【ピアスの白い糸から】懐かしい70~90年代のちょっと怖い都市伝説【死体洗いのバイトまで】

【ピアスの白い糸から】懐かしい70~90年代のちょっと怖い都市伝説【死体洗いのバイトまで】

学生の頃、怪談話をしている時「友達の話なんだけどー」と友達が話してくれた怪談で、「この話聞いたことあるかも?」と感じ、後にそれが都市伝説だったという経験はありませんか?こちらでは70~90年代の有名な都市伝説から、少し不気味なものをご紹介します。


改めて都市伝説とは?

「友達の友達の話なんだけど…」と始まる怪談話。人から人へ口述伝承するうちにプロットが洗練され、優れたプロットのものが爆発的に広まります。そして有名になったものには後日談が作られたり、形を変えたりして広がります。それが都市伝説です。こちらではたくさんある都市伝説の中から、夏にふさわしいちょっと不気味なものをいくつかご紹介します。どれかは聞いたことがあるのではないでしょうか?

ピアスの白い糸

部屋でピアスを外していた女の子。友達に「ピアス穴から白い糸が出てるよ」と言われたので「取って」と言いました。友達がその白い糸を引っこ抜くと、女の子は「急に電気消さないでよ、真っ暗だよ」。友達は電気は消していません。部屋は明るい状態です。引き抜いた白い糸は、実は視神経で、それを抜いたため女の子は目が見えなくなったのです。

ピアスの白い糸

もちろん耳たぶに視神経は通っていません。この話は80年代初頭からじわじわ広がった都市伝説です。その頃日本でファッションとしてピアスをつける人が増えたため流行した噂です。このように新しいものが流行ると噂がついてまわるのは世の鉄則で、口裂け女も整形手術が流行りはじめたため生まれた都市伝説だという説もあります。

カオルさん

渋谷で女の子が歩いていると、知らない女性から「ねぇあなた、ピアスしてる?」と聞かれます。いぶかしがりつつも「はい」と答えるといきなり耳たぶを噛みちぎられました。その女性は「カオルさん」といい、昔ピアスの穴から出てる白い糸を取って目が見えなくなった女性だったのです。

画像は「THE都市伝説」より

naruseriri

「カオルさん」は「ピアスの白い糸」の後日談として、90年代半ば頃から登場しました。人気の都市伝説はこのようにして進化するんですね…

死のカーナビ

カーナビを使ってなれない夜道を運転してした男性。「この先左折します」「次の交差点を右です」。カーナビの言うとおりに走っていると、どんどん山道に進んでいきます。「あと500mです」「あと300mです」。なんだか嫌な予感がした男性は車を止め、降りて前方を確認すると、そこは崖でした。あと少しで落ちて死ぬところでした。気づいてよかったと車に乗り込みエンジンをかけると、カーナビが「死ねばよかったのに」。

死のカーナビ

この都市伝説は、カーナビが普及し始めた2000年頃に囁かれたそうです。しかし、このお話はもっと前からありました。

夜の山道をドライブしていて道に迷った男女。困り果てていると、道にお地蔵さんが。二人で手をあわせ「無事に帰れますように」とお地蔵さんにお願いをしました。その後運転を始めると眠っていた助手席の彼女が「その先左」などと道案内をはじめました。彼女の言うとおりに運転していくと突然彼女が「止めて!」と言います。確認すると、その先は崖でもう少しで転落するところでした。霊感の強い彼女はきっとお地蔵さんが助けてくれたんだと思い、二人でもう一度お地蔵さんのところへ行きお礼を言いました。するとお地蔵さんの顔がぐにゃりと歪み「死ねばよかったのに」。

お地蔵さんのお告げ

カーナビが普及していなかった子供時代、上記のようなお話を聞いたことありませんか?お地蔵さんは出てこないバージョンもあります。昔から語り継がれていた怪談にカーナビがぴったりだったので、生まれた都市伝説が「死のカーナビ」だと思われます。

メリーさん

ある少女がメリーさんと名付けた人形をわけあって捨ててしまいます。それからしばらくして少女に電話が…「もしもし、私メリーさん。今駅前にいるの」「もしもし、私メリーさん。今あなたのお家の近くにいるの」「玄関の前にいるの」どんどん近づいてきます。怖くなった少女にまた電話が。「もしもし、私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」。

メリーさん

映画「メリーさんの電話」2011年公開。

なんとメリーさんが映画に!

