マジックテープは生物特性がヒントになった便利グッズの大々代表!!!
マジックテープとは、平面的に着脱を可能にするファスナーであり、布に特殊な加工をし、主に衣類用に、再び脱着可能な状態で結合したい場合に用いられています。。マジックテープはこの商品の俗称であり、正式には面ファスナー(めんファスナー)と言います。商標に由来する俗称として他にベルクロ (Velcro) があります。
一般的にマジックテープは、フック状に起毛された側とループ状に密集して起毛された側とを押し付けることで貼り付くようになっており、貼り付けたり剥がしたりすることが自在にできるようになります。。それ以外にも、フックとループ両方が植え込まれており、フック面とループ面との区別のないタイプ(フック面とループ面との取り付け間違いが起きない)やマッシュルーム状に起毛されていて結合力が強いクリックタイプ、鋸歯状のシャークバイト(鮫歯)タイプなどのバリエーションがあります。
スイスのジョルジュ・デ・メストラルが野生ゴボウの実をヒントに発案!!!
マジックテープは、スイスのジョルジュ・デ・メストラル (George de Mestral) が1941年にアルプスを登山したとき、自分の服や愛犬に貼り付いた野生ゴボウの実にヒントを得て、1948年に研究を開始しました。
彼はさっそく、繊維業者にこのアイデアをもちかけましたが、最初はどこも取り合ってはくれませんでした。
しかし、フランス・リヨンの繊維工場が小さな鉤がたくさんついた布と、小さな輪がたくさん付いた布の両方を手作業で作ってくれたのです!
その二枚の布をさっそくくっつけてみると、鉤が輪に引っかかってピッタリと貼りつき、手で引き剥がすまで離れませんでした。
その後に作られた試作品は、木綿の布を上部なナイロンにするなどして、商品化にするまでは、試行錯誤の連続でした。
1948年にメストラルが発案してから発売するまでには、実に10年近い歳月を要しています。
マジックテープはメストラルと繊維業者の努力の結晶というわけです!
1951年にスイスで特許出願、1955年に認定されました。
日本では日本ベルクロ(現在のクラレファスニング)とYKKをはじめとした会社で製造しています。
野生ゴボウの実
オナモミ
鋼鉄製の糸の4倍の強度とナイロンより高い伸縮性を併せ持つ繊維とは???
鋼鉄製の糸の4倍の強度とナイロンより高い伸縮性を併せ持つ繊維が何かお分かりでしょうか?それは何と”クモの糸”からできた繊維なのです。クモの糸を人工的につくろうとする研究は昔から行われてきたらしいですが、2009年、慶応大学の先端生命科学研究所の大学院の学生さんの関山和秀さんと菅原潤一さんが人工のクモの糸をつくり出すことに成功したそうです。バイオ科学が発達し、クモではない他の生物に、クモの糸と同じタンパク質を作らせ、それを繊維にすることで人工のクモの糸を作ったそうです。強度の強さから車や飛行機のボディーに利用されているクモの糸は、上記のように強いだけじゃなくて、よくのびちぢみするし、熱にも水にも強いので、人工のクモの糸を大量に作るようになれば、やぶれない靴下や丈夫な釣り糸なども作れるようになるかもしれません。
生き物から作られた糸だから、手術などで傷をぬい合わせるときの糸やアキレス腱などもつくることもできるようになるといわれています。
”クモの糸”というと、私は芥川龍之介の短編小説で『蜘蛛の糸』を思い浮かべるんですが、近い将来水難事故などでクモの糸から作ったロープが活躍するのではないかと期待しています。
蜘蛛の糸の分子構造イメージ
「クモの糸」の人工合成
芥川龍之介の短編小説『蜘蛛の糸』単行本の表紙画
ねこの舌から何が生まれたのか???
