先頃公開され、全国の怪獣映画ファンの心を熱くさせた映画「キングコング・髑髏島の巨神」!
思えば「キングコング」こそ、日本の「ゴジラ映画」のルーツでもあり、過去80年以上に渡って何度もリメイクされて来た、怪獣映画のレジェンドだと言える。
最近では2005年のピータージャクソン監督版「キングコング」が、オリジナルの世界観にかなり寄せて作られていたのも、記憶に新しいところだ。
しかし、ミドルエッジ世代にとっては、やはり1976年版の「キングコング」こそ、心の映画では無いのだろうか?(もちろん、続編の「キングコング2」を愛する方も多いとは思うが)
1976年版「キングコング」公開当時のチラシ。
滝口アキラ
当時の技術で果敢に等身大ロボットを作るという無謀さも含めて、ヒロインがキングコングに好意を持つ、という新たな解釈には、子供心にも新鮮な感動を覚えたものだ。
公開当時は、お正月映画の超大作として期待され、前年に公開された「タワーリング・インフェルノ」を越えるヒットが期待された本作。
見事に興行的には成功し、日本では1977年の配給収入第1位(30億円)を記録している。
残念ながら、当時の映画評論家からは酷評されてしまった本作だが、今でも映画ファンの間では根強い人気を誇っているのも事実。
そう、美女に尽くして、ラストで非業の死を遂げるキングコングに、実は自分自身を投影したミドルエッジ世代の方は、きっと多いに違いない。
今回紹介するのは、その1976年版「キングコング」公開時に発表された、幻のコミカライズ(映画を漫画化した物)版だ。
現在と違い、洋画を劇場に見に行くという行為が、まだまだ子供にはハードルが高かった70年代。
そんな子供達の強い味方だったのが、映画本編をラストまで漫画で紹介してくれる、「劇画ロードショー」という素晴らしい日本の漫画文化だ。恐らくミドルエッジ世代の方なら、一度は子供時代に読まれたことがあるのでは?
もちろん、この「キングコング」も例外では無く、これだけの話題作だけに、当時の漫画雑誌には、「キングコング」の記事や漫画が多数掲載されていた。
今回紹介するのは、当時少年誌に掲載されていた「キングコング」のコミカライズ版2本。
中でも、後述する一峰大二先生版「キングコング」こそ、映画の100倍素晴らしい、正に「神レベル」の作品だと断言出来る!
1976年版の映画「キングコング」とは?
詳しくは以下のリンクよりご確認下さい。
キングコング (1976年の映画) - Wikipedia
月刊少年マガジン掲載版「キングコング」概略
実は、1976年版「キンコング」公開時の宣伝として、2本のコミカライズ版がそれぞれ別の雑誌に掲載されていた。
まず紹介するのは、月刊少年マガジン1976年10月号と11月号に掲載された物だ。
本作が掲載された、月刊少年マガジン1976年11月号の表紙。
滝口アキラ
残念ながら、後編の掲載号が入手出来ていないため、ここでは前編のみを紹介させて頂くことにしよう。
本作は、前編・後編に渡って掲載された大長編漫画であり、前編ではコングが島で捕獲され、アメリカへ輸送されるまでが描かれている。
35ページの長編漫画と合わせて、11ページに渡るキングコング特集も掲載されるなど、当時としてもかなりの力の入れようだった。
月刊少年マガジン版「キングコング」あらすじ紹介
「キングコング」前編の表紙がこれだ!
滝口アキラ
「ウオオッ!」 いけにえにされたドワンの前に、遂にその姿を現したキングコング!
滝口アキラ
石油採掘のためにある孤島にやって来た探検隊の一行。
ところが、紅一点であるドワンが島の原住民にさらわれて、何かのいけにえに捧げられてしまう。ドワンの前に、島の守り神として原住民から崇められている巨大なキングコングが現れた!
「なにさ、この気の狂った、うすでかいバケモノ!!」
滝口アキラ
怖がるどころか、逆にコングにケンカを売るドワン!
ドワンを狙って突如襲って来た大蛇を、真っ二つに引きちぎるコング!
滝口アキラ
ドワンを狙って現れた巨大な蛇を、真っ二つに引き裂くコング!
自分を守ってくれたコングに対して、ドワンは命の恩人としての感情を抱くようになるのだが・・・。
さすがのコングも麻酔薬には勝てなかった!
滝口アキラ
コングと大蛇が戦っている間に、仲間の探検隊が無事にドワンを救出!