もともとこのお話には「メリーさん」という名前はありませんでした。近づいてくるのは幽霊やストーカーなど、話し手によって変わっていましたが、あまりにもこのお話が流行したためメリーさんという名前が付きました。このようにだんだん近づいて来る怪談は昔からあって、こんな話を聞いたことありませんか?

ある夜、女の子が血まみれの女性を見てしまいます。その女性と目が合った瞬間「やばい」と思い、逃げ出した女の子。血まみれの女性は走って追いかけてきます。女の子は公衆トイレの一番奥の個室に隠れます。血まみれ女がやってきて、手前の個室の扉を開け「いない」バタンと閉めます。2番目の扉を開け「いない」バタン…どんどん近づいて来ます。次は自分のいる個室です。息を潜めて縮こまっていると、いつまでたっても女の子のいる個室が開けられません。数時間経ち、少し落ち着いた女の子が立ち上がり見上げると…血まみれの女性が個室の扉の上から、じーっと見つめていました。

夜の公衆トイレ

このように「近づいて来るシリーズ」は様々な派生があり、トイレではなく、合宿中の布団を次々とめくられていく…などのバージョンもあります。メリーさんは近づいて来るシリーズの最も洗練された形だと思います。

ベッド下の男

一人暮らしをしているワンルームマンションに友人とともに帰宅した女性。女性は自分のベッドに腰掛け、友人にもくつろぐように勧めますが、友人は立ったまま「コンビニに行こう」と言います。今帰ったばかりなのにという女性に友人は必死で「買いたいものがあるから一緒に来て」と言います。女性は友人に言われるがまま一緒にコンビニへ出かけ、道すがら「さっき、あんたが座ってたベッドの下に包丁を持った男がいたよ!」

ベッド下の男

ベッド下など、日常にある少し不気味な空間にはこのような都市伝説がつきまといます。こちらの話はベンチ下だったり、潜んでいるのが女だったりと様々な派生バーションがありますが、もともとはアメリカから輸入された都市伝説でした。

アメリカ版

その日は両親はお出かけで、少女は夜、飼っている犬と二人で眠りました。犬はいつも少女のベッドの下で眠ります。夜中、ポタリと変な音で目が醒めた少女。ベッドの下へ手を伸ばすと、いつものように犬が手を舐めてくれたので安心して眠りました。翌朝少女が目覚めて見たものは、殺され血をポタリと落としながら壁に打ち付けられた愛犬の姿と、「お嬢ちゃん、人間だって舐められるんだ」という書きおきでした。

舐められた手

「舐められた手」は60年代後半くらいから伝わり始めたアメリカの有名な都市伝説です。このように海外から輸入されて、日本風に変えられたお話が広がることがあります。

タクシー怪談

タクシーの運転手が、ある夜、ひとりの女性を乗せました。彼女は行き先だけを告げると、あとはだんまり。運転手は不気味に思いながらも到着して後ろを振り返ると、そこには女性の姿はなく、シートがぐっっしょり濡れていました。女性の目的地を確かめるべくタクシーを降りると、そこは墓地でした。

タクシー怪談

この「タクシー怪談」は聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。60年代から語り継がれ、目的地は病院という場合もあります。シートが濡れているのは。語り継がれるうちに追加されたものだと思われます。

藤子・F・不二雄先生の「エスパー魔美」でもタクシー怪談をモチーフにしたエピソードがあります。みんなで別荘に行った魔美が怪談話に怯えてひとり帰ろうと夜中にタクシーに乗りますが、財布を取りに帰るため瞬間移動して消えたため運転手が怖がるというものです。この作品が1977年くらいなので、その頃にはタクシー怪談は浸透していたのでしょう。

「エスパー魔美」より

naruseriri

このタクシー怪談も「ベッド下の男」同様、アメリカから輸入してきたものをアレンジしたものだと思います。アメリカ版はどのようなお話でしょうか?

