ジオン公国軍
QCX-76A ヨルムンガンド(大型ビーム砲)
核融合プラズマビームによる敵射程圏外から超長距離射撃で一撃で敵艦隊を殲滅させる事が
目的の試作兵器でした。ただ一発でザク3機は製造できるといわれるぐらいのハイコストや
前線からの観測射撃データがないと正確な射撃が出来ないことなどから1機のみの生産に
とどまってしまったようです。
ルウム戦役の艦隊決戦において第603技術試験隊で実戦投入され、計3発を発射、1-2発目は
アレクサンドロ・ヘンメ砲術長の目視のみに頼った射撃だったため目標を外してしまったが
近づいてきた手負いのマゼラン級を岸刺しにするように貫通、撃破した3発目こそがこの
兵器の実力であったと思います。しかし軍司令部の思惑は実際に頼りにしていたのはザクであり
実際、射撃観測を試みようと前線に向かう途中のオリヴァー・マイ技術中尉のランチを
シャア・アズナブルが止めているシーンに全てが物語られています。
「大砲屋」の最後の意地を見せようと命を懸け戦死したアレクサンドロ・ヘンメ大尉の無念は
どう受け止めればいいのでしょうか?
YMT-05 ヒルドルブ(モビルタンク)
フェデリコ・ツァリアーノという片目に黒い眼帯をし、どくろマークのペイントを入れた
ヘルメットを着用、傷あとのあるホントに人相の悪い男が隊長を務めるゲリラ戦に特化した
鹵獲ザクを使った隊との戦闘シーンを描いた話です。
ただこの男口の利き方も荒っぽいしチンピラの親玉みたいに見えますが、
戦闘となると正確な状況判断、効果的な戦術、確かな技術を
合わせ持ったベテラン指揮官だということがわかってきます。
この敵と遭遇戦となった試作兵器ヒルドルブを操るのはこれまたジオン軍側では戦車隊の
教官を務めていたほどのベテラン、デメジエール・ソンネン。この車両と操縦術でこれを
ただ一人で殲滅するもフェデリコ・ツァリアーノと相打ちの形で戦死、車両は放棄されて
しまったようです。こうしてベテランパイロットたちを失っていくんですね。そもそも
試作兵器とは名ばかりの何かあれば現地改修するのが前提の使い捨てとして評価試験を
受けていて、兵器どころか兵士まで使い捨てられていたのではないでしょうか?
EMS-10 ヅダ
ザクⅠとの制式採用競合に負けたことでEMS-4ヅダの開発に心血を注いできた
ツィマッド社のテストパイロットも務めたジャン・リュック・デュバルの
ジオニック社憎しの恨みが強烈にこの人間の性格を歪めている表現が印象的な
話しです。
確かにこの機体を扱うには機体限界を熟知していないと暴走、制御不能に
陥り、最後は爆発してしまう欠点を制御する必要があり、パイロットを選ぶ機体だったのは
確かだったようです。その上、ザクの1.8倍のコストがかかることも国力のまだ小さな
ジオン公国にとっては負担が大きく、政治的判断も働いていたのかもしれません。
しかし戦局の憂色が濃くなってきた時期にプロパガンダとしてEMS-10という新しい形式番号を
与えられ、内容的にはEMS-4から何も変わっていないこの機体を量産するという発表が
成されることになりました。デュバル少佐はこの事情を知っていたにもかかわらず評価試験を
第603技術試験隊において実施することになりました。機体形状とほんの少しの改造を
施しただけのこの機体はやはり暴走、爆発事故を起こしてしまいますが、第603技術試験隊の
警護を名目に3機+予備機1機、計4機をヨーツンヘイムに搭載されることとなり、後々まで
活躍することになりましたね。
MSM-07D ゼーゴック
水陸両用機ズゴックを改造した機体だけに出力、推力とも他のMSとは比べ物にならない
高性能を有していた上、ダイブマニューバー・ユニットの熱核エンジンを別に搭載した、