ドワンを追って来たコングだったが、人間の罠にかかり、ドラムカン入りの麻酔薬で眠らされ捕獲されてしまう。
巨大なタンカーでニューヨークへと輸送されるコング。
滝口アキラ
石油採掘用に用意していた巨大タンカーで、ニューヨークへ輸送されるコング。
あのビートルズが演奏したことでも有名なシェアスタジアムで、コングを見世物にして大金を稼ごうというのだ。
甲板でコングを心配そうに見守るドワン。やがて強い風が、彼女が首に巻いていたスカーフを飛ばしてしまう。
風に飛ばされたスカーフがコングの顔の上に落ち、その匂いでコングが目を覚ます!
滝口アキラ
甲板に立ち、心配そうにコングを見守るドワン。
やがて彼女のスカーフが風で飛ばされ、その匂いでコングが目覚める。
「おねがいだから、もう暴れたりしないで、静かにお休みなさい」
滝口アキラ
先ほどケンカを売っていた態度とは違って、やさしくコングに語りかけるドワン。その目には涙が・・・。
いかがだろう?、後編に期待を持たせる素晴らしい前編のエンディングではないか。
これは次号の予告ページ。
滝口アキラ
残念ながら後編掲載号が入手出来なかったのだが、次号予告にもある通り、後編では映画と同様に都会でのコングの大暴れが描かれている。。
漫画と一緒に掲載されていた、「新作キングコングのすべて」という11ページの特集記事より。
滝口アキラ
この前編掲載号には、漫画の他にも10ページのキンコング大百科が掲載されていた。
島の図解やコングの能力の紹介などは、今見ても非常に資料的価値が高く貴重な資料となっている。
この頃の月刊少年マガジンでは、こうした映画のコミカライズに力を入れていて、他にもあの名作「ロッキー」や、大林宣彦監督の「ハウス」などが掲載されていた。
映画を越える感動!幻の一峰大二先生版「キングコング」漫画って?
続いて紹介するのは、もはや映画の100倍素晴らしい!と言っても過言では無い、一峰大二先生による「キングコング」のコミカライズ版だ!
実は映画ではヘリコプター止まりで、ポスタービジュアルの様にジェット戦闘機を握り潰す!というファン待望のシーンは実現しなかった。
しかし、この漫画ではそれ以上のことをやってのけている!果たして、気になるその内容とは、いったいどんな物なのだろうか?
一峰大二先生版「キングコング」が掲載された、「別冊テレビランド」1976年12月号の表紙と本編の扉絵。
滝口アキラ
別冊テレビランド掲載版「キングコング」の概略
本作が掲載されたのは、別冊テレビランドの1976年12月号。
少年マガジンとは違いコングの迫力あるイラスト図解が、扉絵に加えてカラーで数ページ掲載されていた。
ただ、こちらも非常に入手が困難なため、今回資料として使用したのはこちらの本になる。
こちらは香港で発行されていた物。
滝口アキラ
これは香港に旅行した際に下町の古本屋で偶然発見した、「キングコング」の香港版コミカライズ雑誌。中身は一峰大二先生のテレビランド版「キングコング」を中文訳で収録した物なのだが、形態がアメコミ誌の様に薄い中綴じ本になっているため、ページ数の関係で見開き2ページを1ページに収録する!という苦肉の策が取られているのが珍しい。
別冊テレビランド掲載版「キングコング」あらすじ紹介
「月刊少年マガジン」掲載版と同じく、油田採掘のために、ある島を訪れた探検隊がコングに遭遇するところから、物語は始まる。
探検隊が不気味な島に上陸、ドワンがさらわれていけにえになるのはマガジン版と一緒だが、掲載誌が「テレビランド」となり、購読年齢層も低くなったためか、本作には小学生くらいの男の子が登場する。しかし基本的にコングとヒロインであるドワンとの関係を重視しているため、最後までこの少年が物語りに絡むことが無かったのは、非常に残念だ。
暗闇の中から、いきなり巨大なコングの顔がヌッと現れる素晴らしい描写!
滝口アキラ
いけにえにされたドワンの前に、遂に現れたキングコング!
前述した迫力あるコマとは180度違って、一転コミカルにおどけてみせるコングの姿!
滝口アキラ
気絶したドワンをさらって、コングは自分の住処へと戻って来る。
気が付いたドワンを慰めようとして、精一杯おどけて見せるコング!
「バリバリ!!」
滝口アキラ
突然ドワンを狙って現れた巨大な蛇!
コングは傷つきながらも、大蛇を口から縦に引き裂いた!
前述した大蛇を引き裂くシーンの直後に、この心温まるシーンが描かれる。
滝口アキラ
自分を大蛇から守って、傷ついたコングに駆け寄るドワン。
コングが実は花が好きなことが判り、コングとドワンの間に友情が芽生えるのだが・・・。
その後、ドワンを救出に来た探検隊の罠にかかり、コングはニューヨークに輸送されて見世物にされてしまう。
遂にコングの怒りが爆発!