90年初頭、フジテレビで深夜に放送された「カノッサの屈辱」
当時高校生だった筆者は、面白くてちょっと為になりそうな「カノッサの屈辱」が好きでした。
仲谷昇が教授に扮し、日本の消費文化史を歴史上の出来事になぞらえて解説するこの番組。
とくに三国志や関が原、幕末などの戦乱に例えて解説する様が、歴史オタクだった筆者にはたまらなく楽しかったものです。
カノッサの屈辱
マルちゃん軍の総司令官「タケダ=テツヤ」
深夜番組でありつつも当時の若者に人気を博した「カノッサの屈辱」は、1990年代前半のフジテレビの深夜番組黄金期のなかでもとくに個性的な番組のひとつだったと評されています。
歴史上に残る「カノッサの屈辱」とは無関係です
1077年:カノッサの屈辱(カノッサ事件)
仲谷昇の「やぁ皆さん、私の研究室へようこそ」で始まる、知的好奇心をくすぐる講義(テーマ)一覧
前41回の講義(テーマ)一覧、本放送終了後に4回放送された特別版。
そのいずれも、タイトルを見るだけでも知的好奇心をそそられるようなものばかりで、いまからでも十分に楽しめる放送内容です。
それらを、面白可笑しくも歴史上の人物などに例えて解説されたのです。
本稿では全回分のテーマをご紹介いたします。
※総集編などは割愛
第1回(1990年4月9日):ホテル四大文明の謎
四大文明とは日比谷エジプト文明、赤坂メソポタミア文明、新宿インダス文明、池袋黄河文明。
戦後、多くのホテルがしのぎを削った地区を、四大文明に見立てての解説でした。
第2回(1990年4月16日):アイスクリームルネッサンス史
1984年を「アイスクリームのルネッサンス期」と見立てて、アイスクリーム流行の歴史を紐解いたのでした。
「アイスクリームルネッサンス史」では、下記のような描写がなされていました。
第3回(1990年4月30日):ニューミュージックと西太后の時代
ニューミュージック史がテーマであるものの、主にユーミン西太后の足跡を軸として紹介した回。
※ユーミン西太后 - (松任谷由実)
第4回(1990年5月7日):デパート大航海時代
「流通航路を発見したデパート大航海時代」がテーマ。
4つの大きな大陸として銀座大陸、池袋大陸、新宿大陸、ユーラ渋谷大陸を舞台としたのです。
第5、6回(1990年5月21日、28日):律令ディスコ国家の成立と文化(前後編)
その名も「ディスコの歴史」。
六本木貴族の厚い保護の下、絢爛たるディスコ社会を築き上げたマハラジャ(笑。
懐かしのディスコ曲★70年代洋楽特集 - Middle Edge(ミドルエッジ)
第7回(1990年6月4日):近世ハンバーガー革命史
当時の主要なファストフードチェーンがマクドナルド王朝を筆頭とする政党に扮する形で登場。
ダイエー系列ではウェンディーズが登場したものの、ドムドムハンバーガーは登場しませんでした。
「近世ハンバーガー革命史」では、以下のような描写がなされておりました。
【ドムドムハンバーガー】全盛期は400店舗を誇ったダイエーグループの「ドムドムハンバーガー」!日本初のハンバーガーチェーンを応援しよう!! - Middle Edge(ミドルエッジ)
第8回(1990年6月11日):幕末ビール維新
キリンビールを幕府に例え、他のビールメーカー(藩)に仕える志士の中で落合信彦左衛門の奮戦を軸としました。
「幕末ビール維新」では、下記のような描写がなされていました。
第9回(1990年6月18日):古代エーゲ海 アイドル帝国の興亡
番組で取り上げられたのは女性アイドルの歴史で、男性アイドル史に関しては教授が「このテーマに触れるには未熟だ。」と弁解しました(笑。
「古代エーゲ海 アイドル帝国の興亡」では、以下のような描写がなされていました。
70年代に活躍したアイドル・女優の歴史(デビュー時1965年から1979年)70名 - Middle Edge(ミドルエッジ)
