Nine Inch Nails
ナイン・インチ・ネイルズ
ナイン・インチ・ネイルズは、一般にアメリカのインダストリアル・ロックバンドとして位置づけられていますが、重たく、騒々しいサウンドだけではなく、エレ・ポップの影響を受けた曲や、美しいメロディを持った繊細な曲も多数発表しています。
ナイン・インチ・ネイルズのメンバーは、メイン・コンポーザーであるトレント・レズナーのみで、他のメンバーはアルバム制作ごとに異なっています。
ライブでのメンバーも同様で、アルバム制作後にその都度オーディションや友人の紹介などでメンバーが決められています。
デビューは1989年のシングル「ダウン・イン・イット」で、現在でも活動を行っていますが、その間に発売されたスタジオ・アルバムはわずかに8枚しかありません。
Pretty Hate Machine
1989年発売のデビュー・アルバム「プリティ・ヘイト・マシーン」は、プリンスやジェーンズ・アディクション、パブリック・エナミーの曲をサンプリングしたとされ、ニュー・ウェーヴやヒップホップなどの影響が伺えます。
そのためか、本作はナイン・インチ・ネイルズとしては比較的インダストリアル色が薄く、ポップな内容に仕上がっています。
アルバムは発売当初は話題になることもなく全米75位止まりだったものの、最終的には150万枚を越すセールスを記録しています。
プリティ・ヘイト・マシーン
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ナイン・インチ・ネイルズは、ガンズ・アンド・ローゼズのツアーの前座を務めるなど、徐々に活動規模が大きくなっていましたが、レコード会社とのもつれから裁判となり、裁判中のレコーディングが禁止されてしまいます。
その裁判終了後の1992年に新曲6曲プラス2曲のボーナストラックが入ったミニ・アルバム「ブロークン」の発売があったとはいえ、セカンド・アルバムは1994年まで待たされることになります。
The Downward Spiral
圧倒的なパワーで展開する「ブロークン」が話題となり、時代がナイン・インチ・ネイルズに追い付いてきたのでしょう。1994年、5年ぶりに発売されたセカンド・アルバム「ザ・ダウンワード・スパイラル」は全米初登場2位となり爆発的なセールスを記録します。
現時点でナイン・インチ・ネイルズにとって最も売れたアルバムであり、彼らの代表作と見なされています。
ザ・ダウンワード・スパイラル
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陰鬱なムードに包まれたアルバムですが、制作当時のトレント・レズナーの心理状態が1曲目のタイトル「Mr. Self Destruct(ミスター自己破滅願望)」が表しているように思わしいものではなかったようです。
しかも、制作当時購入した家が、「水の中のナイフ」や「ローズマリーの赤ちゃん」などで有名なロマン・ポランスキー監督の奥さんであった女優のシャロン・テートが狂信的なカルト信者に刺され殺害されたところだったそうです。
現在ではこの家は取り壊されていますが、入り口のドアはトレント・レズナーが持ち帰り所有するスタジオのドアとして使っているそうです。
そのドアには、カルト信者がシャロン・テートの血で書いた「PIG」という文字が残っているのだとか。
The Fragile
「ザ・ダウンワード・スパイラル」から5年後の1999年にサード・アルバム「ザ・フラジャイル」が発売され、全米1位を記録しています。
本作は、2枚組全23曲という大作となっており、同じく2枚組であったピンク・フロイドの「ザ・ウォール」をリスペクトしてのものだとか。
1人の主人公の内面を描くコンセプト・アルバムということで確かに共通点が見受けられますね。
ザ・フラジャイル
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本作からは「The Day the World Went Away」をはじめとして、「We’re in This Together」、「Into the Void」、「Starfuckers, Inc.」の4曲がシングル・カットされています。
With Teeth
前作発売後からアルコールとドラッグ依存症となってしまったトレント・レズナーが、それらを克服し6年ぶりとなる4枚目のアルバム「ウィズ・ティース」を2005年に発売しました。
2000年代に入って最初のアルバムとなった本作も全米1位を獲得していますが、内容的には今までの神経質なまでに作りこまれたサウンドではなく、ラフなバンドサウンドとなっています。
ウィズ・ティース
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大きく変貌を遂げて2000年代に突入したナイン・インチ・ネイルズ。この後も試行錯誤は続きますが、2013年には8枚目となるアルバム「ヘジテイション・マークス」を発売し健在ぶりをアピールしています。
アルバム発売のインターバルが長いナイン・インチ・ネイルズですので、新作はいつになるのか分かりませんが、きっとまた素晴らしいアルバムを届けてくれることでしょう。