悲劇の出生からスターダムに駆け上れ!! 芦毛の名馬「タマモクロス」

悲劇の出生からスターダムに駆け上れ!! 芦毛の名馬「タマモクロス」

故郷を失い、母を失い、自身も窮地に追い込まれながらも、遅咲きの才能を開花させ、一世風靡した1頭のサラブレッド。ある1人の男によって導かれ、昭和最後の名勝負を残した「白い稲妻」、タマモクロスを振り返る。


京都金杯 京都芝2000m 1988年(昭和63年)1月5日

明けの5歳となる1988年の「タマモクロス」の初戦は、京都金杯。
オーナーの意向で成立したものでした。
陣営のローテーションとズレは生じたものの、彼には関係ありませんでした。

阪神大賞典 阪神芝3000m 3月13日

春の天皇賞(3000m)に照準を合わせていた陣営は、長距離の阪神大賞典に参戦します。
ライバルは前年のグランプリ馬・メジロデュレン。秘かに入着を狙うダイナカーペンター。
「タマモクロス」は重賞で初めての苦しいレースとなりました。

折り合いを欠き、苦しみながらもレースを制したタマモクロス・南井コンビには、厳しいコメントが生じました。「騎乗ミス」「距離不適正」・・・。今まで圧倒的な強さを見てきたファンにとっては、不満の残るレースとなったのでしょう。しかし、陣営は、長距離での手応えと先行しても行ける自在性、という確かな感触を得ていたのでした。

天皇賞の高みへ

1番人気となった「タマモクロス」でしたが、単勝は440円。圧倒的人気とまではいきませんでした。理由は、前走のイメージ(距離不適正)と騎手特性でした。
南井騎手は700勝を挙げている大ベテランながらも、GⅠレースだけは手中に収めてなかったのです。しかし、今回の彼は、大いなる確信と信頼を持って臨んでいたのでした。
南井にとってタマモクロスは天馬となりうるのか!?

天皇賞(春) 京都芝3200m 4月29日

ライバルはまたしてもメジロデュレン、そしてダービー馬メリーナイス、ゴールドシチー(皐月賞・菊花賞ともに2着)、アサヒエンペラー(ダービー3着)等々、そうそうたるメンバーが並びます。

スタートから1週目は後方待機、向こう正面から徐々に中断につけ、3コーナーの「淀の坂」付近から先頭集団に追いつき、4コーナーでは集団を割って前に行き、直線を向いた時には、先頭争いをしているランニングフリーとメジロデュレンを射程内に収めていました。
内ラチをつき前を行く2頭に並ぶと、「白い稲妻」はムチとともにグイグイ伸び、3馬身の差をつけてゴール!!
圧倒的勝利でした。

距離不適正なる言われも、大舞台(GⅠ)で勝てないという中傷も、すべてを吹き飛ばす完全な横綱レース・完璧な騎乗でした。小さな芦毛の子「タマモクロス」は天皇賞馬となり、南井騎手は念願のGⅠ、しかも天皇賞初制覇となったのでした。

迎え撃つは中距離の帝王

陣営の狙い通り、みごと天皇賞馬になった「タマモクロス」は、破竹の6連勝、内重賞4連勝という実績を積み上げ、宝塚記念に登場します。
相手は「ニッポーテイオー」。中距離の帝王と呼ばれ、前年の天皇賞秋を制し、GⅠレース3連勝中の良血馬。しかも、昨年秋から走りっぱなしのタマモクロスと違い、ニッポーテイオーは理想的なローテーションで臨んでいたのです。両者とも単枠指定になりましたが、単勝1番人気は210円のニッポーテイオー。タマモクロスは300円の2番人気。
最強スピード馬ニッポーテイオー有利、が大勢を占めていました。

宝塚記念 阪神芝2200m 6月12日

スタート後、ニッポーテイオーは2番手。タマモクロスは後方待機でレース展開をします。タマモクロスは向こう正面から早めに上がり、先頭集団の一角へ。4コーナーを回って、直線でニッポーテイオーがトップに躍り出ます。4コーナー付近までは内を走っていたタマモクロスは、直線で、なんと外にいました。ニッポーテイオーと馬体を合わせに行き、たたき合う間も無く抜き去り、2馬身半差をつけゴール!!
完全勝利でした。

大方の予想を見事に裏切って勝利したタマモクロスは、この年、4戦4勝負けなし、破竹の7連勝で名実ともに王者となったのでした。
前年から走りとおしたタマモクロスにとって、初めてと言える休養が待っていました。

史上初の天皇賞春秋連覇に向けて

4か月の休養を経て、「タマモクロス」はターフへ戻ってきます。
1年前、400万下のレースでバタバタしていた芦毛の馬が、王者となって、史上初の偉業に挑戦するとは誰が想像したでしょうか。
しかし、ここで新たなしかも強力なライバルが登場します。
同じ芦毛の馬体を持つ「オグリキャップ」です。公営出身ながら、中央入りして無傷の重賞5連勝。実力はタマモクロス以上ではないかと言われてました。
単枠指定となった2頭ですが、1番人気は単勝210円のオグリキャップ、タマモクロスは単勝260円の2番人気だったのです。芦毛対決を制するのはオグリかタマモか。