第10回(1990年7月2日):縄文・弥生 女子大生装飾の謎
サーファー原人。
UCLATシャツ、カリフォルニアTシャツ、レインボーサンダル。
次から次へと突っ込みどころが満載な女子大生ファッションの回(笑。
【あたしたちぃ】ママたちの黒歴史。バブル世代のオサレなファッション【大学生で~す】 - Middle Edge(ミドルエッジ)
以下、引き続き各回のテーマ一覧をみていきましょう。
第11回~第13回は、私たちの身近な飲食にまつわるテーマを掲げた回でした。
第11回(1990年7月9日):グルメ近代日本の成立と挫折
第12回(1990年7月16日):健康ドリンク百年戦争の起因と拡大
「健康ドリンク百年戦争の起因と拡大」では、以下のような描写がなされていました。
24時間戦っていました!リゲインCM! - Middle Edge(ミドルエッジ)
第13回(1990年7月23日):インスタントラーメン 帝国主義国家の宣戦
「インスタントラーメン 帝国主義国家の宣戦」では、以下のような描写がなされていました。
80年代のちょっと変わった即席麺 ネーミングが面白いラーメンも! - Middle Edge(ミドルエッジ)
次に、これも熾烈な戦いを繰り広げた「シャンプー」の戦いの歴史が語られました。
第14回(1990年7月30日):古代シャンプー王朝の黎明とヘアニズム世界
子供用シャンプーボトル、かつてはおもちゃのロボットや人形のような楽しいデザインが多かった。 - Middle Edge(ミドルエッジ)
第15、16回は私たちが子供のころ最大の娯楽だったテレビ、ビデオの戦いの歴史について。
第15回(1990年8月6日):TVドラマ東西ローマ帝国の零落と復権
研究カテゴリを「時代劇」「刑事ドラマ」「ホーム・青春・トレンディドラマ」の三つに分類し、三番目の歴史のみを紹介しました。
第16回(1990年8月20日):関ヶ原ビデオ合戦史
【VHS対ベータ】数ある規格戦争でも最も有名な争い!ご家庭のビデオデッキはどっちでしたか? - Middle Edge(ミドルエッジ)
第17回(1990年8月27日):車三国志 領域拡大への道
番組中では名言「いい女 口説き始めは プレリュード」が登場。
車に対する価値観の変遷が見事に語られた回でした。
「プレリュード」「ソアラ」「シルビア」等、かつての「デートカー」を振り返る!-あの頃、男たちはモテるために車を買った- - Middle Edge(ミドルエッジ)
第18回(1990年9月3日):チョコレート源平の対立と国風文化
「チョコレート源平の対立と国風文化」では、以下のような描写がなされておりました。
第19回(1990年9月10日):コミック新大陸の発見と争奪
ジャンプにマガジン、サンデーにチャンピオン。
少年誌だけをとっても、熾烈な部数争いが繰り広げられていましたね。
【マンガ世代なら知っておくべき】歴代のコミック売上ランキング「BEST50」! - Middle Edge(ミドルエッジ)
第20回(1990年9月17日):戦乱の世 お笑い武将の萌芽と栄華
「全員集合」「ひょうきん族」あたりを双璧に、お笑いコンテンツは当時を代表する娯楽でしたよね。
「8時だョ!全員集合」から飛び出したザ・ドリフターズのギャグの数々!! - Middle Edge(ミドルエッジ)
第22回(1990年10月8日):デート資本主義の構造
デートの仕方も変わっていきました。
バブル時代は女性上位、なんて言われたものです。
【アッシー】みんな知ってる?バブル時代の流行語【メッシー】 - Middle Edge(ミドルエッジ)
第23回(1990年10月15日):大和化粧品国家の成長と里程
第24回(1990年10月22日):クイズ番組史観 永遠の真理を求めて
クイズ番組の司会者を思想家に例え、その歴史を紹介。
