The Jam

ザ・ジャム
セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュと並び70年代後半にイギリス中を席巻したパンク・ムーブメントの最重要バンドにして世界最高のビートバンド、それがザ・ジャムです。
メンバーはボーカル・ギターのポール・ウェラーを中心に、ベースのブルース・フォクストン 、ドラムスのリック・バックラーの3人。
このたった3人で生み出すビートは非常にスタイリッシュなもので、当時はパンクバンドとしてくくられていたものの、音楽的には60年代のモッズバンドといった趣です。
活動期間は僅か5年と短いものの、解散後も本国イギリスに留まらず、日本においても影響力は大きく、現在でも多くのファンやミュージシャンからリスペクトされています。

ポール・ウェラー
ザ・ジャムの魅力は、何と言っても、殆どの楽曲を手掛けているフロントマンであるポール・ウェラーの存在抜きに語ることはできません。音楽的な才能は言うに及ばず、ビジュアル的にも美少年そのもので多くのファンを獲得しましたが、ファッション的にもロンズデールやフレッドペリーといったイギリスのスポーツ・ブランドが日本で浸透したのはポール・ウェラーの影響が大きかったと思います。現代のモッズ・ファッションのパイオニアですね。
それともうひとつ、ポール・ウェラーが使っていたギター、リッケンバッカー。当時はあまり目にする機会が少なかったギターメーカーですが、多くのギター小僧を虜にしたものです。
60年代にザ・ビートルズのジョン・レノンやジョージ・ハリスン、ザ・フーのピート・タウンゼントなどイギリスを代表するバンドが使用している楽器ということで、リッケンバッカーはイギリスのメーカーのような印象がありますが、これはアメリカのメーカーです。
今となっては、モッズ・バンドの定番となっているギター・メーカーですね。

ブルース・フォクストン&リック・バックラー
ザ・ジャムの魅力は、ポール・ウェラーであると言ったものの、ブルース・フォクストンとリック・バックラーの存在なしにザ・ジャムを語ることなどできません。
ザ・ジャムの素晴らしいところは、カリスマ性を持ったフロントマンが居るにも関わらず、ポール・ウェラーとそのバック・バンドとならなかったところです。
あくまでもひとつのバンドとして成り立っているところが素晴らしく、それが難しくなったからこそ人気絶頂時であったにも関わらずきっぱりと解散したのでしょう。
聴けば分かるとはまさにこのことで、ザ・ジャムの楽曲はブルース・フォクストンとリック・バックラーのリズムなくしては成り立ちません。
Fire & Skill
ザ・ジャム、デビュー30周年を記念して2007年に「From The Jam」と名乗って再結成ツアーが行われました。とは言え常に「再結成はしない」と断言していたポール・ウェラーは参加していません。
しかし、2010年になると、ポール・ウェラーのソロ・アルバム「ウェイク・アップ・ザ・ネイション」にブルース・フォクストンが参加し多くのファンを喜ばせてくれました。ザ・ジャム解散から実に28年ぶりの共演です。
解散後も何かと話題を提供しているザ・ジャムですが、2015年に嬉しいニュースが飛び込んできました。それは、「Fire & Skill: the Jam Live」というCDのボックス・セットのリリースです。

ファイヤー・アンド・スキル
ザ・ジャムを楽しむには何と言ってもライブが一番です。CDで6枚組という「ファイヤー・アンド・スキル」には、メジャー・デビューした1977年から解散した1982年まで、1年ごとにライブが収まっています。しかも既発曲は11曲のみで、他は全て未発売音源という内容ですから初心者からマニアまで楽しめるないようとなっています。
1977年の「100クラブ」という今や伝説となっているライブハウスから、1982年のロンドンを代表するアリーナである「ウェンブリー・アリーナ」まで、成長していくバンドの軌跡を楽しむことができます。

Fire & Skill the Jam Live Box set
素晴らしい内容のボックス・セットなのですが、残念なことに初回限定生産のため現在ではなかなか入手が難しくなっています。
ABOUT The YOUNG IDEA
2015年には「ザ・ジャム - アバウト・ザ・ヤング・アイデア+ライヴ・アット・ロックパラスト 1980」のリリースのという嬉しいニュースがもうひとつありました。
内容がこれまた素晴らしく、待ちに待ったというか、今までありそうでなかったザ・ジャムの映像ドキュメント!プラス、絶頂期である1980年のライブ映像です。

ザ・ジャム - アバウト・ザ・ヤング・アイデア+ライヴ・アット・ロックパラスト 1980
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ザ・ジャムのファンであれば、バンド結成から解散までが記録されたこのドキュメント映像は宝物でしょう。勿論はじめてザ・ジャムに接する方にとってもサクセス・ストーリーとして楽しむことができます。
しかし、ザ・ジャムの素晴らしさを体感できるのは何と言ってもライブ!もう1枚のディスクに収められた「ライヴ・アット・ロックパラスト1980」は、ファンであろうとなかろうと、ロック好きであれば誰しも文句なしに楽しむことができます。
ザ・ジャムの人気、実力共に最高潮の時のライブであり、ヒット曲、代表曲満載の内容には文句の付けようがありません。
これぞ、ザ・ジャム!これぞ、ロック!!ってなもんです。
【ライヴ・アット・ロックパラスト 1980 収録曲】
1.ドリーム・タイム
2.シック・アズ・シーヴズ
3.ボーイ・アバウト・タウン
4.ゴーイング・アンダーグラウンド
5.プリティー・グリーン
6.マン・イン・ザ・コーナー・ショップ
7.セット・ザ・ハウス・アブレイズ
8.プライヴェイト・ヘル
9.リザ・ラドリー
10.ドリームズ・オブ・チルドレン
11.ザ・モダン・ワールド
12.リトル・ボーイ・ソルジャーズ
13.バット・アイム・ディファレント・ナウ
14.スタート
15.スクレイプ・アウェイ
16.ストレンジ・タウン
17.ホェン・ユー・アー・ヤング
18.イン・ザ・シティ
19.トゥー・ビー・サムワン
20.デイヴィッド・ワッツ
21.ジ・イートン・ライフルズ
22.ダウン・イン・ザ・チューブ・ステーション・アット・ミッドナイト
デビュー当時はパンク・バンドとしてひとくくりにされていたものの、その枠に収まることなくUKロックの歴史すら変えてしまった最強のトリオであるザ・ジャム。
しかし、ライブを見るとパンクそのものですね。ザ・ジャムの熱い思いは四半世紀の月日を経ても変わることがありません。
時代の代弁者となり、そのキャリアのピークで解散したところが言葉に出来ないほどカッコよく、今でも多くの人々に愛され続けている伝説のバンド。ポール・ウェラー、ブルース・フォクストン、リック・バックラーという3人がであったこと自体が奇跡なんですよね。
CDボックスの「ファイヤー・アンド・スキル」と映像集「アバウト・ザ・ヤング・アイデア+ライヴ・アット・ロックパラスト 1980」はザ・ジャムの真骨頂であるライブを音と映像でデビューから解散までたっぷりと味わうことが出来る全ロック・ファン必携のアイテムですよ。