ニューソウル・ムーヴメントの幕開けを飾った男、ダニー・ハサウェイの魂の歌声を聴いてほしい!

ニューソウル・ムーヴメントの幕開けを飾った男、ダニー・ハサウェイの魂の歌声を聴いてほしい!

70年代に「私たち黒人が差別から解放され、自由になる日がいつか必ずやってくる」と歌ったダニー・ハサウェイ。力強く、それでいて繊細な歌声はファンのみならず、今なお同業のミュージシャンをも魅了し続けています。また、クラシックやジャズに対する造詣が深いダニー・ハサウェイのアレンジはソウルに新しい可能性を見出しました。


Donny Hathaway

出生名:ダニー・エドワード・ハサウェイ
生年月日:1945年10月1日
出身地:アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ
ジャンル:シカゴ・ソウル, R&B
職業:歌手, ソングライター, アレンジャー
担当楽器:ヴォーカル, ピアノ/キーボード
活動期間:1969~1979

ダニー・ハサウェイ

ダニー・ハサウェイが亡くなったのは1979年1月13日のことで、ニューヨークのセントラル・パーク・サウスにあるエセックス・ハウス・ホテルからの転落死とされていますが、死因には謎が多く、自殺とも他殺とも言われています。
音楽活動期間は、70年のソロ・デビューから、わずか9年しかありませんが、その短い期間に偉大な功績を残しているダニー・ハサウェイのキャリアを振り返ってみます。

1945年10月1日、アメリカはイリノイ州シカゴにダニー・ハサウェイは生まれます。ゴスペル・シンガーでありギタリストでもあった祖母のマーサ・クロムウェルに育てられ、3歳に時には祖母と共に中南部をツアーを行っていたのだそうです。
その一方で、幼少のころからピアノのプライベート・レッスンを受け、クラシック理論を学び、名門ハワード大学に進学して更にクラシックを学んでいます。
因みに同級生には「やさしく歌って」などで知られるロバータ・フラックがいました。
しかし、カーティス・メイフィールドの元で働くために3年で大学を辞めシカゴへと向かいます。

カーティス・メイフィールドとは、「ピープル・ゲット・レディ」などのヒットを放ったインプレッションズのメンバーで、インプレッションズ脱退後はソロとしてこれまた多くのヒット曲を放った偉大な人物です。

そのカーティス・メイフィールドの勧めで、メイフィールド・シンガーズの一員として録音に参加するようになります。また、アレンジャーとしても頭角を現してきます。

Everything Is Everything

カーティス・メイフィールドらの下でしっかりとキャリアを積んだダニー・ハサウェイは、1970年に旧友リック・パウエルとの共同プロデュースによるファースト・アルバム「新しきソウルの光と道」をリリースします。
本作からは、「ゲットー」がシングルとなり全米87位、ソウル・チャート23位というまずまずのヒットを記録しました。

しかし、このアルバムは商業的なことよりも、レイ・チャールズやアレサ・フランクリンなどといった他のミュージシャン達へ大きな衝撃を与えました。
黒人だけではなく、キャロル・キングは、友人、知人たちにこのアルバムを配って回ったという逸話が残っているほどです。
日本でも山下達郎が「無駄のない、曇りのないアルバム」と本作を評していたようですが、まさに言いえて妙です。

1970年リリース

1.エヴリシング・イズ・エヴリシング 
2.ジュ・ヴゼム
3.ただ我を信じて
4.ミスティ
5.シュガー・リー
6.トライン・タイムズ
7.サンキュー・マスター
8.ゲットー
9.トゥ・ビー・ヤング、ギフテッド・アンド・ブラック

新しきソウルの光と道

Second album

デビュー・アルバムから1年と空けずにリリースされたセカンド・アルバム「ダニー・ハサウェイ」はボーカリストに徹したアルバムと言ってよいかと思います。オリジナル曲は「テイク・ア・ラヴ・ソング」の1曲だけで、その他の収録曲は全てカヴァー曲です。
しかも、「マグニフィセント・サンクチュアリー・バンド」以外の曲はスローナンバーばかりですから、前作に比べグルーヴ感は後退しています。その意味では残念ではありますが、その分ボーカリストの魅力が全開となっています。

ダニー・ハサウェイが半数近く手掛けている管楽器、弦楽器のアレンジはこれ以降の布石になっていて興味深いです。

1970年リリース

1. ギヴィン・アップ
2. ソング・フォー・ユー
3. リトル・ガール
4. 兄弟の誓い
5. マグニフィセント・サンクチュアリー・バンド
6. シー・イズ・マイ・レディ
7. アイ・ビリーヴ・イン・ミュージック
8. テイク・ア・ラヴ・ソング
9. サインはピース

ダニー・ハサウェイ

セカンド・アルバム「ダニー・ハサウェイ」が全米チャートに顔を出した1971年6月には、キャロル・キングの「きみの友だち」をロバータ・フラックとデュエットし大ヒットしています。
そして、永遠の名盤としてロック史に刻まれる「ライブ」もハリウッドのトルバドールとニューヨークのビターエンドで、まさにこの時に録音されていたのです。

