Henry Mancini

ヘンリー・マンシーニ
ヘンリー・マンシーニといえば、音楽ファンよりも映画ファンの間で知られている存在なのかもしれませんね。映画音楽家としてグラミー賞やアカデミー作曲賞に何度も輝いた作曲家であり指揮者です。
勿論、音楽ファンの間においても昨今のサウンドトラック・ブームもあり多くのファンを獲得しているます。とは言え、映画音楽のファンは少数派ですから少しでも多くの方にヘンリー・マンシーニを通して映画音楽の素晴らしさをご紹介できればと思います。
ヘンリー・マンシーニは、出生時の名前をエンリコ・ニコラ・マンチーニ(Enrico Nicola Mancini)といいます。フルート奏者であった父親からフルートとピッコロの英才教育を幼いころから受け、名門ジュリアード音楽院に進学。その後、グレン・ミラー・オーケストラにアレンジャー兼ピアニストとして採用されています。
1952年にはユニバーサル映画に入社し、音楽監督のアシスタントをこなしつつ、「大アマゾンの半魚人」等のホラーの劇伴を手がけ、徐々に頭角を現してきます。
アカデミー賞は、1961年の「ティファニーで朝食を」で歌曲賞、劇・喜劇映画音楽賞、1962年の「酒とバラの日々」で歌曲賞、1982年の「ビクター/ビクトリア」で音楽(編曲・歌曲)賞と、3度受賞しました。
60's
さて、ヘンリー・マンシーニの代表作とは何でしょう?ヘンリー・マンシーニのことは知らなくとも、おそらく聴くと多くの人が「知っている」という曲が数多くあります。
例えば、「ムーン・リバー」や「仔象の行進」ですね。
「ムーン・リバー」は、オードリー・ヘプバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」で彼女自身が歌って大人気となった曲です。アンディ・ウイリアムスをはじめ多くのカバーを生んでいます。
そして、ちょっとコミカルな「仔象の行進」は、映画「ハタリ」で水浴びのためにプールに3頭の赤ちゃん象を連れて行くシーン用として作られています。何とも可愛らしシーンなのですが、曲はまさにピッタリですね。テレビ番組のコメディ・シーンなどいろんなところで数多く使われていますので、聞き覚えがあるかと思いますよ。
この2曲は共に1961年の制作です。
1961年と言えばもう一曲、ロックファンにもお馴染みの曲を発表しています。私立探偵を主人公とした連続テレビドラマ「ピーター・ガン」のテーマ曲です。
この曲は、モッズやビート系のバンドがライブでのオープニングにカバーしているのをよく目にします。いかにも始まるぞという感じがして気持ちが高ぶってくる素晴らしい曲です。それにしてもモダンな曲ですよね。
そして、ヘンリー・マンシーニの60年代の代表曲として忘れてはならないのが、「ピンク・パンサーのテーマ」でしょう。
1963年に制作されたアメリカのコメディ映画「ピンクの豹」は大ヒットし、以後ピンク・パンサーとしてシリーズ化され1993年の「ピンク・パンサーの息子」まで8作も続くことになります。
ピーター・セラーズ演ずるクルーゾー警部が有名ですが、シリーズ第1作目の「ピンクの豹」の主演はデヴィッド・ニーヴンです。
そのデヴィッド・ニーヴンが演じた怪盗ファントムの忍び足をテーマにしたのが、あの特徴的な、「ピンク・パンサーのテーマ」というわけです。

ピンク・パンサー(サウンドトラック)
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70's
70年代に入りヘンリー・マンシーニますます脂がのってきます。先ずはマルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンのダブル主演で大ヒットした1970年公開のイタリア・フランス・ソ連の合作映画「ひまわり」です。
これは、もう、いい映画にはいい音楽があるという典型的な例といえますね。このサウンドトラックを聴いていると美しいシーンがありありと蘇ってきます。
ラストの地平線にまで及ぶ画面いっぱいのひまわり畑は忘れられません。そしてヘンリー・マンシーニの作った主題曲は世界中でヒットしました。
愁いをおびたマンシーニ・メロディーとして日本でもっとも人気が高いとされているのがこの「ひまわり」のサウンドトラックです。

ひまわり(サウンドトラック)
ヘンリー・マンシーニの代表作に入れてよいものかどうか迷うところではありますが(他にもっと素晴らしい曲があるため)、70年代に学生だった日本人にとって忘れられないのが、ピーター・フォーク主演のテレビドラマ「刑事コロンボ」のテーマ曲でしょう。
「うちのカミさんがね」の名セリフで一世を風靡しました。
ところで、「刑事コロンボのテーマ」としてしられている曲は、実は原題を「Mystery Movie Theme」といって、アメリカで「刑事コロンボ」を含む4作のテレビシリーズをローテーション放送していた「NBCミステリー・ムービー」のテーマ曲です。
日本ではこの曲が「刑事コロンボ」のオープニングとエンディングに流されていたためテーマ曲として定着したようです。
70年代の代表作をもうひとつ挙げるとすれば、1975年ロバート・レッドフォード主演の映画「華麗なるヒコーキ野郎」でしょう。
ヘンリー・マンシーニのファンの間では非常に人気が高く、軽快なサウンドが楽しいアルバムですが、CD化はされていないようです。
80's~90's
80年代に入ってもヘンリー・マンシーニの制作意欲は衰えず、亡くなる1994年までコンスタントにほぼ毎年映画音楽を担当しています。
70年代後半から80年代にかけての作品としては先に触れた「ピンク・パンサー」シリーズが目を引きますが、80年代の作品として代表作と言えるのは1982年公開の映画「ビクター/ビクトリア」でしょう。
この映画は7つの部門でアカデミー賞にノミネートされ、ヘンリー・マンシーニはアカデミー作曲賞を受賞しました。
90年代は、1990年「ゴースト・パパ 」、1991年「スウィッチ/素敵な彼女? 」、同じく1991年「マンハッタン・ラブ/女と男のいい関係 」、1993年はシリーズ最終作となる「ピンク・パンサーの息子 」、そしてヘンリー・マンシーニ最後の映画音楽「トムとジェリーの大冒険」を1993年に発表して、膵臓および肝臓癌のため70歳で人生を終えます。
最後の作品が「トムとジェリー」というところがヘンリー・マンシーニの人柄を表しているようで、グッときます。
ヘンリー・マンシーニのサウンドトラックを聴いていて思うのは、素晴らしい映画には素晴らしい音楽が常に寄り添っているということです。
それは、ヘンリー・マンシーニの映画への深い愛情を感じることができる音楽ということでもあります。
ヘンリー・マンシーニのサウンドトラックを聴いていて思うのは、素晴らしい映画には素晴らしい音楽が常に寄り添っているということです。
それは、ヘンリー・マンシーニの映画への深い愛情を感じることができる音楽ということでもあります。