透明感のある声で独特な世界観を歌う大貫妙子。シュガーベイブ時代からソロとしての現在までを振り返ります。

透明感のある声で独特な世界観を歌う大貫妙子。シュガーベイブ時代からソロとしての現在までを振り返ります。

NHKの「みんなのうた」やCMなどで耳にする、透明感のある声の大貫妙子。山下達郎や村松邦男らとのバンド「シュガー・ベイブ」でデビューし、解散後もソロで活動を続ける大貫妙子の、現在までを振り返ってみました。


大貫妙子とは

ライブハウスで出会った山下達郎らと結成した「シュガー・ベイブ」解散後、ソロとしてデビューした大貫妙子も、40周年を迎えました。

大貫妙子

コラム別に読む : 大貫妙子さん(シンガー・ソングライター)と読む『ゲイルズバーグの春を愛す』 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

フォークグループ「三輪車」への加入

1973年山下達郎や村松邦男らと共に「シュガー・ベイブ」でデビューした大貫妙子。バンドを組んだりライブハウスに通うなど、音楽は好きでしたが、プロのミュージシャンになるつもりはありませんでした。
デビューが決まっていた「三輪車」に、女の子が欲しいという誘いで加入を決めましたが、グループの楽曲と自分の嗜好が合わず、プロの作家が作った曲も気に入らなかったため、悩んだ末に辞めてしまいます。

ロック喫茶「ディスク・チャート」での出会い

ジャズ喫茶のオーナーが新たに開店したロック喫茶「ディスク・チャート」という店では、毎週水曜日の閉店後に地下室でセッションが行われ、メンバーとして参加していた大貫妙子、すでにプロデビューしていた山本コータローなどが集まっていました。
「ディスク・チャート」で大貫妙子のソロデビューに向けたデモテープのレコーディングも始まり、何曲かが録音されていたところに、山下達郎がその存在を知り、通ってくるようになりました。

「シュガー・ベイブ」結成

山下達郎の「女性はキーボード」という主張により、大貫妙子はキーボードとして参加しました。

「シュガー・ベイブ」第1期メンバー

シュガー・ベイブ「SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-」発売記念 山下達郎インタビュー (1/5) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

大貫妙子のレコーディングセッションを見学した山下達郎は、次第にコーラスのアレンジを提案したり、セッションに参加するようになり、自分のオリジナル曲を演奏したいと考えるようになり、コーラスの幅を広げるために、大貫妙子にもバンドに参加を呼び掛けます。「三輪車」でグループ活動に失敗していた大貫妙子は悩みましたが、現在の状況に不安もあったため、参加することにしました。

大瀧詠一との出会い

1973年に「シュガー・ベイブ」は活動を開始し、長崎でのデビューコンサートは、大貫妙子が1度だけMCを担当しました。同じころ、山下達郎は学生時代の自主制作アルバムがきっかけで、大瀧詠一と知り合い、大瀧の家に通い詰めるうちに、「はっぴいえんど」ラストライブのコーラスに参加します。その後も大瀧詠一のCMソングのコーラスにも「シュガー・ベイブ」が参加し、1974年にはデモテープの録音と、プロモーション用のアーティスト写真の撮影も始まります。

「シュガー・ベイブ」のアルバムとしては、この1枚しか制作されませんでした。

「シュガー・ベイブ」の最初で最後のアルバム「SONGS」

SUGAR BABE / シュガー・ベイブ | diskunion.net ONLINE SHOP

デビューまでの活動

山下達郎は、亀淵友香のコンサートにコーラスで参加しますが、共にコーラスで参加予定の「シンガーズ・スリー」が直前で不参加となったため、急きょ大貫と村松をステージにあげ、リハーサルなしで事なきを得ます。たまたま客席で見ていた荒井由美に、レコーディングに呼ばれることになります。学園祭やライブ、ラジオの公開録音などのほか、CMソングなどの録音にも参加しています。荒井由美のレコーディングにコーラスで参加したことから、ルネ・シマールの日本公演でのコーラスなども務めました。そして1975年3月、「シュガー・ベイブ」のアルバム「SONGS」が完成し、翌月発売されますが、1976年1月にドラムの上原裕の脱退が決まり、代わりのドラマーが見つからないということで、4月に解散することになりました。

まだ珍しかったコード進行と、コーラスワークに重点を置いた音作りは、1970年代には商業的には成功したとは言えないかもしれませんが、他のミュージシャンや一部の音楽ファンからは支持されていました。

「シュガー・ベイブ」の解散とソロ活動の開始

大瀧詠一の主宰するナイアガラレーベルから、アルバム「SONGS」とシングル「DOWN TOWN/いつも通り」を発売した「シュガー・ベイブ」は、1976年3月31日と、当日会場に入れなかったファンの要望で翌4月1日の解散コンサートを経て解散します。
ソロ活動を開始した大貫妙子は、8月にデビューライブを行い、翌9月にアルバム「Grey Skies」を発売します。

