツッコミもありそうなんだけれども(笑)どうせ水性なんだから、希釈も洗浄も水でいいんだろ?と、このためだけに大河さん、30年ぶりぐらいに水性塗料を購入。
そもそも30年前の水性塗料黎明期だと「水性塗料は、乾くのが遅くて隠蔽力が弱くてプラパーツへの定着も弱くて最悪」という印象しかなかった。
ガンプラブーム当時、PTAのお母様方が、お子様が手にするプラモデルに、シンナーを使った塗料なんてとんでもないザマスと文句をつけたのが発端で誕生した水性塗料なんだが(いや、今考えても、そのイチャモンって、めんどくさい言いがかりだよなぁ)、そもそもプラモデル用のラッカー塗料ごときに、中毒性なんぞあるわけがないのだが、ガンプラを、買うのは子どもでも、資本を出すのは親なので、逆らえないのが資本主義。けど大河さんは、そのころ既に思春期だったので、水性塗料は一回使って「ダメだこりゃ」と放り出してからは、30年間ラッカー系のMrカラーしか使ってこなかった。

なので、どれどれ、30年の時を経て、進化しただろう水性塗料というマテリアルを、良いタイミングなので一度試しておくかと、水性ホビーカラーのよもぎ色を購入して使ってみたところ……ダメだった(笑)
やはり、しょせんはどこまで行っても水性塗料は水性塗料。
伸びは悪いわ、乾くのは遅いわ、隠蔽力は低いわ、ムラは出やすいわ、プラパーツへの食いつきは悪いわ、30年前そのまま。
なので、コンテナとハブを塗装したら速やかにラッカー系塗料に切り替え。
うーん、この「よもぎ色」って、明度を一方で上げて、一方で落とすだけで、理想的な量産型ザクのグリーン2色になるのに、惜しいなぁ……。

というわけで他には。
エンジンの、ファンや噴射部はミディアムブルー。
塗装指示ではこっちがミディアムブルーと書かれていた、5基あるメインローターは、アニメ本編の色を参考にしてインディブルーで塗装。
16個あるタイヤは、中心部をニュートラルグレーで、タイヤ部を艶消し黒でそれぞれチマチマと塗装。
コックピットウィンドウは、スカイブルーとホワイトを調色した色で塗装。
後は各部に墨入れをして、艶消しのトップコートを吹いて完成……と思ったが。
フザけるな! 水性塗料! お前トップコート吹くだけで、ドロドロ溶けてきてんじゃねぇよ! もうね、絶対に、二度と使わないからな、水性塗料!
……というわけで、改めてよもぎ色部分を再塗装して、軽ぅーく艶消しトップコートを吹きなおして完成。

俯瞰真上から見下ろしたミデアのシルエット。単純に見えて、実に複雑な面構成を、丁寧に立体化していることが見て取れる

この辺りの艦船や1/550シリーズの殆どは、今回初めて作ったアイテムが多いのだが、モビルアーマー達同様、ミデアもここまで出来が良いと、まぁ相当余計なデザインリファインか、OVA等での派生機登場でもない限り、プラモデルの新規発売はないだろうし、必要ないなと思うのが正直なところ。
1/144ビッグサイズでの完成トイのミデアとか、あったら嬉しいけど、保管に困る大きさになるだろうし、ミデアはこれで充分!なのです。

市川大河公式サイト

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