Live

レコードでいうとA面が、1971年8月28日と29日にハリウッドのトルバドールで行われたライブから選曲され、B面は10月27日から29日にニューヨークのビター・エンドで行われたライブからの選曲となっているロック史に残る大傑作ライブアルバム、タイトルはそのままズバリの「ライブ」は1972年にリリースされ、ゴールドディスクを獲得したダニー・ハサウェイにとって最大のヒット作です。

名盤とはまさにこのアルバムのためにあるような素晴らしい作品ですが、発売当時、ダニー・ハサウェイはこの出来に大満足しているわけではなかったといます。
ひとつには2枚組としてリリースしたかったということが挙げられますが、同年にはまたロバータ・フラックとのデュエット・ナンバー「ホエア・イズ・ザ・ラブ」が大ヒットしたのですが、ロバータ・フラック抜きでも成功出来るということを示したかったのかもしれません。
その為には、妥協は出来なかったのでしょう。

本作からは「リトル・ゲットー・ボーイ」がシングル・カットされています。この曲はダニー・ハサウェイが音楽を担当した1972年公開の映画「ハーレム愚連隊」のサウンドトラック・アルバムにスタジオ録音のヴァージョンが収録されています。
ライブ先行披露となったこの名曲の作者はバンド・メンバーのアール・デルーエンがエドワード・ハワードの共作です。

1971年リリース

1. 愛のゆくえ
2. ゲットー
3. ヘイ・ガール
4. きみの友だち
5. リトル・ゲットー・ボーイ
6. ウィ・アー・スティル・フレンズ
7. ジェラス・ガイ
8. エヴリシング・イズ・エヴリシング

ライヴ

【参加ミュージシャン】
・ダニー・ハサウェイ (ボーカル、エレクトリックピアノ、ピアノ、オルガン)
・フィル・アップチャーチ (リードギター)
・コーネル・デュプリー(リードギター)
・マイク・ハワード (ギター)
・ウィリー・ウィークス (ベース)
・フレッド・ホワイト(ドラムス)
・アール・デルーエン(コンガ)

Extension of a Man

フランシス・プーランクなどサティとジャン・コクトーに強く影響を受けた6人組の作曲家集団であるレ・シスの研究をダニー・ハサウェイは行っていました。そんなダニー・ハサウェイに「ダフニスとクロエ」の楽譜を手始めにオーケストレーションについて指導したのが日本でも大ヒットした「愛のコリーダ」等で有名なクインシー・ジョーンズです。1972年には、そのクインシー・ジョーンズとの合作が映画「ハーレム愚連隊」のサウンドトラック・アルバムです。ここではほぼ全曲の作曲、編曲、指揮をダニー・ハサウェイが手掛けていると言われています。

そして、同じく1972年リリースされたアルバム「ロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイ 」をはさんで、クインシー・ジョーンズからの影響、経験を活かして制作されたのが、ダニー・ハサウェイ生前最後のスタジオ・アルバム「愛と自由を求めて」です。1973年にリリースされています。

渾身の1枚と言えるでしょう。

1973年リリース

1. 神わが声をきき給う
2. いつか自由に
3. フライング・イージー
4. ヴァルデズ・イン・ザ・カントリー
5. 溢れ出る愛を
6. リトル・チルドレン
7. 愛のすべて
8. 貧民の街
9. マグダレナ
10. アイ・ノウ・イッツ・ユー

愛と自由を求めて

1974年には、制作会社を設立し、アレサ・フランクリンのバックを務めるなど裏方にまわり、徐々に音楽の表舞台から遠ざかっていきます。
スランプと言ってもいいでしょうが、ダニー・ハサウェイは精神のバランスを崩していたのです。

カムバックするのは1978年のロバータ・フラックとのデュエット曲「ザ・クローサー・アイ・ゲット・トゥ・ユー」でした。全米2位、R&Bチャートでは1位となったこの曲に続いてソロ・シングル「ユー・ワー・メント・フォー・ミー」をリリース。
この曲が生前最後の曲です。クインシー・ジョーンズの話ではダニー・ハサウェイは新しいソロ・アルバムの準備が出来ていたようですが、リリースされることはありませんでした。

ダニー・ハサウェイが助けを求めてクインシー・ジョーンズに電話をかけてきたのは、死の2か月前のことで、何もしてあげられなかったことをクインシー・ジョーンズは悔やんでいるそうです。

僅か33歳。あまりにも早すぎます。

関連する投稿


伝説のライブを劇場で!『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』の日本初上映が決定!!

伝説のライブを劇場で!『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』の日本初上映が決定!!

WOWOWの配給で、映画『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』が10月17日(金)より日本初上映されることが決定しました。


杉山清貴&オメガトライブがドラマー・廣石恵一さんの追悼ライブを日比谷野音で開催!追悼全国ツアーの開催も決定!!

杉山清貴&オメガトライブがドラマー・廣石恵一さんの追悼ライブを日比谷野音で開催!追悼全国ツアーの開催も決定!!