ハイブリッド型のエンジンでした。それ以外にも武装として種類はすくなかったですが
強力なメガ粒子砲を一門と大量兵器輸送用コンテナ(LWC = Logistics Weapon Container)
を搭載できることから各種兵器が機動管制ユニットから使用でき、時期がもう少し早い段階
での登場ならば、連邦軍側は「星1号作戦」の立案を変更せざるを得なかったかもしれません。
しかし、オデッサを失い、ジャブロー奇襲作戦の失敗により地上拠点のほとんどを失った
ジオン軍は既に主戦場が宇宙空間に移行していることなどから水陸両用機の価値が無くなった
ため、機体とLWCは任務終了後放棄し、パイロットのみ回収するといういわば使い捨ての
モビルダイバーシステムとして運用することになっていました。
特筆すべきは、この機体のテストを担当していたヴェルナー・ホルバインという
パイロットです。精神分裂症のような言動や、他人に自分を理解させることも、理解する
ということもハナからしようとしない完全な一匹狼のような人物として描かれています。
しかしパイロット能力は抜群で、危険回避の感や処置など戦果を挙げられずにいても
優秀な人材であることをエンジニアリングオフィサーとして同乗したヒデト・ワシヤが
証言しています。最後は大気圏脱出中の艦艇、(空母、戦艦を含む)5隻を一撃で撃沈し
大戦果を挙げますが、ジャブローからの迎撃機に回収用ガウを撃墜され、自身の機体も
損傷を受け海上に激突してしまします。
MS-14B 高機動型ゲルググ(ヘルベルト・フォン・カスペン専用機)
機体自体は個々の特性に合わせたファインチューニングされているようですが、
特に特筆すべきものはなかったようです。
しかしこの機体を第603技術試験隊ヨーツンヘイムに持ち込んだ人物が大問題でした。
ヘルベルト・フォン・カスペン大佐、ヨーツンヘイム内において最高階級者であり、
カスペン戦闘大隊として第603技術試験隊を編入、ア・バオア・クーの決戦に実戦部隊として
投入することが目的でした。特別仕様の黒い軍服を着用し、勲章を5つも付けていることから
優秀な歴戦の指揮官なのは間違いないのでしょうが、どうも左手が義手のようで興奮すると
これを握りしめるところなど、異様な雰囲気を持っています。会話に余分なことを省く
処から、誤解されやすい性格のようで特にモニク・キャディラック特務中尉などはかなり
嫌っているところを露骨に見せていました。
「戦い!戦い!戦いこそがジオンそのものなのである!」このセリフが示す通り超タカ派的
考えの持ち主で603技術試験隊内では浮いた存在となっています。
MP-02A オッゴ
カスペン大佐の待っていた戦闘大隊要員、軍上層部が約束していた精鋭たち。これが実際に
配属されてきたのは、実戦経験もない少年兵たちだった。期待していた機体も最終決戦に
なるかもしれないア・バオア・クーの防衛に間に合わせるための急造機体「オッゴ」だったのです。
敵MSと比べるのでは無く、ボールとの比較で優っているという程度の小型機体でした。
カスペン大佐は自身の栄光を侮辱されたと怒髪天を衝く程の怒りを見せますが、
偶然にもこの大隊に配属されたモニク・キャディラックの実弟エルヴィン・キャデラックの
毅然とした態度には感心した模様で、以降少年兵たちにある程度の期待を寄せることとなります
最後に敗戦が決定的になり、味方の脱出路を確保するために奮戦するビグ・ラングとオッゴを
救出するために自ら出撃、武器もシールドさえも失いながらもオッゴの少年兵を守ろうと
盾になり撃墜されてしまいます。この人物も戦争による精神異常をきたしていたような描き方を
されてはいましたが、やはり「男」を感じさせる軍人でしたね。