今ではもう読めない!?誰もが読んだ絵本「ちびくろサンボ」
ミドルエッジ世代のアナタにとって、子供の頃の思い出の本は何ですか?「晴れときどき豚」や「ズッコケ三人組」など色々あると思いますが「ちびくろサンボ」という人も少なくないのではないでしょうか。今は、廃刊となってしまっている「ちびくろサンボ」の内容などをプレイバックしていきましょう。

ちびくろサンボができたきっかけ
イギリス人のヘレン・バンナーマン夫人が、インドに滞在中、イギリスに残る二人の娘のために描いたもの。それを1899年に、ヘレン・バンナーマン夫人自身の挿絵を加えて、イギリスで出版。大ヒットとなり、世界中で翻訳・出版されることとなった。

日本での出版は?
日本では、1953年にフランク・ドビアスの絵によるマクラミン社版を原本とした岩波版『ちびくろサンボ』(光吉夏弥訳)が出版された。
その後も、20数社からおよそ50種類の「ちびくろサンボ」が誕生している。
当然、完全絶版になっており、ネットオークションでは10000円以上の値が付くこともある。

世界中で絶版の流れへ
「ちびくろサンボ」がイギリスで出版されてからおよそ50年。1952年ニューヨークまたは1956年カナダのトロントで、学校図書としてふさわしくないとして追放運動が起きている。
理由は明確、「ちびくろサンボ」が黒人差別につながると理由からだった。出版から50年、世界的に人々の考え方は変化していったと言える。
日本での流れは?
アメリカやカナダから遅れることおよそ20年、1970年代初めには差別的と言う意見が出ていたが、そこまで問題視されず、そのまま流通は続き、各家庭で読まれていた。
風向きが変わったのが、1988年7月22日、アメリカの『ワシントン・ポスト』紙が「昔の黒人のイメージが日本でよみがえる」という見出しで取り上げられ、「ちびくろサンボ」の他、黒人をモデルにしたマネキン人形(リトルブラックサンボ)が出回っていると非難され、一気に出版を控える流れとなっていった。

よって具体的に何が問題だったのか?
1.サンボと言う言葉
アメリカでは「サンボ」という言葉は、黒人を示す蔑称とされているため。
というのも、サンボの語源はスペイン語のSAMBO=「猿」、「がにまた」と言う意味になる。
更には、親の「マンボ」「ジャンボ」という名前を続けて読むと、アメリカでは「ちんぷんかんぷん」といった意味になる点。
2.ストーリー
ストーリー、挿絵ともに黒人を否定的に描いており、学校図書になるような児童文学作品には向かないと言う判断から。

「ちびくろサンボ」どんなあらすじ?
「ちびくろサンボ」のストーリー - 国語 | 【OKWAVE】

「ちびくろサンボ」のストーリー - 国語 | 【OKWAVE】

2000年代に入り復刻の流れに
2000年代に入ると、「ちびくろサンボ」というタイトルだけ表面的に見ており、ストーリー自体、全く黒人を侮蔑するような内容ではないという声が広まり、復刻を願う流れが高まった。
それもあり、日本でも続々と復刻版が出版・発売されている。
まとめ
いかがでしたでしょうか?懐かしさいっぱいになった人も多いのではないでしょうか。
「廃刊」になったのは有名な話で知っていても「復刻」していたことは知らない人も少なくないと思います。
児童図書として復活した「ちびくろサンボ」を今後は是非、自分の息子や娘に読ませてあげましょう。