スパイ大作戦とはどんなドラマ?

「おはようフェルプス君~例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこのテープは自動的に消滅する。成功を祈る。」
冒頭のこのキメゼリフでおなじみのドラマ、スパイ大作戦は1966年から1973年にかけてアメリカで放送された、一話完結型のスパイアクションドラマです。
シーズン7まで制作され、放送回数は全171話。
1967年と68年にエミー賞の最優秀ドラマ作品賞、68年にゴールデングローブ賞の最優秀
ドラマ作品賞を受賞。
5拍子の印象的なテーマソングは1968年のグラミー賞を受賞しています。

IMF(Impossible Missions Force)という、アメリカ政府が直接手を下せない極秘任務を遂行するスパイ組織の活躍を描いています。
シリーズ開始当初は、冷戦時代の影響もあってか、反共産主義、反ナチズムの色が濃いエピソードが多かったのですが、次第に反マフィア的な内容が多くなり、スパイものというより、事件ものの要素が大きくなっていきました。
別人になれちゃう変装道具や、大掛かりであり得ない機械装置など、インパクトは大きいですが、荒唐無稽で子供騙しという意見もありました。しかし作戦の内容はとても複雑で本格的。
敵に偽の情報を渡しながら、いかにも本物らしく見せかけたり、時間のトリックを使って現在がさも未来であるかのように思わせたり、1度見ただけではなかなか理解できないような、作りこんだエピソードも多いです。

日本では1967年からフジテレビ系列で放送され、最高視聴率25%を記録する、海外ドラマとしては異例の大ヒットとなりました。
主なメンバー
ジム・フェルプス(ピーター・グレイヴス)

シーズン2~7
2代目のリーダーにして当ドラマの顔。
綿密な作戦を立て、計画の中心的役割を積極的に果たし、トラブルの際も冷静で的確な判断を下し、責任感が強くメンバーからの信頼も厚く、敵方スパイからも一目置かれるという、非の打ちどころのない主人公。
グレイヴスはスパイ大作戦の演技で1971年のゴールデングローブ賞を受賞しています。
ローラン・ハンド(マーティン・ランドー)

シーズン1~3
手品と声帯模写と変装の名人。不思議な手製のマスクを使って全くの別人になるという、スパイ大作戦名物の荒唐無稽な技を得意としてますが、ランドーの演技力は素晴らしく、度々迫真の名シーンを作り出しています。
当ドラマに出演していた3年間連続でエミー賞の助演男優賞を受賞。後に1995年にはオスカーも受賞しています。
シナモン・カーター(バーバラ・ベイン)

シーズン1~3
元モデル役で美貌と度胸を武器にすることが多い。女学生から老婆まで幅広い役どころをこなします。ちなみに私生活ではローラン役のランドーと夫婦でした。
3年連続でエミー賞の主演女優賞を受賞しています。
バーニー・コリア(グレッグ・モリス)

シーズン1~7
電気技師。コンピューターの天才で、次から次へと不可能を可能にする特殊な装置を作り出します。シリーズ開始当初は完全に裏方で、地味に下準備をする役割が多かったのですが、シリーズが進むにつれ作戦の表舞台での活躍が多くなり、シーズン6以降はチームのナンバー2として活動するようになります。
ウィリー・アーミテージ(ピーター・ルーパス)

シーズン1~7
元重量挙げ世界チャンピオン。顔色ひとつ変えることなく、人間の入ったトランクを運べるという怪力の持ち主。あまり台詞は多くなく、たまにしゃべるとスパイらしくない素朴な内容で、これが却って視聴者の共感をよんだらしく、一時降板した際にはテレビ局に復帰を願う声が多く届き、製作者サイドを驚かしたそう。バーニーと共に裏方の仕事を多く担当。
ダン・ブリッグス(スティーヴン・ヒル)

シーズン1
初代チームリーダー。綿密な計画を立てるが、計画に参加する場合も、参加しない場合もありました。宗教上の理由で撮影日に参加できず、1シーズンのみで降板。
アメージング・パリス(レナード・ニモイ)

シーズン4~5
手品と変装といかさまギャンブルの名人。ローランの後継的役割。ニモイ自身はもっと独自のカラーを出せるよう要求しましたが、制作陣とうまく折り合えずに降板。
ニモイはスタートレックのミスター・スポックで有名ですね。
ダナ・ランバート(レスリー・アン・ウォーレン)

シーズン5
シーズン4にはいなかった紅一点のメンバーとしてシーズン5に登場。美貌を武器に敵の要人に罠をしかける役どころが多く、学生に扮しても全く違和感のない様子でした。
リサ・ケイシー(リンダ・ディ・ジョージ)

シーズン6~7
シーズン6からの紅一点のメンバーですが、以前の女性メンバー達と違い、変装の名人として、ローランやパリスの後継としての役割もありました。途中リンダ自身の出産で出演しない回もありましたが産後に復活。最後までメンバーとして参加しました。
映画「ミッション・インポッシブル」との関係
日本ではドラマは「スパイ大作戦」、映画は「ミッション・インポッシブル」と異なるタイトルですが、原題は共に「Mission Impossible」と同じタイトルです。
しかし映画版ではスパイ大作戦のヒーロー、ジムを悪役に仕立てているので、ドラマ版の出演者が揃って不快感をあらわにしています。

テレビ史に残る名作ドラマ

放送開始から50年も経った現在でも、BSやCSなどで繰り返し再放送され、多くの人に愛され続けている名作ドラマ。昔見てた人も、まだ見た事ない人も、ぜひご覧になってみてください。独特の世界観にハマッて、気がついたらテーマソングを口ずさんでた、なんてことになりそうですよ。