あぁ、懐かしのダイヤル式電話
今となってはその不便さが愛おしいダイヤル電話。
ポケベル・携帯電話・メールが無い時代、好きな娘に連絡する時には相手の自宅に電話するしかなかった。
相手のお父さんが電話に出ると緊張して声が震えたなんて記憶を持つ方も多いのでは?
そんな時代を思い出す『ダイヤル電話』が歌詞に登場する歌謡曲&J-POPを年代順にご紹介。

懐かしのダイヤル式電話
『明日があるさ』坂本九(1969年)
「明日がある 明日がある 明日があるさ」のフレーズでお馴染み超有名曲『明日があるさ』。
坂本九自身が主演した日本テレビのバラエティ番組『明日があるさ』と『夢をそだてよう』の主題歌。
作曲・編曲は中村八大。作詞は後に東京都知事になった青島幸男。
吉本興業所属のお笑いタレント11名で結成された音楽ユニットRe:Japanやウルフルズによるカバーも記憶に新しい。
2000年8月に日本コカ・コーラが販売する缶コーヒー「GEORGIA」のCMソングとして起用され、空前のリバイバル・ヒットとなった。
当時の不況下にあった日本を明るく元気にしていこうという風潮や吉本興業所属の人気お笑い芸人のキャスティングとが大きく作用し、たちまち話題のCMになり、「明日があるさ」という言葉が新語・流行語大賞のトップテンに入賞し社会現象になった。
CMと同一のキャスティングおよびテーマ設定により、同名のテレビドラマも制作・放映された。
CMでカバーバージョンを歌ったウルフルズと、CMに出演していた吉本興業所属の芸人によるユニットのRe:Japanとの共演により、NHK紅白歌合戦へ出演も果たしている。
CD売上はウルフルズとRe:Japanのものを合わせて約100万枚。
『恋のダイヤル6700』フィンガー5(1973年)
沖縄県出身の5人兄弟(男4女1)フィンガー5のヒット曲『恋のダイヤル6700』。
当時の恋愛における電話の重要性が伝わってくる。
『ダイヤル177』野口五郎(1981年)
西城秀樹・郷ひろみと共に『新御三家』と呼ばれた野口五郎の曲『ダイヤル177』。
野口の代表曲「青いリンゴ」や「私鉄沿線」と比べて知名度は低いが、男の強がりをユニークに表現した歌詞が見事で、隠れた名曲ではないかと思っている。
『涙のリクエスト』チェッカーズ(1984年)
デビュー曲の「ギザギザハートの子守唄」に続いて出した2枚目のシングル。
実際はデビュー曲の「ギザギザハートの子守唄」より前にレコーディングされてたという。

公衆電話(赤電話)
『恋におちて-Fall in Love-』小林明子(1985年)
主婦層に熱狂的な支持を得て大ヒットしたTBS系テレビドラマ『金曜日の妻たちへIII・恋におちて』主題歌。
ドラマ放映より1年も前に当時音楽制作会社に勤務していた小林明子がある歌手のために作曲したが、その歌手が引退してしまった。
しばらくして偶然にドラマ関係者の耳に入り、湯川れい子が詞をつけ、歌手を誰にしようかと検討したところ、「(小林が歌った)デモテープの声がいい」と作曲者自身が歌うことになった。
『レイニー ブルー』徳永英明(1986年)
徳永英明のデビュー・シングル。
25歳までにデビューできなかったら歌手を断念するという父親との約束ギリギリの24歳10カ月でのデビューであった。
『SA・YO・NA・RA…』TUBE (1987年)
ダイヤル回す緊張感とは無縁そうなTUBE。
夏の熱い恋愛を歌うTUBEとはまた違った魅力を感じさせてくるのがこの『SA・YO・NA・RA…』。
大ヒットアルバム『Summer Dream』の収録曲であるが、シングルカットされていないので知らない人も多いかもしれない。
『TELEPHONE LINE』TM NETWORK(1987年)
TM NETWORKの隠れた名曲、『TELEPHONE LINE』。
木根尚登が作曲した美しく切ないメロディと、ウツの綺麗なファルセットが心地よく堪能できる。
好みが分かれるかもしれないが、個人的にはTMのバラードTOP3に入る作品だと思っている。
『別離のハイウェイ』男闘呼組 (1988年)
ジャニーズ異色のロックバンド、男闘呼組の『別離のハイウェイ』。
『DAYBREAK』、『秋』、『TIME ZONE』などシングルカットした曲ほどの知名度はないが、この曲が一番好きだと言うファンも多い。
『翼を広げて』DEEN(1993年)
デビューシングル「このまま君だけを奪い去りたい」でいきなりミリオンヒットを記録したDEENが2枚目のシングルとして発表した曲『翼を広げて』。
作詞:坂井泉水、作曲:織田哲郎、編曲:葉山たけし
というビーイング最高のチームによる提供であることから、DEENへの力の入れ具合が伺える。
年齢性別問わず幅広い層に長く愛され続けており、今でもカラオケで歌われることが多い。
作詞者の坂井泉水が生前セルフカバーした『翼を広げて』が死去翌年の2008年にリリースされている。
10年以上前にレコーディングはされていたものの、アルバムコンセプトとの相違や収録曲とのバランスの関係で、音盤化が見送られていた。
DEEN版とは違いコーラスは一切使われていない。
『Shapes Of Love』Every Little Thing(1997年)
Every Little Thing(通称:ELT)の『Shapes Of Love(シェイプス・オブ・ラブ)』。
「伝えたい伝えられない」の歌詞で始まる、乙女の健気な片想いを表現した楽曲。
ELTは、この曲で1997年のNHK紅白歌合戦に初出場した。
『ミュージック・アワー』ポルノグラフィティ(2000年)
ポルノグラフィティにとって3枚目となる『ミュージック・アワー』は、「ポカリスエット」CMソングに起用され大ヒット。
ラジオDJ(パーソナリティ)から、恋に悩むリスナーの女の子へのメッセージというユニークな特徴を持つこの歌は、ポルノグラフィティ自身のラジオ番組『限界ポルノラジオ』(bay-fm)で実際にあった話にヒントを得て作成されたという。
【番外篇】『ランニング・ショット』柴田恭平(1986年)
ドラマ『あぶない刑事』の挿入歌として有名な柴田恭平の『ランニング・ショット』。
軽快なリズムが 柴田の演じる「ユージ」の雰囲気と完全一致。
舘ひろしの歌う『冷たい太陽』と共に『あぶない刑事』には決して欠かせない曲である。
歌詞に「ダイヤル」なんて含まれていたかな?と首をかしげる方も多いと思う。
その感覚は正しい。
ダイヤル式電話だからこそ生まれた多くの名曲と思い出。
ポケベルも携帯電話も無い時代、固定電話や公衆電話は表現できないぐらい重要な連絡手段であった。
今の時代に青春を過ごしていれば、もっと便利で気楽なコミュニケーションが実現できていたと思う。
しかし、これらの曲を聴くたびに、ズシンとくる受話器の重さ、指に残るダイヤルの感触が、ドキドキ・ワクワクした思い出と共に甦り、「やっぱり、あの時代に生まれて良かったな…」と実感するのであった。
数々の名曲と、多くの思い出を残してくれたダイヤル式電話よ。
ありがとう。