もはや伝説!高視聴率だったクイズ番組たち - Middle Edge(ミドルエッジ)
第25回(1990年10月29日):コーヒー革命史 市民権拡大への道程
【UCC缶コーヒー】世界初の缶コーヒーと言えば「UCC」80年代の懐かしいCMとともに振り返る。 - Middle Edge(ミドルエッジ)
第26回(1990年11月5日):女性・旅行力学 時間と空間をこえて
「女性・旅行力学 時間と空間をこえて」では、以下のような描写がなされておりました。
第27回(1990年11月12日):狩猟から稲作へ 原始オーディオ文化の黎明
「狩猟から稲作へ 原始オーディオ文化の黎明」では、以下のような描写がなされておりました。
カセットテープの種類 違いって何? - Middle Edge(ミドルエッジ)
第28回(1990年11月19日):のど飴積分法 未知数の謎を解く
【浅田飴の印象的な商品】「せき・こえ・のどに浅田飴」と顔が怖かった「シュガーカット」について。 - Middle Edge(ミドルエッジ)
第30回(1990年12月3日):古代オリエント 歯みがき文明の継承と発展
「古代オリエント 歯みがき文明の継承と発展」では、以下のような描写がなされておりました。
第31回(1990年12月10日):クリスマス化学史 元素記号Hの発見
「クリスマス化学史 元素記号Hの発見」では、以下のような描写がなされていました。
【クリスマス・エクスプレス】JR東海が提供した東海道新幹線のCMシリーズはグッときました。 - Middle Edge(ミドルエッジ)
第33回(1991年1月14日)ゲーム産業革命 西洋文化の普及と東洋文化の動揺
20世紀の熾烈な家庭用ゲーム機戦争を振り返ろう。 - Middle Edge(ミドルエッジ)
第34回(1991年1月21日):幕藩・酒場改革史 婦女子の流入と台頭
第34、35回では主に女性を狙ったマーケット(アルコール、お風呂)の歴史について語られました。
女性の社会進出と相まって、このような話題もテーマとなりやすかった時代でしたね。
第35回(1991年1月28日):お風呂戦国時代 下克上から娘封建社会へ
「お風呂戦国時代 下克上から娘封建社会へ」では、以下のような描写がなされておりました。
バスクリンのお風呂が嬉しくて、あの色と香りが温泉だと思っていた!そんなバスクリンの歴史について。 - Middle Edge(ミドルエッジ)
第36回(1991年2月4日):スキー植民活動と名誉革命
「私をスキーに連れてって」に端を発した80年代~90年代前半にかけての一大ブームを振り返る。 - Middle Edge(ミドルエッジ)
第37回(1991年2月11日):結婚電気学 Iと抵抗の仮説
「結婚電気学 Iと抵抗の仮説」では、以下のような描写がなされておりました。
以下、本放送が終わった後も人気は根強く、複数回に及ぶスペシャル版が放送されました。
特別版1(2000年12月30日):20世紀最終講義
特別版2(2007年2月6日):携帯電話の歴史
亡くなった仲谷昇氏に捧げたスペシャル版。
ショルダーフォンから始まる携帯電話の歴史です。
「NTT」「KDDI」「ソフトバンク」通信キャリア大手3社の変遷、ケータイやPHSの歴史がこれで分かる! - Middle Edge(ミドルエッジ)
特別版3(2008年10月16日)タイヤ幕藩体制と海外列強の展開
特別版4(2009年12月14日)ゲーム宗教改革と民衆の勃興
以上、いま観ても興味深い「カノッサの屈辱」のテーマ一覧をご覧いただきました。
なんとなくミドルエッジ内で関連していそうな記事を探してリンクさせていただきましたが、出来れば「カノッサの屈辱」のスペシャル版をまた観たいな~と希望する次第です。
【カノッサの屈辱】復活して欲しいTV番組 - Middle Edge(ミドルエッジ)