ネコのあくび
この頃、TVを見ているとネコを特集する番組が結構多いのに驚かされます。見ているだけで癒されますが、ちゃんとまじめにネコを研究し、便利商品を開発した研究者もいるんですね。
ネコ科の動物の舌はいくつもの役割を持っていて、イヌ科の動物に比べて、アゴが弱く、骨から肉をこそげ落とすヤスリの働きや、獲物に自らの体臭を察知されないようにグルーミング(毛づくろい)を行なうクシとしての役割があるそうです。そう言えば、ネコって休んでいたり、リラックスしている時に必ずと言って良いほど自身の体を舐めていますよね。それから、ちょっと汚い話しになりますが、ネコの糞は70~80%が自分の体毛だそうです。結果、舐めとった毛は胃で毛玉として蓄積され、定期的に吐出されるのです。
そのようなネコの舌の特性を利用しない手はないと、サイクロン掃除機の吸引部に、吸引したゴミを圧縮するスクリューフィンの最下層部に、ネコ科の動物の舌の構造を模倣したトゲ状突起を多数設けたことで、ゴミと空気の分離性能が高まり、繊維系のゴミでの圧縮性能を向上。これがひっかかりとなり、圧縮したゴミが再膨張しない形で蓄積できるようになったという。ゴミは10分の1程度にまで圧縮が可能となり、ゴミの処理は2週間に1回程度で済むようになったという。
ネコの舌ってかなりざらざらですね。
サイクロン掃除機のゴミ圧縮ブレード
重力に逆らって天井や壁をを走り回るヤモリ
ヤモリ図鑑の表紙
ヤモリはツルツルの壁をスルスルとよじ登ったり、天井をさかさまに歩くことができます。早く走り回ったり、はたまた、びたっと足をくっつけて静止していたり、まるで忍者のごとしです。ヤモリの足は一体どうなっているのでしょうか?
ヤモリの指先は一つの吸盤のように見えますが実は吸盤ではなく、目に見えない細かい毛がびっしりと生えていて、毛の先端にはさらに0.2から0.5ミクロン(※)の小さな突起がついており、この突起一つ一つが壁面と「ファンデルワールス力」という、いかにも難しそうな物理現象により、壁面分子とヤモリの足の先端分子が引き付きあう特別な力でくっついているので、どんな面にも自在に貼りつくことができるのだそうです。
現在、磁石や接着剤を利用すれば人も壁を登ることはできますが、その強力すぎる接着力ゆえに、壁から引きはがす時に強い力が必要なため、ヤモリのように素早く移動することはできません。また、登る事のできる壁の材質も限定されてしまいまいます。
カーボンナノチューブを使った新しい材料を応用することができれば、壁の材質を問わず、映画のスパイダーマンさながらに素早く移動できるようになるかもしれません。将来、建設現場で働く人や、災害救助隊には「スパイダーマン・グローブ」が必須の道具となっているかもしれません。
また、毛の生え方に工夫があり、少ない力ではがせるよう独特の配置が取られているため、ヤモリの足の裏は接着剤のようにべたべたしていません。
実際テープの表面をヤモリの足裏と同じ構造にすることにより、強く粘着するのに対して簡単にはがせる粘着テープができています。
このように、ヤモリは強力な接着力と、簡単にはがせる仕組みを両立させた足を備える凄い生き物なのです。
ヤモリの足の裏
痛くない注射がある!!!!
私が小さい頃は、体が弱かったため、よく母からあなたは小学校より病院に通う日数のが多いんじゃない?と言われていました。また、自分自身でも「病気になったら学校を休むことができるけど、痛い注射はイヤ! 痛くない注射針があったらいいのになぁ・・・」と思っていましたが、どうやらそんな注射針が開発されたようだ。痛くない注射、注目されたのは「蚊」。その吸血メカニズムをヒントに無痛針の研究がなされている。蚊はどのように血を吸っているのか?、またどんな注射針を生み出そうとしているのだろうか?。
蚊の一種である、一筋縞蚊
蚊の針部分の構造図
蚊は、血を吸う時、同時に6つの針を人間の皮膚に挿入しています。この6つの針を刺した時に、人間に気づかれて殺されないようにするための行為が、痒みと関係します。
人間の皮膚に止まった蚊は、「下唇」(かしん)と呼ばれるケースの中から6本の針を取り出し、それらを人間の皮膚に挿入します。
皮膚を引き裂かれたときの痛みで人間に気づかれ、殺されないようにするための麻酔成分や、血を吸う時間を短くするためや、血が固まらないようにするための成分を含んだ唾液を注入します。
そして、皮膚の感覚を麻痺させた状態で、一番太い針である血を吸うための「上唇」(じょうしん)と呼ばれる針と、その開口部の蓋をしている「大あご」(おおあご)と呼ばれる2本の針を皮膚に挿入し、毛細血管を探り出し、一気に血を吸い上げます。
このような蚊の吸血行動を綿密に観察しその特性を利用することで「痛くない注射針」の開発は、世界中のメーカーがしのぎを削っています。大手医療機器メーカーは直径が0.18ミリで薬剤の注入できる注射針を開発、ヨーロッパへの輸出も始めています。
普通の注射針と痛みを軽減する注射針