さびしんぼう
スタッフ
キャスト

井上ヒロキ(尾美としのり)

さびしんぼう(富田靖子)

橘百合子(富田靖子)

井上タツ子(藤田弓子)

井上道了(どうりょう)/小林稔侍
ストーリー

舞台は尾道。
お寺の息子でカメラが趣味の高校生、井上ヒロキは無表情で寡黙な父親と、教育ママの母親タツコの三人家族。
ヒロキは、趣味のカメラのためバイトにはげむ。
勉強にうるさい母親、寺の大掃除と忙しい。
ある日、母親のアルバムから大量の写真が散らばった。
回収したが一枚だけ回収できなかった。
翌日高校の理科室で友達三人と、バーナーですき焼きを作っていると先生(岸部一徳)に見つかる。
罰として校長室の清掃をやらされる。
校長の飼っていたオウムに、いたずらをし、三人の保護者が呼び出しを受けた。
そこに変わった女の子現れる。
本人は『さびしんぼう』と名乗る。『さびしんぼう』は顔は真っ白で、オーバーオールを着て、16歳だと言う。

最初はあいさつ程度だったのですが、そのうち始終現れる。
『さびしんぼう』が見えていたのは、ヒロキだけだったが、おばあちゃん(浦辺粂子)は、『さびしんぼう』をタツ子だと言う。
ボケているのか?だがみんなには見えてない。
『さびしんぼう』はフェリーを利用し、女子高までは自転車通学。
道ですれ違い、目が合うと『さびしんぼう』は目礼し、通り過ぎる。
母親タツ子は、ヒロキが成績が上がらないことと習っているピアノが上達しないことに苛立つ。
そしてヒロキのクラスメートを寺に呼びだす。そして変な子が、タツ子にも見えた。
「あんた誰」って、お尻を叩くと、自分の尻も痛くなる、頭を殴ると、自分の頭も痛くなる。周りは、タツ子がおかしいと思いだす。
学校では、ヒロキの母親がおかしくなったと噂になる。
ヒロキは、必死に弁解するが。

テル子(樹木希林)が娘(小林聡美)を連れて、タツ子を訪ねる。
ところが、テル子にも娘にも『さびしんぼう』が見え、大騒動になる。
しかし、テル子は、なにか見覚えがありそれは、タツ子が
高校時代に劇で演じた『さびしんぼう』だと言い出す。
『さびしんぼう』は百合子と名乗る。そして、ヒロキにバレンタインデーにチョコレートプレゼントする。
しかしヒロキはチョコレートアレルギーだった。
チョコレートを畳の上に投げつけるヒロキ。
手紙が添えてあり「あの日、うれしくて何度も微笑みました。ありがとうございました。ですがこれだけにしてお別れしてください。百合子」書いてあった。

【変てこなの】は「明日17歳になるんだ。もう現れられない」という。
もはやタツ子であることを隠さない【変てこなの】は、高校2年の時に演じた創作劇『さびしんぼう』について語り出す。
『さびしんぼう』って少女がいて、勉強ができ、ピアノが上手な同級生を好きになる。しかし、結ばれませんでした。その少女は、平凡な結婚をして子どもを生む。
ヒロキが風呂に入っていると、父親も入ってくる。普段は寡黙な父親が、妻タツ子について語り始める。
「かあさんのことは、すべてが好きで結婚したんだ。だから、彼女の思い出もすべて受け入れている。
別れの曲も、タツ子がいつも口ずさんでいたので、すっかり覚えたよ」と。
翌日、クリスマスプレゼントとしてオルゴールを持って、ヒロキは島に渡る。
幸い、着物を着た百合子と埠頭で会うことができた。
オルゴールを渡すとピアノの形をしたオルゴール曲は別れの曲。
「ありがとう、ここでお別れします。あなたが好きになったのは、こちら右側ですよね、最後も、こちら右側だけを見ながら、見送ってね」

寺に帰った時には、雨が降っていた。階段で待っていたのは、
【変てこなの】だった。
【変てこなの】は、ヒロキに肩に顔を埋めて「17歳になったから、もう会えない。最後にお別れを言いたくって」、と言い【変てこなの】は消えていた。
翌朝、タツ子が階段を掃除してと一枚の写真を見つける。
写真をヒロキに見せ「この写真、風に飛ばされ境内中を飛び回った後、昨夜の雨でここに落ちてきたのね。なぜか、涙でメイクが落ちているように見えるわ」
月日は流れ、ヒロキは住職になる。お経をあげるヒロキの隣には、妻が座ってる。百合子にそっくりの。寺の本堂で女子高生が「別れの曲」を弾いている。
原作の山中恒の一言で

DVDが販売されています
誰でも、ティーンエイジャーの頃に経験する切なくて胸が痛くなるような思いを、この映画は見せてくれる。尾道の風景とショパン「別れの曲」マッチしている。母の果たせなかった夢を体現する少女が現出するアイディアは見事である。