マイクロキャビンといえば、1980年代後半~1990年代前半にかけて「Xak」シリーズや「幻影都市」などRPGを創り出していたゲームメーカー。FM音源全盛期のPCゲームにおいて、とくにMSX向けに秀麗なBGMを産み続けたゲームメーカーとして名高いです。
当時、PCゲームのBGMでは日本ファルコムの古代祐三氏が非常に高名でしたが、MSXユーザーにとってみればMSX用のFM音源で聴く機会が得られなかった古代サウンドよりも、MSX用にSCC音源を開発したコナミや、MSXのFM音源能力を限界まで引き出してくれたマイクロキャビンのBGMのほうが耳に残っているのではないでしょうか。
コナミがMSX向けに開発したSCC音源はFM音源にも負けない!PSG音源に甘んじていたMSXユーザーに希望を与えてくれました。 - Middle Edge(ミドルエッジ)
マイクロキャビン

三重県四日市市にある株式会社マイクロキャビンの本社
マイクロキャビン社に関するWikipediaをみると、在籍していた主なクリエイターの作曲家欄には
笹井りゅうじ - 『サーク』『サークII』作曲担当
新田忠弘 - 『サーク』『サークII』『フレイ』『鋼鉄の咆哮』(2、3)作曲担当
瓜田幸治 - 『幻影都市』『サークIII』等の作曲担当 『鋼鉄の咆哮』効果音担当
福田康文 - 『幻影都市』『エルムナイト』『鋼鉄の咆哮』(1)等の作曲担当
といった方々の名が並んでいます。
筆者は当時MSXユーザーで、毎月欠かさずにMSXマガジンとMSXfunを購読しておりましたが、「Xak」リリース時に新田忠弘さんがMSXマガジン(?)の誌面にインタビューで登場したことを憶えています。
「なぜMSXであれだけの音色が出せるのか?」それがインタビューのテーマだったかと記憶しています。
MSXユーザーが耳を疑った秀麗なBGM「Xak」(1989)
「Xak」ミュージック・コンポーズ:新田忠弘、笹井りゅうじ

Xak
「Xak」については下記の記事に詳しくありますが、このゲームが出たときに従来のマイクロキャビン社のイメージが一変した方は多いのではないでしょうか。
スクロール画面が若干うにゃっていたのもご愛敬、VRシステムも注目されましたがMSXユーザーにとっては何といってもBGMに圧倒されたものでした。
【Xak(サーク】他機種のFM音源に比べて貧弱だったMSXが、もっとも美しい音色を奏でたとされる名作RPG「Xak(サーク)」はPSGの丁寧な「重ね」がスゴイ! - Middle Edge(ミドルエッジ)
またもや期待に応える美麗なBGM「XakⅡ」(1990)
「Xak」に引き続いて新田忠弘、笹井りゅうじの両名

XakⅡ
「Xak」1作品目ほどの注目を集めはしなかったと記憶していますが、この「XakⅡ」もやはりMSXユーザーにとっては、他のFM音源対応ゲームと別次元のクオリティーだったのです。
BGMがRPGの世界観を表現するうえでいかに大事か、私たちは日本ファルコムの古代サウンドとマイクロキャビンに教わったといっても過言ではありません(笑。
80年代後半から第一線を走り続けるゲーム音楽作曲家『古代祐三』 - Middle Edge(ミドルエッジ)
さて、次に「Xak」シリーズなどよりは格段に知名度が高いファイナルファンタジー。
こちらも、1987年にスクウェアがファミコン向けにリリースした作品をマイクロキャビン社が1989年にMSX2向けに移植しておりました。
レアかもしれない、マイクロキャビンによる美麗なFM音源「ファイナルファンタジー」
新田忠弘、笹井りゅうじ編曲(作曲は植松伸夫)
XakシリーズのスピンオフとしてMSXオリジナルでリリースされたFRAY(1991)
ミュージック・新田忠弘、PSG版編曲・笹井りゅうじ

FRAY
この「Xakシリーズ」外伝にあたるFRAYは、MSXの最終機MSXturboR向けにリリースされました。
当時、truboRユーザーだった筆者は、なぜかこのゲームをMSXマガジンの読者プレゼントでゲットした思い出があります。
独特な世界観で注目を集めたサーバーパンクRPG「幻影都市」(1991)
音楽担当:新田忠弘、福田康文、瓜田幸治

幻影都市
従来RPGの王道だったファンタジーと異なり、サイバーパンンク路線で挑んだ「幻影都市」。
その独特な世界観を演出出来たのもまた、マイクロキャビンのBGMあってのものだったと思います。
マイクロキャビンに在籍していた音楽クリエイターのその後
当時、美麗なBGMを生み出していたクリエイターたちのその後についてWikipediaから引用します。
新田忠弘
現在は新田みかんの名でミュージシャンとして活躍中。
笹井りゅうじ
笹井隆司 - Wikipedia
瓜田幸治
瓜田幸治 - Wikipedia
福田康文
マイクロキャビンへ入社後、同社のゲームソフトの作曲を数多く手がけた。
その後チュンソフトへ入社。 現在はフリーランスで活動し、ギタリストとしてレコーディング、ライブなどに参加している。
80~90年代のゲームはサウンド(BGM)が秀逸!FM音源はじめ、ゲーム観を高めるのに欠かせなかったBGMについて。 - Middle Edge(ミドルエッジ)