細野晴臣、山下達郎、坂本龍一などのそうそうたるメンバーが参加して、「Grey Skies」は完成しました。

大貫妙子のソロとしてのデビューアルバム「Grey Skies」

大貫 妙子 (Ohnuki Taeko) - グレイ・スカイズ (Grey skies) (Used LP) - デシネ・ショップ・オンライン - dessinee shop online

アルバム制作で出会った坂本龍一は、当時はまだ無名でしたが、クラシック的な要素の強い大貫の曲を理解し、その後も付き合いは続いていくことになります。

CM曲と楽曲の提供

ソロ活動を開始した大貫妙子は、自身の作品以外に、CM曲やドラマのテーマ曲、楽曲の提供をしています。レコード会社が変わり、外部のプロデューサーに何度も変更を求められたことで、自分の思いと作品が離れていく感覚を経験したことが、その後の楽曲提供に繋がっていったと話しています。

主な楽曲提供

1981年 ラスト・トレイン/雨に消えたさようなら

竹内まりや

竹内まりや Official Web Site : NEWS

1981年 いらないもん

矢野顕子

矢野顕子×清志郎の曲が原田知世&大泉洋映画主題歌 - 音楽ナタリー

1982年 雨の停車場/恋・あなただけに

岩崎良美

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1984年 白い散歩道/月のオペラ

薬師丸ひろ子

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1984年 星空の円形劇場(アンフィシアター)
1985年 紅茶派
1987年 彼と彼女のソネット 他

原田知世

デビュー直後は緊張してばかりだった原田知世「ようやく仕事に慣れてきた(笑)」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

主な映画音楽の担当

大貫妙子は1996年に大ヒットした映画「Shall we ダンス?」のテーマ曲を、1997年には竹中直人が監督・主演の「東京日和」で音楽を担当します。
「Shall we ダンス?」は、ミュージカル「王様と私」のダンスシーンで使用された曲のカバーでしたが、映画のヒットとともに大貫妙子の名前も広く知られるようになりました。

「Shall we ダンス?」の概要

周防正行監督、役所広司主演、相手役はトッププリマドンナの草刈民代、同僚に竹中直人、パートナーになる主婦に渡辺えり子が演じ、社交ダンスが見直されるきっかけとなりました。

映画「Shall we ダンス?」

Shall we ダンス?(1996) - 作品情報・映画レビュー -KINENOTE(キネノート)

「Shall we ダンス?」のあらすじ

平凡で単調な毎日を送るサラリーマンが、電車の中から見えた女性に会いたい一心で、妻や娘にも内緒でダンス教室に通い始めます。不純な動機から始めた社交ダンスでしたが、偶然同じ教室に通っていた同僚の、会社とは全く違うイキイキとした姿や、パートナーとなった主婦のダンスへの思いを知り、次第にダンスそのものにのめりこんでいきます。

映画「Shall we ダンス?」は世界19ヶ国で上映され、高い評価を得ました。2004年には、リチャード・ギア主演でリメイクされました。

主人公杉山がダンスを習い始めるシーン

ユニークなモチーフの傑作! 役所広司主演「Shall weダンス?」 - 映画みちゃお!

映画そのものの面白さもありますが、相手役の草刈民代の初の映画であることと、作品の完成後の、監督の周防正行と草刈民代の結婚という話題もあり、話題を呼んだ映画です。テレビの映画番組でも何度も放送され、大貫妙子がその透き通った声で唄う「Shall we ダンス?」が日本中に流れました。

「東京日和」の概要

竹中直人監督・主演、妻のヨーコ役は中山美穂が演じた、写真家荒木経惟と、その妻陽子との共著を題材にして制作されました。

映画「東京日和」

【映画】東京日和 - いくらおにぎりブログ

「東京日和」のあらすじ

最愛の妻を亡くした写真家が、在りし日の妻との日々を回想することで、改めて妻の存在の大きさを知り、写真家としての人生は、妻との出会いから始まっていたと感じます。
妻の起こした事件のひとつひとつが、自分の仕事に大きな影響を与えていたのでした。

第21回日本アカデミー賞優秀作品賞など11部門で受賞し、大貫妙子も最優秀音楽賞を受賞しました。

「東京日和」のワンシーン

竹中直人特集で『サヨナラCOLOR』など全長編監督作7本上映&トーク - 映画・映像ニュース : CINRA.NET

CM曲やほかのアーティストへの楽曲提供、映画音楽などのほかにも、NHKみんなの歌での「メトロポリタン美術館や金のまきば、ラジオ番組や本の執筆など、さまざまな場面で活躍を続けています。

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坂本龍一との共演

2010年、ソロデビュー当時から付き合いのある坂本龍一と、アルバム「UTAU」を発表します。それに合わせて、「UTAU」ツアーが行われました。
大貫妙子が歌う坂本龍一と題されたツアーのパンフレットには、山下達郎からの寄稿も掲載されていました。

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