“ナスターシャ・キンスキーの背中”目当てでもいいが、結局は、『パリ、テキサス』はすべての人の物語なのだ。

“ナスターシャ・キンスキーの背中”目当てでもいいが、結局は、『パリ、テキサス』はすべての人の物語なのだ。

別に入口はなんだっていい。“ナスターシャ・キンスキーの背中”目当てでもいいし、ライ・クーダーのギターに魅せられるのでもいい。ヴィム・ヴェンダースの最高傑作だからもう一度観ておこう、みたいな感じでもいい。結局は、さまざまな愛の再生の物語に心が引き取られ、落ち着かされ、なだめられていく。年齢を重ねたからこそ感じられる発見もある。僕らはいつ主人公トラヴィスのように生きることになってもおかしくない、と気づく。いい意味でも悪い意味でも。


さまざまな愛を描く監督ヴィム・ヴェンダースの “仕事ぶり” を眺めてみよう!

ヴィム・ヴェンダースは、1967年ごろから監督として何本かの短編を撮影。1970年に初の長編映画『都市の夏』を制作後、、『都会のアリス』『まわり道』『さすらい』といった「ロードムービー3部作」を発表。『パリ、テキサス』『ベルリン天使の詩』で世界的な成功をおさめ、その後も短編、長編、ドキュメンタリーと精力的に映像を撮り続けている。

なによりもこの映画を観る理由は、ヴィム・ヴェンダースの作品だということだろう。あらためてヴィム・ヴェンダースのその “仕事ぶり” を眺めてみると、映像に対する強い愛を感じる。人間が紡ぐ物語への強い愛を感じる。その愛がきちんと作品化され、その結晶はきちんと評価されている。下の受賞歴は当然だと思う。

●長編映画の受賞関連
1972年『ゴールキーパーの不安』⇒第32回ヴェネツィア国際映画祭、国際映画批評家連盟賞
1976年『さすらい』⇒カンヌ国際映画祭、国際映画批評家連盟賞
1982年『ことの次第』⇒第39回ヴェネツィア国際映画祭、金獅子賞
1984年『パリ、テキサス』⇒第37回カンヌ国際映画祭、パルム・ドール
1987年『ベルリン・天使の詩』⇒第40回カンヌ国際映画祭、監督賞
1993年『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』⇒第46回カンヌ国際映画祭、審査員グランプリ
2000年『ミリオンダラー・ホテル』⇒第50回ベルリン国際映画祭、審査員賞
2005年『アメリカ、家族のいる風景』⇒ロカルノ国際映画祭、名誉豹賞
2015年⇒第65回ベルリン国際映画祭、名誉金熊賞

ヴィム・ヴェンダース長編映画一覧

『都市の夏』(1970年)

『ゴールキーパーの不安』(1972年)

『緋文字』(1973年)

『愛のめぐりあい』 (1995年) ※ミケランジェロ・アントニオーニと共同監督
『ベルリンのリュミエール』 (1995年)
『エンド・オブ・バイオレンス』 (1997年)

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