『ガンプラり歩き旅』その002 ~1/100 ガンダムは、果たして「リアルじゃない玩具」だったのか?~

『ガンプラり歩き旅』その002 ~1/100 ガンダムは、果たして「リアルじゃない玩具」だったのか?~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする新企画連載の第2回!「1/100ガンダム」です。


さてさて、前回から始まりました、ガンダムのプラモデル、通称"ガンプラ"を、 『機動戦士ガンダム』(1979年)に登場したモビルスーツや戦艦やメカを、37年の歴史と共に紹介していこうというこの連載! 実はこの連載は、大河さんが書評サイトシミルボンで今現在進行形で連載しています 『機動戦士ガンダムを読む!』でビジュアル面を飾る、 再現画像用に収集、組み立てております。

なので、基本は一つのメカに対して、ガンプラ37年間の歴史の中からベストチョイスのオンリーワンを選び出すのが基本なのですが、用途、ギミック、バリュー、商品メジャー度によっては、複数のアイテムをシーンごとに使い分ける物もあれば、どうしても登場させたいメカなのに、ガンプラからは発売されていない物は、完成品フィギュアを用いたり、プライズやガシャポン等のアイテムを使うことでタイトロープのように頑張っております!……が!

そこはやはり大河さんも、ガンプラブームを中学生で直撃を受けた世代でありますので、昨今のディティール過多な「コレジャナイ感ガンプラ」と向き合うと、いろいろ迷ってしまうわけです。

というわけで、今回は、ガンプラ2号となる「1/100 ガンダム」を紹介しますが、当時からこの1/100 ガンダムは「合金玩具の模型化でしかない」「子ども向け仕様で全然リアルじゃない」と、鬼子扱いをされてきた不遇なアイテムなのですが……、おいちょっと待てよと(なんでここだけキムタク風やねん)。
貴方たち、とても大事なことを忘れていませんか?と。
ここは大事なことなんで、シミルボンでの論でも書きますけど、『機動戦士ガンダム』は、生まれは由緒正しく、立派な「合体スーパーロボットアニメ」なんですよ?と。
合体ロボットの合体を再現したプラモデルが、存在を否定されること自体が矛盾しているわけで。
そりゃ「コア・ファイターの変形と収納合体」は、今でもマスターグレードのガンダム等では基本仕様ではあるけれども、実は“どちらが正しかったのか?”という問題提起が、この、37年前の玩具仕様プラモデルには隠されていたのだ!
いやいや、1/100 ガンダムが隠し持っている「オンリーワン」は、まだまだそれだけじゃないんですよ? というのが、今回の紹介のメインテーマです!

ガンダム 1/100 1980年7月 700円

これが記念すべき箱絵! ちなみに箱絵どおりにはバズーカは構えられない!

確かに1/100ガンダムは、クローバー玩具準拠の仕様だし、間接可動も、足首や股間が固定であるなど、今からは考えられないほど可動性は低いが、実はその後のガンプラ展開、いや、富野監督をはじめとしたアニメ作画演出からも切り捨てられた"ガンダムというメカの、デザイン当初のアニメ設定的独自ギミック"が組み込まれているのは、後にも先にも1/100ガンダムだけなのである。

今立ち上がる機動戦士! 安彦顔のUP!

それこそが、前回も書いた「腹部での、コアブロックむき出し」なのだ。
実際のアニメ作画では、富野由悠季総監督・安彦良和アニメーションディレクターの両氏が、リアリズムの観点と整合性から廃してしまったが、当初のガンダムの「合体ロボットとしての売り」は、戦闘機のコア・ファイターが変形してコアブロックになると同時に、それがガンダムの腹部をそのまま形成し、さらにコアブロックを介して、ガンキャノン、ガンタンクの上半身、下半身と、自由に組み替えて合体パターンを9通り作れる、というものであった。デザイン的にも、主人公メカ・ガンダムの上半身の胸部と腹部で、中央の青と両サイドの赤が、共に二段組にデザインされているのは、コア・ファイターがコアブロックに変形した際に、中央が青で両サイドが赤になる色配置を前提として、デザインラインが形成されているからであり、腹部むき出し仕様も組み換え遊びも、実際の、放映当時のクローバーのパンフレットにも、その旨の紹介がしてある。

テレビの合体を再現!1

テレビの合体を再現!2

コア・ファイターの向きがたまに前後間違えるのは、当時のアニメ版では結構みられたミス

テレビの合体を再現!3

テレビの合体を再現!4

テレビの合体を再現!5

まぁ、上半身と下半身の組み替えは、今でもよくある「玩具展開だけのお遊びギミック」だったとしても、当時は演出やコンテ、作画時に徹底しきれていなかったのか、ガンダムの上半身(Aパーツ)が胸の段までしかなくて、コア・ファイターが変形したコアブロックを挟んで下半身(Bパーツ)と合体する時に、コアブロックそのものが、ガンダムの腹部を形成するという演出が随所に見られる。

確かに、シリーズ後半や、劇場版での新作画箇所では、ガンダムのAパーツはそのまますっぽりコアブロックを包む形でかぶせられる「Aパーツかぶせ式」で最終的に、イマドキのガンプラなどでも仕様が統一されていくことになるのだが、クローバーや大河原邦男氏の初期ビジョンでは、コアブロックがそのままガンダムの腹部になる視覚効果が、合体ロボットとしてのガンダムの売りになるはずであったと思われる。

二次元の嘘?

そこはそれ、さすがに戦闘機のコックピットが腹部でむき出しになっていることのリアリティ的欠落もある上で、クローバー玩具や1/100ガンダムも、コアブロックの先端処理を「二次元と三次元の違い」でごまかすしかなかった以上は、現代のガンプラの驚異的技術力をもってしても、「コアブロックむき出し腹部式」でなおかつ、合体後のシルエットがアニメどおりにさせることは不可能に近いので、そういった諸々で、今では「なかった設定」にされている「コアブロックむき出し腹部式」だが、実は、ここが「コアブロックむき出し腹部式」であったという前提を持たないと、後のGアーマー(こちらもそもそもは、クローバーサイドの1979年クリスマス商戦用の追加商品企画から来ている代物)での、GブルやGブルイージーといった形態の再現に無理があるのだ。

実際ガンプラ路線が、完全リアル志向へ移行した後に発売された1/144 Gアーマー(1981年9月)や、近年HGUCで発売された1/144 Gアーマー(2004年)などは、Gブル形態時に追加パーツをAパーツ腰にかぶせることで、なんとか辻褄を合わせるしかなくなっている。
かように、Gアーマーに関しては、ネット各所やWikipediaに記載されているような「設定に矛盾がある」のではなく、そもそもガンダム自体のAパーツとコアブロックが、「コアブロックむき出し腹部式」だったという前提に戻れば、そちらの方では整合性は、実はあるデザインなのである(でなければ、クローバーの技術で玩具化は当時不可能だったはずである)。

実際、アニメ版の作画でも、ガンダムのAパーツとBパーツとコアブロックの物理的関係は、カットやシーン、テレビ版と劇場版などで、ケースバイケースで表現が変わっているのである(画像参照)。

右上が「コアブロックかぶせ式」
左下が「正式設定準拠」
右下が「なんでコアブロックが胸の上の段やねん」という

アニメテレビ版での、コアブロックの分割描写

ガンダムの"足の裏の正解"

また、さらに一つ付け加えておくならば、36年の歴史の中での、数多あるRX-78ガンダムプラモデルの中でも、TVアニメシリーズ時に描かれた足裏設定図を再現しているのはプラモの旧1/100だけなのである。

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