三谷幸喜初監督の映画『ラヂオの時間』
90年代屈指の脚本家・三谷幸喜。
「振り返れば奴がいる」(1993年、フジテレビ)、「警部補・古畑任三郎 第1シリーズ」(1994年、フジテレビ)、「王様のレストラン」(1995年、フジテレビ)などを手掛け、1997年当時、ドタバタコメディを描かせたら右に出る者はいない程の実力と人気を誇っていた三谷初の映画初監督作品だった『ラヂオの時間』。
本作は1993年に上演され、三谷が脚本・演出を担当したサンシャインボーイズの演劇「ラヂオの時間」を基に映画化された。

DVD『ラヂオの時間』
本作は三谷が得意とする密室シチュエーション・コメディであった。
ラジオドラマの生放送を控えた録音スタジオが舞台で、そこに居合わせた出演者、スタッフらの”自分勝手””ご都合主義””人間関係”といった要素が絡み合い、徐々にドタバタ劇の様相を呈していく。
三谷は本作で、同じく密室シチュエーション・コメディだった1991年の映画「12人の優しい日本人」に続いて2度目のキネマ旬報脚本賞を受賞している。
また、ベルリン映画祭にも出品され、その際、三谷は「ドイツ人がこれほど笑うところを見たことがない」とコメントした。
映画「12人の優しい日本人」 もし日本に陪審員制度があったら!?と想像した三谷幸喜コメディの隠れた傑作です! - Middle Edge(ミドルエッジ)
≪あらすじ≫生放送中のラジオドラマなのに脚本が二転三転!!
ラヂオの時間 - 作品情報・映画レビュー -KINENOTE(キネノート)

タイトル・ラヂオの時間

主要キャラ
ラヂオの時間 | 映画-Movie Walker

スタジオに立てこもるみやこ

立てこもったみやこを必死に説得する牛島番組プロデューサー(前列左から2番目)
ラヂオの時間 - 作品情報・映画レビュー -KINENOTE(キネノート)

パイロット、ドナルド・マクドナルド役の浜村(細川俊之さん、右から3番目のもみくちゃにされてる男性)

時折、劇中に登場したトラック運転手(渡辺謙)
オヒョイさん演じる守衛は凄腕の元音効さん!
生前オヒョイさんと親しまれた藤村俊二さん演じるラジオ弁天の守衛。劇中、守衛室でのほほんとゲームボーイに興じる彼は、実は元々効果音を製作する生粋の音効さんだった。
劇中、マシンガンの音声が急遽必要になるが、ラジオ局の音源が借りられない状況に。マシンガンが登場する出番が押し迫る中、スタジオ内のメンバーが、都市伝説のように語られていた伝説の音効を思い出す。
その人は仕事が減り、守衛に回されたという話をすると、工藤が駐車場の守衛室へ走り、守衛にマシンガンの音を作り出してほしい旨を伝える。しかし、一度は音効ではないととぼける守衛。

守衛(藤村俊二さん)
工藤の熱意が通じたのか、マシンガンの音はピスタチオを缶の中に少しずつ落とすことで作れるとアドバイス。
その後も、ダムの決壊時の音(トイレの流す音)や夜空に舞い上がる花火(50円玉の穴に息を吹き込むなど)をアドバイスし、なんだかんだ手伝わされる守衛だった。職人気質で、効果音は自分の頭で考え、手作りが信条の彼だが、無事に生放送が終わった頃には、すっかりドタバタ劇の一員に。
最後、工藤に次に効果音が必要な際は準備があるから事前に教えて欲しいと伝えるなど、まんざらでもない様子だった。

花火の音が必要になった際は、50円玉を使って花火が上がっていく様をスタジオで実演!
他の三谷幸喜作品との関係

映画「みんなのいえ」

映画「12人の優しい日本人」

陪審員2号役は相島一之だった。
映画「12人の優しい日本人」 もし日本に陪審員制度があったら!?と想像した三谷幸喜コメディの隠れた傑作です! - Middle Edge(ミドルエッジ)
作品データ
監督 三谷幸喜
脚本 三谷幸喜
俳優 唐沢寿明、鈴木京香、西村雅彦、戸田恵子、藤村俊二等
公開 1997年
時間 103分

登場人物それぞれの思惑、やる気の有無が素直に表されると、ドタバタ劇の幕開けとなる!

皆、自分のことしか考えていなかった!

一番の被害者は、主婦の脚本家・鈴木みやこさんで間違いない!
三谷幸喜は、ごくありふれたシチュエーションでも、そこに人間が居れば、面白おかしく映像化できる。即興の舞台劇のようにみせて、綿密な計算が見え隠れする脚本。これは彼の多くの作品に通ずるが、本作ではそこに”生放送”と言う状況が加わり、スピード感が増した。
人間、困ってもなんとかなるよなぁという誰もが持つ経験則を、103分の映像に詰め込んだような映画だった。