同潤会・青山アパートメントの風景!ツタが印象深い

同潤会・青山アパートメント
同潤会青山アパートは、1926(大正15)年に中之郷アパート(墨田区)とともに建築された、(ほぼ)日本最初のアパート。
同潤会は単なる仮設住宅を造ろうとしたのではなく、様々な機能を備えた最新鋭のアパートを造ろうと計画された。完成した同潤会アパート群は、当時「東洋一」との評判もあったそう。
以後、約80年に渡り、生活空間として使用され続けた。
完成時は軍人や役人しか入居できないとっても高級なアパートだったそうだが、終戦後にこのアパートは東京都管理になり、ショップやギャラリーが使用することになった。
昭和なノスタルジック溢れる青山アパートメントの外観は非常に人気があり、観光客もよく訪れていた。
しかし、後年は老朽化が問題になっていた。

昭和27年頃

ツタが印象的だった同潤会・青山アパートメント

表参道の並木道と建物がマッチする

表参道に面した入口

中庭(奥には表参道が見える)
表参道のデートをより華麗に演出していた同潤会・青山アパートメント

1994年頃
表参道のケヤキ並木を恋人と歩き、買い物やお茶をするのは定番のデートコースだった。
特にクリスマス時期が近付くと、地元の商店振興組合「原宿シャンゼリゼ会」主催で行われたクリスマスのイルミネーションが表参道を彩ってくれた。
この催しは1991年から実施され、非常に人気が高く、高校生や大学生、社会人と幅広い年代のカップルが、幻想的な雰囲気を楽しんでいた。
また、同潤会・青山アパートメントのレトロ感のある趣きも手伝って、この時期の表参道デートはクリスマスの風物詩とも呼べるものとして親しまれた。
しかし、見物客による交通渋滞や歩道の混雑、ゴミが散乱するなどの諸問題のため1998年をもって中止となった。以降は、単発での開催となっている。

90年代、表参道のクリスマス・イルミネーション
建物が現存していた頃の貴重な特集動画
「表参道ヒルズ」にも、同潤会の面影は残っている
同潤会・青山アパートメントを取り壊した跡に建設された「表参道ヒルズ」。
ケヤキ並木の景観と調和させることもあって地上部分を3階と低く抑え、地下3階とあわせて6層分のフロアとしている。
2006年2月11日に開業し、表参道の新たな人気スポットとなっている。
また、かつて東端にあった同潤会青山アパートの一棟を新たに再現し、「同潤館」と名づけ店舗利用している。

安藤忠雄設計の「表参道ヒルズ」

クリスマスシーズンの表参道ヒルズの内部(2008年)

表参道ヒルズ一角に、「同潤会青山アパート」は再現されている
ドラマ『海岸物語 昔みたいに…』では、主人公の住居だった!
1988年のTBSドラマ『海岸物語 昔みたいに…』。
毎週夜9時から放送されていた。脚本は『金曜日には花を買って』などを手がけた松原敏春。
舞台は神奈川県鎌倉市で、江ノ島、江ノ電、湘南モノレール等、湘南海岸周辺の風情が効果的に使われた。
しかし、奥田瑛二演じる主人公・達也は同潤会・青山アパートに住んでいるという設定だった。
近代的な建物が並ぶ表参道において、異質な存在感を放っていた同潤会・青山アパート。
ノスタルジックな雰囲気に加えて、どこかのどかさもあった。
ああいった古くから親しまれた建物が取り壊されるニュースを聞く度に、もっと行っておけば良かったと思うのだが、結局はいつも行かなくても「そこにある」ことが大切なのだとも思う。
同潤会・青山アパートメントは無くなってしまったが、前述の「同潤館」として面影を感じることができるので、機会があれば訪れてみるのもオススメです。