アメリカ版

アメリカの長い田舎道を車で走っていると、少女がヒッチハイクをしていたので乗せました。少女の言う行き先まで乗せ、着いたので振り返ると、そこにいたはずの少女がいません。驚いて目的地にある家を訪ね、その家の人にどのような少女だったかを話すと…「それは昔亡くなった僕の妹です」。

消えるヒッチハイカー

「消えるヒッチハイカー」は1930年代から語り継がれる、アメリカの超有名都市伝説です。「タクシー怪談」にそっくりですよね。日本に入ってきた時、日本ではヒッチハイクの習慣があまりないことからタクシーに変更されたのだと思います。

コインロッカーベイビー

ある女性が一人では赤ん坊を育てることができず、自分の赤ん坊をコインロッカーの中に入れて置き去りにしました。それから数年後、その女性がたまたま、あのコインロッカーの近くを歩いていた時、小さい男の子が泣いているのを見つけます。「迷子なの?」と話しかけると「うん」と男の子は答えます。「お父さんは?」「…」「お母さんは?」「お前だよ!」

コインロッカーベイビー

こちらは1970年代に実際に起きた事件から生まれたお話です。けれども話の内容自体はもっと昔からあるものです。

昔、一人では赤ん坊を育てられない女性が崖から自分の赤ん坊を落としました。それから数年後、女性は結婚し、男の子が産まれ、幸せな生活を送っていました。ある時息子と一緒にボートに乗っていた女性。息子は女性の方を向き「今度は殺さないでね」。

「今度は殺さないでね」

最後のセリフは語り手によって変わりますが、「コインロッカーベイビー」とよく似たお話です。このように何も知らないはずの子供に昔の殺人を指摘されるお話は、江戸時代からありました。

六部(旅のお坊さん)を泊めた男。その六部がお金を持っているのを見た男は六部を殺し、埋めてしまいます。それから数年後、奪ったお金を元手に裕福になり、息子も産まれて幸せな生活を送っていた男。ある夜、息子と散歩をしていると「お前に殺されたのも、こんな晩だったな」と言いながら振り返った息子の顔は、あの六部でした。

こんな晩

「こんな晩」は別名「六部殺し」とも言い、実際に江戸時代、六部を殺す事件があったそうです。「コインロッカーベイビー」同様、いつの時代でも悪いことをしたら自分に返ってくるという戒めのために広まった噂だと考えられます。

死体洗いのバイト

高額のバイトがあるそうです。その内容は解剖するための死体を洗ったり、大きな水槽の中でホルマリンに入れられた数々の死体が浮かび上がったら、棒で沈めるということを夜通し行うというもの。実際にバイトした人はおかしくなってしまうそうです。

死体洗いのバイト

大江健三郎先生作。1957年発表のデビュー短編。
この小説で死体洗いのバイトの噂が広まったと言われています。

「死者の奢り」

くらもちふさこ先生「kiss+πr2」の1コマ。1987年作。
死体洗いのバイトをしているという設定ですが、お話自体はとてもおしゃれなラブストーリーです。

「kiss+πr2」より

naruseriri

漫画で使われるほど、広まっていた噂ですが、実際にはありません。ただ、ホルマリン漬けなどは話におひれががついたものですが、葬儀社の方は遺体を清めたりするので、真実半分嘘半分が混ざった都市伝説と言えるでしょう。

都市伝説の本

Amazon.co.jp: 続あなたの隣の怖い噂 (ムーブックス) 電子書籍: 宇佐和通: 本

ハローバイバイ・関暁夫の都市伝説―信じるか信じないかはあなた次第 : 関 暁夫 : 本 : Amazon

さいごに

少しゾッとするお話をご紹介しましたが、都市伝説には笑えるものや、企業の噂などまだまだたくさんあります。こちらで紹介したお話は独自の調査と様々な本を繋ぎあわせ解釈したものです。信じるか信じないかはあなた次第です。

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