日本武道館
日本武道館は、もともとは1964年開催の東京オリンピックの柔道競技会場として建設され、同年の10月3日に開館しています。ご存知のように、現在では柔道競技会場以外にもプロレスやボクシングの興行、入学式や卒業式など各種様々なイベントにも使用されています。
1966年には初めてコンサート会場として使われ、「武道館」の名は欧米において大規模コンサート会場の代名詞となっています。
1966年に初めてコンサートを行ったのが、ご存じザ・ビートルズです。欧米にコンサート会場としてその存在を知らしめることになったのが、1978年に発表されたボブ・ディランのライブアルバム「武道館」とチープ・トリックの「チープ・トリックat武道館」という2枚のライブアルバムに、ダメ押しの如く1980年に発表されたエリック・クラプトンの「ジャスト・ワン・ナイト~エリック・クラプトン・ライヴ・アット武道館」です。
ボブ・ディランは大物ミュージシャンの初来日ということ、チープ・トリックは本国アメリカよりも日本での人気が高かったということで、当初は日本限定のライブアルバムだったのですが、どちらも後にアメリカやヨーロッパでも発売されヒットとなったことから、「武道館」の名が知れ渡ることになりました。
ザ・ビートルズの日本武道館公演

ザ・ビートルズ日本公演
今や伝説となっているザ・ビートルズの来日公演。ザ・ビートルズが来日していたなんて信じられない感じですが、1966年6月29日に来日し次の日から日本武道館でライブを行っています。
演奏された曲目は、
1.ロック・アンド・ロール・ミュージック
2.シーズ・ア・ウーマン
3.恋をするなら
4.デイ・トリッパー
5.ベイビーズ・イン・ブラック
6.アイ・フィール・ファイン
7.イエスタディ
8.彼氏になりたい
9.ひとりぼっちのあいつ
10.ペイパーバック・ライター
11.アイム・ダウン
これが日本武道館で行われた最初のコンサートとなるわけですが、当然のように批判する者が現れたことから混乱を避けるため厳重警戒態勢がひかれることになります。
全11曲、わずか30分程度の演奏時間にも関わらず、会場には3,000人の警官を配備して監視を行ったといいます。
大成功に終わった来日コンサートですが、7月3日には次のコンサート会場であるフィリピンに向かうため日本を離れていますから流石に世界のアイドル、慌ただしいですね。
ボブ・ディランの日本武道館公演
1978年2月にボブ・ディランは初来日し20日に最初のコンサートを日本武道館で行いました。既に伝説となっていた大物ミュージシャンの初来日に社会的反響も大きく、多くのメディアが取り上げげています。
初来日公演の2日間を録音し、その中からベストテイクが選ばれ2枚組のライブ・アルバムとなったのが1978年に発売されたその名も「武道館」です。当初は日本限定発売だったのですが、内容が良かったということで、欧米でも発売されることになったという当時としては珍しい現象が起きています。結局このアルバムは、全米で最高13位、全英のアルバム・チャートでは4位を記録し、ゴールド・ディスクに認定されるほどのヒットとなりました。

武道館
Amazon.co.jp: ボブ・ディラン : 武道館 - ミュージック
ライブにおいて、オリジナルとはアレンジを大きく変えるということはボブ・ディランにとっては珍しいことではありませんが、当時はそうした情報も少なくあまりにもゴージャスになったアレンジに戸惑うファンが続出しました。
ボブ・ディラン以外に11人ものバックミュージシャンがついています。多いですね。バック・コーラスだけでも3人ですからね。しかし、今聴くと悪くないですこの編成。
当時はイメージと違うということで拒絶反応が出たのでしょうね。これ以降こうした大人数のバンドを付けることはありませんから、そうした意味からも貴重なライブ・アルバムといえますね。
チープ・トリックの日本武道館公演
チープ・トリックの初来日は1978年4月で、28日と30日に日本武道館でコンサートを行っており、その模様を収めたのがライブ・アルバム「チープ・トリックat武道館」です。
コンサート会場としての日本武道館を世界に認知させたのと同時に、チープトリックも世界的に知らしめたという輝かしい功績をこのアルバムは残しています。

チープ・トリックat武道館
バンドとオーディエンスとの呼応、それらが素晴らしくマッチングされ、 聴いているだけで当時の会場の熱の籠り様が窺えます。
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日本での人気が本国よりも先行していたチープ・トリックの出世作にして武道館の名を全世界に轟かせるきっかけとなった作品がこれです。このライヴ・アルバムも当初は日本限定だったのですが、徐々にアメリカでも話題となり正式発売されることになり、結局全米4位となる大ヒットを記録しています。
大歓声の中ノリノリの演奏でとてもアウェーとは思えない、むしろホームといった雰囲気のライブ・アルバムとなっています。
エリック・クラプトンの日本武道館公演
そしてとどめとなるのが1980年に発売されたエリック・クラプトンの「ジャスト・ワン・ナイト~エリック・クラプトン・ライヴ・アット武道館」です。
4度目の日本公演(1979年11月23日-12月6日、全10公演)の中から、12月3日に日本武道館で行われたライブの模様が収録されています。
それまでの来日コンサートに比べると、どちらかと言えば渋めの選曲です。人気曲である「ワンダフル・トゥナイト」、「コカイン」が収録されているのはファンならずとも嬉しいですね。
ところで、エリック・クラプトンは、74年10月の初来日以来、日本武道館でなんと91回もコンサートを行っていて、歴代海外アーティスト公演回数としてはダントツの1位です。

ジャスト・ワン・ナイト~エリック・クラプトン・ライヴ・アット武道館
伝説のストラト”ブラッキー”の音色を存分に楽しめるライブでもあるので ぜひ聴いてみてほしいアルバムです。
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「ブラッキー」というのはエリック・クラプトンが愛用していたフェンダー社のストラトキャスター(ジャケットに写っているギターです)に名付けられた愛称のことです。
このギターは古い(1956年~1957年のもの)3本のストラトキャスターを分解し、最良のパーツを使って組み上げられています。
因みにブラッキーは、2004年にオークションにかけられ当時としてはギターの最高額となる約1億520万円で落札されています。
今日では日本におけるロック・コンサートの聖地とも言われる日本武道館は、70年代後半に行われたコンサートとそのライブ・アルバムによって確立されたんですね。どれも素晴らしいアルバムなだけに、生で観たいという思いが募ります。