【リーグ優勝の瞬間】読売ジャイアンツ編

【リーグ優勝の瞬間】読売ジャイアンツ編

まだクライマックスシリーズ制度が導入されていない頃、ペナントレースが今よりもずっと価値があった頃、各球団のリーグ優勝決定の瞬間、その年の戦いぶりをご紹介しています。今回は読売ジャイアンツのリーグ優勝決定の瞬間(1990、1994、1996)を集めてみました。


【1990年】22ゲーム差のリーグ優勝

1990年、巨人の監督を務めていたのは、藤田元司監督。この年の開幕戦、野村克也監督率いるヤクルトスワローズと対戦。8回裏まで1-3とリードされるものの、篠塚選手のライトポール際に飛び込む起死回生の2ランホームランで同点に追いつき、その後サヨナラで勝利します。(ただ、このホームランは後々まで「疑惑のホームラン」「最大の誤審」と呼ばれる事に。)そうして、開幕戦を勝利した巨人は、不祥事の為に1か月謹慎していた桑田真澄が5月に復帰すると、一気に首位を快走します。

そして迎えた1990年9月8日の対ヤクルト戦。吉村禎章選手のサヨナラホームランを放ち、リーグ優勝が決定。選手生命に関わる大怪我から復活した吉村選手の劇的弾にスタンドは大歓声に包まれました。
(最終的に2位の広島と差は22ゲーム差。88勝42敗0分け勝率.622)

1990年巨人・史上最強投手陣

最終的には、2年連続20勝をあげる、大黒柱の斎藤雅樹選手をはじめ、桑田と宮本和知選手が共に14勝。更にこの年台頭した木田優夫選手が12勝、さらに香田勲男選手も11勝とローテーションに2桁勝利投手がなんと5人もいる(続く槙原選手も9勝)盤石の投手陣を背景に2位以下との差を広げていきます。

日本シリーズの相手は、パリーグを独走で制覇していた西武ライオンズ。もつれる展開が予想されたものの、結果は0勝4敗の完敗。ペナントレースの大勝をかき消されるこの敗戦に、岡崎郁選手は「野球観が変わった」との言葉を残しています。

【1994年】国民的行事・10.8決戦

1994年の巨人の監督は第二次長嶋茂雄監督体制の2年目のシーズン。8月18日に早くもマジックナンバー25を点灯させた巨人でしたが、その後、8月25日から9月3日にかけて8連敗するなど大失速。9月28日の中日戦に0-1で敗れ、遂に2位中日に並ばれます。(その翌日台風の為に中止になった代替試合が10.8に組み込まれる事に)。結局、最終戦までに優勝は決まらず両チーム同率で、この10.8の最終決戦を迎えました。

長嶋が「国民的行事」と呼んだこの試合、巨人は2回表、今中慎二選手から落合博満選手のソロ本塁打などで2点を先制。対する中日も巨人の先発、槙原寛己選手から4連続安打と責め同点に追いつきます。ここで巨人は早々と斎藤雅樹に投手交代。更に続くピンチを切り抜けると、3番松井秀喜選手がバントで送った二塁走者を、落合のタイムリーで帰して逆転。4回に村田真一選手、ヘンリー・コトー。5回に松井選手のソロホームラン3発で突き放し、7回から登板した桑田真澄選手が最後まで投げ切る「先発3本柱リレー」でリーグ優勝を決めました。(70勝60敗。勝率.538)

宙に舞う長嶋監督

この年の日本シリーズの相手は、宿敵・西武ライオンズ。初戦・桑田選手が打ち込まれて0-11と大敗するものの、2戦目で槙原選手の完封で流れを引き戻し、初戦で打ち込まれた桑田選手も第5戦で完投勝利。第6戦でも槙原選手が完投。打撃陣では第5戦でこの年公式戦で0本塁打の緒方孝一選手が満塁ホームランを放つなど、結局4勝2敗で日本一になります。

【1996年】11.5ゲームを大逆転。「メークドラマ」

1996年のペナントレース序盤から波に乗れなかった巨人はペナントレース中盤で首位、広島と最大11.5ゲーム差をつけられます。その絶望的な状況が変わったのは7月9日の札幌円山球場での対広島戦でsじた。2回2アウトランナーなしから怒涛の9連打で一挙7得点を奪ったのを機に、巨人の快進撃が始まったのです。

※札幌市円山球場での9者連続安打の全容
7番後藤孝志選手:左翼線二塁打
8番村田真一 選手:左前安打(打点1)
9番:斎藤雅樹選手:右前安打
1番:仁志敏久選手:中前安打
2番:川相昌弘選手:左翼席満塁本塁打(打点4)
3番:松井秀喜選手:右前安打
4番:落合博満選手:右中間二塁打(打点1)
5番:シェーン・マック選手:中前安打(打点1)
6番:清水隆行選手:右前安打

その後もゲーム差を縮めていく巨人に対し、長年優勝から遠ざかっていた広島は急失速。100試合目で首位に立った巨人は、10月6日の対中日ドラゴンズ戦に勝利してリーグ優勝を決めました。ちなみに、この試合がナゴヤ球場の公式戦最終試合でした。

この年、入団4年目の松井選手がホームラン38本でMVP。仁志・清水がルーキーで活躍し、チームは活性化。前年にFAで加入したものの思うように活躍できなかった川口投手が、この年の終盤にリリーフとして活躍。胴上げ投手になりました。

当時発売された優勝決定テレホンカード

また、長嶋監督の造語による「メークドラマ優勝」と言われるこのリーグ優勝ですが、実は「メークドラマ」という言葉を初めて長嶋監督が使ったのは、この前年の1995年のことでした。ヤクルトに大差をつけられたチームに奮起を促すために使われたのですが、結局1995年は優勝は果たせず、「メークドラマの完結」は1年後となったのです。以後、巨人がペナントレース争いで首位に大差をつけられると、この「メークドラマ」から派生した「メークドラマ・アゲイン」「リメークドラマ」などの言葉がスポーツ新聞紙で踊る事が定例になっています。(2008年に阪神との13ゲーム差を逆転し優勝した「メークレジェンド」)

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