1976_live album

60年代後半から70年代には名作ライブ・アルバムが数多く生まれました。しかし、近年はDVDやミュージシャン本人のサイトからインターネット通販が主流を占めるようになり、ライブ・アルバムのリリースは減ってきています。
インターネットが普及したこともあり、ライブは映像で観ることが多くなり、音だけというのは確かに今の時代には即さないのでしょうね。
しかし、ライブ・アルバムの魅力は尽きません。70年代に青春時代を過ごした音楽ファンであれば尚更でしょう。
60年代後半からライブ・アルバムが確立され、ブリティッシュ・ロックにおいては70年代の中ごろには、スーパースターたちがこぞってライブ・アルバムを発表し大ヒットさせています。
中でも1976年にはブリティッシュ・ロックの最重要ライブ・アルバムが複数リリースされました。
Wings Over America
1976年にリリースされたビッグネームのライブ・アルバム、まず最初にご紹介するのはポール・マッカートニー率いるウイングスです。
1975年9月から始まったワールド・ツアーの一環として行われたアメリカ公演の中から、ベスト・テイクを編集したのが「ウイングス U.S.A. ライヴ!!」です。
LP3枚組という超大作でウイングスの魅力、というか当時のポール・マッカートニーの魅力を余すことなく伝えています。
本作の目玉は、ビートルズ・ナンバーが5曲収められていることでした。最近のポール・マッカートニーはビートルズ・ナンバーをバンバンやっているので、今となっては有難みはありませんが、当時は感動ものだったのです。

ウイングス U.S.A. ライヴ!!
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The Song Remains the Same
レッド・ツェッペリンです。イギリスが誇る史上最高のロック・バンドといわれている彼らの最盛期ライヴ・アルバム「永遠の詩(狂熱のライヴ)」。ですが、このアルバムは実はドキュメンタリー映画「熱狂のライヴ」のサウンド・トラックなのです。
ライブはニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで1973年7月27日、28日、29日に録音されています。代表曲が多数収録されていますが、「モビー・ディック」では10分にも及ぶドラム・ソロを聴くことができます。ライブならではですね。
他にも、さまざまな曲がメドレー風に挿入された「胸いっぱいの愛」など聴きどころの多いアルバムになっています。

永遠の詩(狂熱のライヴ)
UFOやスコーピオンズ、ピンク・フロイドらのジャケットデザインでも一世を風靡した「ヒプノシス」の、まさにアルバムの世界観を見事に表現したジャケだけでも買う価値あり、と断言したい。
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FRAMPTON COMES ALIVE
1976年1月6日、歴史的と言っても良いライブ・アルバムがアメリカでリリースされます。ピーター・フランプトン「フランプトン・カムズ・アライヴ! 」がそれです。LPで2枚組にもかかわらず全米で10週連続の1位を記録し、全世界での売り上げは2500万枚という驚異的なメガ・セールスを打ち立てました。
前年に北米で200公演行い、その際に録音されたのが本作になるのですが、地道な努力がこうした成功につながったのですね。
飾りっ気がなく、さわやかで躍動感のあるサウンドはとても好感が持てます。

フランプトン・カムズ・アライヴ!
タイトルは「(前作)"Framton"のライブ盤」という意味と「フランプトンが(英国から)やってきた」という意味がかけてあるものと思います。
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Here and There
エルトン・ジョン「ヒア・アンド・ゼア〜ライブ・イン・ロンドン&N.Y.」。アルバム・タイトルからも分かるように、レコードのA面に1974年5月18日にロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホールで行われたオーケストラとの競演ライヴを、B面には1974年11月28日のマディソン・スクエア・ガーデンからのライヴを収録した変則的な内容のライブ・アルバムです。
発売はイギリスで1976年4月30日ですから2年も前の音源を収めてあるということに驚いてしまいますが、更に驚くのが選曲が地味だということですね。
当時のエルトン・ジョンといえば、派手なライブ・パフォーマンスで名を馳せていましたから尚更です。
しかし、そんなことはどうでもいいのです。問題はB面のニューヨーク公演で、オリジナルLPでは僅かに4曲しか収められていませんが、この日のアンコールには元ビートルズのジョン・レノンが登場し3曲共演しています。
1995年にリマスターされた本作は完全版として共演した3曲も収録されており嬉しいのですが、これがジョン・レノンの最後から2番目のライブとなってしまいました。

ヒア・アンド・ゼア~ライヴ・イン・ロンドン&N.Y.
エルトンは、レノンの「真夜中を突っ走れ」のレコーディングに参加。このシングルが一位になった際はライヴに来て欲しいと頼んでおり、実際一位となったため実現した競演である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%BC%E3%82%A2%E3%80%9C%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%B3&N.Y.ヒア・アンド・ゼア〜ライブ・イン・ロンドン&N.Y. - Wikipedia

エルトン・ジョン&ジョン・レノン
Stupidity
1976年には世界的にみると大きなヒットにはならなかったものの、ブリティッシュ・ロックを語る際には外すことのできない、熱い魂のこもったライブ・アルバムがリリースされています。世界的なヒットにはならなかったとはいえ、全英1位を獲得したドクター・フィールグッドの「殺人病棟」です。
問答無用、文句なしにジャケットが最高ですね!
パブロックの代表として語られることの多いドクター・フィールグッド。彼らはアリーナを主にしてライブを行うポール・マッカートニーやレッド・ツェッペリン、エルトン・ジョンといったビッグ・ネームとは異なり、ライブは小さなホールやパブで少人数を相手に行っていました。外見も当時主流だった長髪をステージで邪魔だからという理由で短くし、労働者階級まる出しの歌詞をシンプルな曲に乗せ、荒々しく演奏していました。
こうしたドクター・フィールグッドの音楽は次の世代への橋渡しとなりました。パンクの出現はもうそこまで来ていたのです。

殺人病棟
1976年には他にもロキシー・ミュージックの「ビバ!ロキシー・ミュージック」やステイタス・クォーの「烈火のハード・ブギー!」などがありますし、1976年前後となるとローリング・ストーンズの「ラブ・ユー・ライブ」やキング・クリムゾンの「USA」などなど素晴らしいライブ・アルバムがたくさんリリースされています。
やっぱりこの頃のライブ・アルバムを聴くと「熱狂」を共有できていいんですよね!