7月19日、杉山清貴&オメガトライブが東京・日比谷野外大音楽堂で、2025年3月に死去したドラマー・廣石恵一さんの追悼ライブ「お〜い、ヒロイシ!」を開催しました。


ケビン・コスナー主演の父と子の絆を描いた奇跡の物語!『フィールド・オブ・ドリームス』in コンサートが開催決定!!

ケビン・コスナー主演の父と子の絆を描いた奇跡の物語!『フィールド・オブ・ドリームス』in コンサートが開催決定!!

東京国際フォーラムホールA(東京・有楽町)にて、1989年公開の映画「フィールド・オブ・ドリームス」を題材としたスクリーンと音楽で体感するシネマ・オーケストラ・コンサート(シネオケ)「フィールド・オブ・ドリームス』in コンサート」の開催が決定しました。


東京パフォーマンスドールではライブメンバー(2軍)だった女優『岩名美紗子』現在は?!

東京パフォーマンスドールではライブメンバー(2軍)だった女優『岩名美紗子』現在は?!

多人数でスタイリッシュに歌って踊る女性アイドルグループ「東京パフォーマンスドール」ではライブメンバーを務め桜っ子クラブさくら組のメンバーとしても活躍した岩名美紗子さん。懐かしく思いまとめてみました。


伝説のライブ映画『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』が全世界で大ヒット!大好評につき日本国内での追加上映が決定!!

伝説のライブ映画『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』が全世界で大ヒット!大好評につき日本国内での追加上映が決定!!

4月24日に公開された、伝説のロックバンド「ピンク・フロイド」のライブ映画『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』の限定上映が全世界で大ヒットし、日本でもその熱狂を受け追加上映が決定しました。5月9日以降、全国の劇場で随時上映がスタートします。


最新の投稿


昭和100年記念!邦画5社が垣根を越え集結、新文芸坐で「いま観たい」名作10本を厳選上映

昭和100年記念!邦画5社が垣根を越え集結、新文芸坐で「いま観たい」名作10本を厳選上映

昭和100周年を記念し、東宝・松竹・KADOKAWA・東映・日活の邦画5社がタッグを組んだ特集上映が池袋・新文芸坐で開催。山田洋次監督のトークショーや最新の4Kリマスター技術を語るイベントも実施されます。銀幕のスターが蘇る名作10選とともに、日本映画の黄金期をスクリーンで体感できる貴重な機会です。


『サザエさん』生誕80周年!名作『いじわるばあさん』と共に待望の電子書籍化、昭和の記憶を次世代へ

『サザエさん』生誕80周年!名作『いじわるばあさん』と共に待望の電子書籍化、昭和の記憶を次世代へ

1946年の連載開始から80年。昭和を代表する漫画家・長谷川町子の名作『サザエさん』全68巻と『いじわるばあさん』全6巻が、ついに初の電子書籍化。戦後日本の生活や家族の姿を鮮やかに描いた不朽の名作が、スマホやタブレットでいつでも楽しめるようになります。時代を超えて愛される原作の魅力に迫ります。


エリザベス女王生誕100周年!南青山で「英国王室が愛した名車」展が4月28日開幕、ベントレーを特別展示

エリザベス女王生誕100周年!南青山で「英国王室が愛した名車」展が4月28日開幕、ベントレーを特別展示

南青山の「ヴァルカナイズ・ロンドン」にて、エリザベス2世女王生誕100周年を記念した特別イベント「英国王室が愛した名車」展が2026年4月28日より開催されます。英国王室御用達の「ベントレー」特別車両の展示や、ロイヤルファミリーと名車の絆を紐解く貴重な写真展など、英国文化の神髄を体感できる2週間です。


昭和の食卓がよみがえる!懐かしの食品が大集合した『日本懐かし食品大全』が4月21日に発売

昭和の食卓がよみがえる!懐かしの食品が大集合した『日本懐かし食品大全』が4月21日に発売

辰巳出版は、昭和の時代に日本の家庭を支え、賑わせてきた即席・レトルト、冷蔵・冷凍食品、調味料、おやつなどを網羅した新刊『日本懐かし食品大全』を2026年4月21日に発売しました。当時のパッケージと共に昭和の食卓の歴史を振り返る本書は、40代以上の世代には懐かしい記憶を呼び起こし、若い世代にはレトロな食文化として楽しめる一冊です。


昭和100年を祝う夜!グランドプリンスホテル広島でTEPPANの歌謡ライブ&打ち上げ花火が開催決定

昭和100年を祝う夜!グランドプリンスホテル広島でTEPPANの歌謡ライブ&打ち上げ花火が開催決定

2026年5月5日、グランドプリンスホテル広島にて「昭和100年」を記念したスペシャルイベントが開催される。広島発の4人組ボーカルグループ「TEPPAN」による昭和歌謡ライブに加え、夜空を彩る打ち上げ花火も予定。ライブ観覧は無料。さらにホテル上層階のレストランではCD付きの特別ディナープランも登場する。