関連する投稿


昭和・平成の競馬ブームの立役者である競走馬たち

昭和・平成の競馬ブームの立役者である競走馬たち

1970年代に起こった第一次競馬ブームと1980年代に起こった第二次競馬ブームの立役者となった競走馬たちを集めてみました。


【東京5戦5勝】実は安定して強かったプレクラスニーと江田照男の名コンビ

【東京5戦5勝】実は安定して強かったプレクラスニーと江田照男の名コンビ

メジロマックイーンが降着した時の天皇賞馬、として語られることの多いプレクラスニー。実は、15戦7勝、2着3回、東京コース5戦5勝、GI、GII、GIII各1勝ずつと、安定感抜群の強い馬でした。江田照男が主戦騎手になってからは、特に力を発揮しています。そんな実力馬の足跡を振り返ります。


【訃報】ミホノブルボンらとともに90年代前半の競馬を盛り上げた「ウィッシュドリーム」が死亡。

【訃報】ミホノブルボンらとともに90年代前半の競馬を盛り上げた「ウィッシュドリーム」が死亡。

ミホノブルボンらとともに、90年代前半の競馬を盛り上げたウィッシュドリームが、9月8日に死亡していたことが明らかとなりました。31歳でした。


G1競馬2017【天皇賞(秋)】みんなの『事前予想』で勝ち馬を当てろ!~過去データを振り返るクイズ付~

G1競馬2017【天皇賞(秋)】みんなの『事前予想』で勝ち馬を当てろ!~過去データを振り返るクイズ付~

春・秋に年2回施行する中央競馬のG1レース【天皇賞】。第156回を迎える2017年の日程は10月29日(日)。みんなの勝ち馬予想アンケートを見て、レースの参考にしてみて下さい!


【天皇賞(春)】クイズで振り返るG1競馬~第155回予想アンケート付~

【天皇賞(春)】クイズで振り返るG1競馬~第155回予想アンケート付~

春・秋に年2回行われる【天皇賞】。日本のG1の中で長い歴史を持つレースで、2017年は第155回をむかえます。そんな過去の【天皇賞(春)】をクイズ形式で振り返ってみましょう!


最新の投稿


シティポップ再評価の決定版!DJシーザー最新作『昭和100年』ベストMIX第2弾が2月に発売

シティポップ再評価の決定版!DJシーザー最新作『昭和100年』ベストMIX第2弾が2月に発売

DJシーザーによる人気MIX CDシリーズ最新作『昭和100年 JAPANESE CITYPOP NON-STOP BEST MIX Vol.2』が2月18日に発売決定。大貫妙子や米米CLUB、ピチカート・ファイヴなど、国内外で愛される珠玉の35曲を極上のノンストップMIXで収録。世代を超えて「都会」のムードを堪能できる、新時代のシティポップ入門編です。


【箱根ホテル小涌園】昭和100年を祝うレトロな100日間!「懐かしのあの頃ドリンクフェア」開催

【箱根ホテル小涌園】昭和100年を祝うレトロな100日間!「懐かしのあの頃ドリンクフェア」開催

2026年の「昭和100年」を記念し、箱根ホテル小涌園の「Bar1959」で期間限定フェアが開催。バイオレットフィズやテレビの砂嵐をイメージしたドリンクなど、昭和を知る世代には懐かしく、若い世代には新鮮なメニューが登場。駄菓子付きのフォトジェニックな体験で、世代を超えた会話が弾む特別な100日間をお届けします。


松山千春デビュー50周年!U-NEXTが配信パートナーに就任、伝説の周年ライブ3作品を独占配信開始

松山千春デビュー50周年!U-NEXTが配信パートナーに就任、伝説の周年ライブ3作品を独占配信開始

デビュー50周年を迎えた松山千春の配信パートナーにU-NEXTが就任。第1弾として30・35・40周年の記念ライブ3作品とMV11本を独占配信。さらに2月には自伝小説の実写映画『旅立ち~足寄より~』の配信も決定。半世紀にわたるキャリアを凝縮した特別企画で、アーティストの信念と歌声に迫ります。


国民的アニメ『サザエさん』が台湾で放送開始!55周年の節目に初の海外本格進出、家族の笑顔を世界へ

国民的アニメ『サザエさん』が台湾で放送開始!55周年の節目に初の海外本格進出、家族の笑顔を世界へ

日本で放送開始55周年を迎え、「最も長く放映されているテレビアニメ番組」としてギネス記録を持つ『サザエさん』が、台湾での放送をスタート。現地の大手代理店MUSE社を通じて、台湾のお茶の間にも磯野家の日常が届けられます。本記事では、台湾版の豪華キャストや現地での期待の声、歴史的な背景を詳しく紹介します。


「黒い三連星」が10cmの可動フィギュアに!G.M.G.シリーズにガイア、オルテガ、マッシュが参戦

「黒い三連星」が10cmの可動フィギュアに!G.M.G.シリーズにガイア、オルテガ、マッシュが参戦

『機動戦士ガンダム』の人気パイロット小隊「黒い三連星」の3人が、メガハウスの可動フィギュアシリーズ「G.M.G.(ガンダムミリタリージェネレーション)」に登場!約10cmのサイズながら驚異の可動性とリアルな造形を両立。ガイア、オルテガ、マッシュがノーマルスーツ姿で、2026年7月下旬に発売予定です。