Emmanuelle
エマニエル夫人、なんと官能的な響きなのでしょう。映画の内容を知っていようといまいと関係なく、官能的な世界に引っ張り込まれそうになります。
エマニエル夫人
「エマニエル夫人」とは、1974年に公開されたフランス映画です。ファッション写真家として有名だったジュスト・ジャカンが監督しており、そのためか、ソフト・フォーカスを基調とし、全てのシーンがまるで絵画のような美しい映像となっています。
官能映画であるにも関わらず「エマニエル夫人」は世界的に大ヒットし、パリのシャンゼリゼ通りにある「凱旋」という映画館では何と11年間も上映を続けたそうです。
映画が大ヒットした要因のひとつにピエール・バシュレが担当した美しい音楽があげられます。聴けば映画と直結するテーマ曲も世界的にヒットしています。
そして、主役のエマニエル夫人を演じるのは、これが2作目となるシルビア・クリステルです。美しくも初々しいシルビア・クリステルは、まさにはまり役といえます。
シルビア・クリステル
この映画が画期的だったのは官能恋愛映画だったにもの関わらず、多くの女性が映画館に足を運んだというところにあります。当時は社会現象となるほど珍しいことでした。
エロチックではあっても嫌らしくない、美しい映像と音楽、そして何よりもシルビア・クリステルの初々しい魅力があったからこそ多くの女性ファンをも獲得したといえます。
【ストーリー】
エマニエルは、バンコクに住む外交官の妻で、幸せな日々を過ごしていました。しかし、裕福ではあっても刺激のない毎日に退屈していたところ、エマニエルは知人の紹介で「性の儀式」を受け入れることになります。最初は戸惑い大人しかったエマニエルですが、南国の明るい日差しの中、徐々に性の解放とその真理を追求するため自分を開放し、大胆な女性へと変貌していくのでした。
この後、続編が作られますが、性に目覚めたエマニエルが「真実の愛」を見つける旅を続けるというのがシリーズを通してのテーマで、内容としては変わりません。
Emmanuelle 2
「エマニエル夫人」の大ヒットを受けて、翌年1975年には続編となる「続・エマニエル夫人」が公開させます。主演はもちろんシルヴィア・クリステルですが、監督も脚本も、そして音楽も担当は変わっています。
続・エマニエル夫人
注目すべきは、やはり音楽でしょうね。前作があまりにも素晴らしかったので、後任の音楽担当はかなりのプレッシャーがかかったと思いますが、「続・エマニエル夫人」の音楽はフランシス・レイです。
フランシス・レイといえば、「男と女」、「愛と哀しみのボレロ」、「ある愛の詩」など数々の映画音楽を手掛けている巨匠ですね。さすがに前作に負けず劣らず素晴らしい楽曲を提供しています。
シルビア・クリステルの歌声が、なんとも初々しく可愛らしいですね。
Goodbye Emmanuelle
前作「続・エマニエル夫人 」から2年後、シリーズ最終作「さよならエマニエル夫人」が公開されます。1977年のことです。
続編とはいえ、またまた制作スタッフは監督はじめ脚本も音楽も変わっていますが、内容に大きな変化はありません。タイトルからも分かるように、これがシリーズの最終作です。
さよならエマニエル夫人
フランシス・レイの後釜となると、音楽はこれまた大変だったことでしょう。受ける音楽家が居ないのではないかと、こちらが思わず心配してしまいそうになるほどです。しかし、フランスという国は懐が深いですね。この大役を立派に努め上げたのは、なんとジェーン・バーキンの長年のパートナーであるフランスの問題児、セルジュ・ゲンズブールです。
心配無用の美しい曲ですね。