10年ぶりにコンビ結成!監督ブライアン・デ・パルマと主演アル・パチーノによる映画『カリートの道』
1993年に公開されたアメリカ映画『カリートの道』(原題:Carlito's Way)。
監督は『アンタッチャブル』や『スカーフェイス』のブライアン・デ・パルマ。主演は『ゴッドファーザー』シリーズ、『狼たちの午後』、『セルピコ』のアル・パチーノ。
本作で『スカーフェイス』以来、10年ぶりにブライアン・デ・パルマとアル・パチーノがコンビが組んでいる。
共演は『カジュアリティーズ』のショーン・ペンほか。
主題歌は全米1位のヒット「Up Where We Belong」で知られるジョー・コッカーの「You Are So Beautiful」だった。

DVD『カリートの道』
ニューヨーク州最高裁判所の元判事エドウィン・トレスの同名小説、およびその続編『それから』を原作としている。
原題:Carlito's Wayはフランク・シナトラの「マイ・ウェイ」にちなんでつけられたが、劇中に「マイ・ウェイ」は一回も使われていない。
『それから』をベースにしているのに映画のタイトルが『カリートの道』なのは、『それから』と原題が同じマーティン・スコセッシ監督の『アフター・アワーズ』(After Hours)との混乱を避けるためである。
生い立ちから30代までのカリートを描いた『カリートの道』と40代のカリートを描いた『それから』が原作としてクレジットされているが、映画で描かれているのは主に『それから』の部分である。
コカインで成り上がり、自滅していくアル・パチーノが哀れ・・・映画『スカーフェイス』 - Middle Edge(ミドルエッジ)
あらすじ

親友同士でもある弁護士クレインフェルド(ショーン・ペン、左)とカリート(アル・パチーノ、右)。

カリートは裏稼業の”大物”だった為、周囲には知られる存在だが、本人はそれを疎ましく感じている。

かつての”麻薬王”カリートに取り入ろうと近づいてくるベニー・ブランコ(ジョン・レグイザモ、左)。しかし、カリートは小物扱いし、相手にしない。

カリートに足蹴にされ、激高したベニー・ブランコを痛めつける用心棒のパチャンガ(ルイス・ガスマン、中)。

こちらはミュージカルの舞台に立つことを夢見る恋人ゲイル(ペネロープ・アン・ミラー、右)。
カリートの道 - 作品情報・映画レビュー -KINENOTE(キネノート)

海を泳いで脱獄するトニーを、船を使ってすくい上げる脱獄計画を伝えるクレインフェルド。

酔ったクレインフェルドが、皆の前で脱獄の計画を断片的に話してしまい、後にゲイルがカリートに計画とは何か問い詰める。

司法取引に応じず、事件のことをとぼけるカリート。同時に一刻も早い国外への逃亡を決意する。

電車に飛び乗り、ヴィニー 一味から逃げようとするが、運悪く彼らは電車に乗り込み、カリートを追い詰めていく。
エスカレーターを舞台に壮絶な銃撃戦を繰り広げ、なんとか彼らを片づけたカリートはゲイルの元へと急ぐ。ホームまで行き、列車に乗ろうとした時、そこに以前罵り、痛めつけたベニー・ブランコが現れ、カリートは冷笑を浮かべたブランコに撃たれてしまう。何発も腹部に銃弾を撃ち込まれ、倒れ込むカリート。
ブランコがホームにいたのは、用心棒パチャンガがカリートの行動情報を漏らしていたのだ。しかし、直後そのバチャンガもブランコに必要ないと撃たれる。
意識が段々と遠のくカリートに泣きつくゲイル。朦朧とした中、カリートはゲイルに金を託し、「お腹の子供と2人で街を出ろ」と言い残す。その後、今までの出来事が走馬灯のように駆け巡る中でカリートは静かに息を引き取る。
そんな彼が最期に見たものは、かつて夢見たパラダイスを写し出した看板だった。

寝っころがった体勢で身を隠し、一味とエスカレーターですれ違うが、見つかり、そのままの体勢で撃ち合う!

あれほど出たがっていた街から出られず、カリートは息絶えた・・・。

夢にまで見た”パラダイス”。決して叶わぬ夢であった。看板が虚しく映し出された。
デ・パルマ流の撮影方法

銃撃戦はお手の物だったアル・パチーノ
作品データ
監督 ブライアン・デ・パルマ
脚本 デヴィッド・コープ
出演 アル・パチーノ、ショーン・ペン、ペネロープ・アン・ミラー等
公開 1994年 ※アメリカは1993年公開
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
時間 144分

ブライアン・デ・パルマ監督(左)とアル・パチーノ (右)
2005年にカリート・ブリガンテの若き日の姿を描いたクライムアクション『カリートの道 暗黒街の抗争』が公開されている。
デ・パルマとアル・パチーノのコンビではないが、こちらも良作と言われている。
アル・パチーノは年齢を重ねて渋みが増していく。本作のアメリカ公開の前年1992年には悲願のアカデミー主演男優賞を『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』の演技で獲得している。
90年代前半は脂の乗り切った頃で、本作でも焦燥感と希望がまみれた”元麻薬王”の悲哀を圧巻の演技を見せてくれた。